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第四話

ギルドマスター、山田次郎からのお願いとは?

「俺の領地の傍に『セザン』という村がある。その村の北にある雪山に『クッマーン』が大量発生しているから討伐しなきゃならんのだが、セザン村はあまり金がなくてな。さすがに大量発生してるとなっちゃあ、冒険者の人数を増やすか、名のある冒険者に頼むかでどっちにしろ大金がかかる。だから、ギルドに討伐依頼を出せねえ。」


クッマーンって熊なんだろうか?なんか名前が可愛らしい感じに思えるのは私だけ?とか全く関係ないことを考えている間に話は進む。


「それで、村長が俺のところに来たんだが、俺が自分の領地でもないところにしゃしゃり出ていってモンスター討伐とか、めんどくせーことになるんだよ。本来ギルドの立場からすると、借金してでもギルドに依頼するか、自分たちで何とかしろって言うんだけどな。村長とも知らない仲じゃねえし。どうしようかと思ったが、ユージンなら一人でもクッマーンごときが何匹いようが楽勝だろ?討伐して来い。」


頼みだったんじゃないの?命令なの!?


「ギルドマスター、これは個人依頼になりますよね?ギルドでは名の知れた上位の冒険者しか個人依頼というか、指名の依頼は受けられないのでは?その規則をマスター自らが破っていいのですか?」

「だから、お前たちに頼みがあるって言ったろ?他の奴が文句をつけられない適当な理由をイシクラが考えろ。」


頼んでないし!!命令じゃないか!


「なあ、イシクラ、ギルドはお前らに便宜を図ってやってるよな?特別扱いをしてやってるだろ?これからもギルドといい関係を築きたいよなぁ?」


ニヤリと笑うと脅しをかけてきやがったこのオヤジ。


「セザン村からは微々たる金しか出ねえが、ギルドマスターである俺ならではの報酬があるぞ。」

「その報酬をお聞きしても?」

「ユージンの冒険者のレベルを上げてやろう。そうだなあ、中級レベルの採取クエストが受けられるくらいまで、でどうだ?」

「わたくし共にお任せください。」


思わず即答してしまった。正に今冒険者レベルの壁に悩まされていたからね、飛びついちゃったよ。


「俺がユージンのレベル上げを承認する理由も考えろよ。いきなり18もレベルが上がるんだ、中途半端な理由じゃ周りが納得しない。俺の話はこれまでだ。じゃあ、イシクラ、俺は用事があるからギルドを出るが、3時間後に帰ってくる。資料室を貸してやる、あと3時間で考えろよ。」


その言葉を聞き終わった途端、目の前のオヤジが消え、景色が変わる。どうやら資料室に強制転移させられたらしい。さ、3時間だと!?


「ふざけんな!!クソオヤジ!!!」

「神奈、太郎が次郎に注意しろって言ったのこういうこと?」

「そう言うことは早く言って!!・・・って言ってたわよね。はぁ。私の未熟さが招いたことね。仕方ない。やれるだけのことはやってみるわ。」


でも、目的の資料を探すのだって時間かかりそう。幸いこの資料室には私たちだけしかいないから、目的の資料を見つけて机の上に広げておいても文句は言われない。時間ないし、やるしかない。


「神奈、何の資料見たい?」

「えーと。とりあえず『クッマーン』について知りたいのと、あと『セザン村』のことが書かれてるようなものがほしいの。」

「モンスター図鑑とセザン村の資料。」


ユージンがそう言うと、棚から資料が勝手に抜き出て私の目の前に到着する。なにこれ、すごい。探す手間が省けるんだ。この資料室がすごいのか、ユージンの力なのか。


「とりあえずこれ読んでて。この部屋は次郎の許可が無いと入れない。他の奴ら来ないから、俺、昼飯持ってくる。」

「え?ユージン私の傍を離れるの?」

「さみしい?」

「いやいや、驚いただけよ。」

「神奈お腹すいたでしょ?食堂で何か買ってくる。」

「じゃあ、片手で食べられそうなのがいいわ。お願いできる?」

「わかった。」


何だろう、『初めてのおつかい』を思い出す。ユージンは食堂のおばちゃんを不快にさせないだろうか、電柱の陰から見守りたい気持ちはあるが、早く資料を読まなくちゃ。


まずは、鞄の中からシステム手帳を取り出す。ここに調べたことをメモしていくのだ。山田さんが召喚をしたときにどうにかしてくれたのだとは思うが、私はこちらの言葉を話せるし、文字も読める。しかも、手帳にも細工をしてくれたらしく、カレンダーがここの世界の日付に変わっていた。(こちらの世界は1ヶ月30日で12ヶ月で1年だ。)おかげでユージンの依頼の期限とか書き込めて重宝している。


モンスター図鑑のどこにクッマーンの情報があるかわからないので、片っ端から探すか、先ほどのユージンを真似してみようか。何も起きなかったら恥だが、今は誰もいないから試してみてもいいよね。


「クッマーンのページが見たいな。」


ちょっと首をかしげておねだりをしてみる。・・・本を相手に何やってるんだろう。ちょっと冷静になった。やっぱり片っ端から探すか、と本を手に取ろうとしたら、勝手に開いた。


「おお!!クッマーンのページだ。」


私が魔法を使えたみたいで興奮する。生息地や行動、基本的な倒し方、必要な冒険者レベルが載っていた。それと、クッマーンのイラストもあった。


「・・・魚?熊じゃなくて魚なの!?何で雪山に魚が?」


クッマーンは雪の中を移動する、つまり水ではなく雪の中を泳ぐってこと?最低でも3メートルあれば生息できるそうだ。雑食で攻撃的。大きいものになると人間を一飲み・・・ちょっと待った、村って山と近いの?雪山から村に雪を伝ってクッマーンが移動する可能性はあるんだろうか。


慌ててセザン村の資料をめくる。山との間には大きな湖があった。この湖は温泉みたいに暖かいので、雪が積もらないらしい。クッマーンはお湯に入れないから、とりあえず、村が襲われることはないか。また図鑑の方を読み進める。


クッマーンの討伐クエストは冒険者レベル17以上じゃないと受けられない。一般的には17か18くらいのレベルの人が4人で倒すらしい。まず、一人目が雪の中にいるクッマーンを察知して範囲指定をかける。二人目が炎系の魔法で雪を溶かしてあぶりだす。三人目が動きを止めて、四人目が剣で倒す。クッマーン本体には魔法が効かないし、全体が鱗のようなもので覆われていて物理的ダメージもほとんど受けない。弱点であるエラのような部分と目だけが攻撃できる箇所のようだ。


一匹を4人がかりで倒すってことだよね、ユージン一人でどうにかなるものなの?大量にいるって言ってたよね?とりあえず、ユージンが帰ってきたら、一人で大丈夫なのか聞いてみよう。


今度はセザン村の資料を見る。なるほど、収入源は狩りと時々見つかる宝石みたいに光る石か。寒い地域だから、農作物に期待はできないのか。あれ?でもさっきの雪山のところには結構高価な薬草が取れるって書いてあるのに・・・クッマーンがいるから取れないのか。


「お待たせ。神奈、おなかすいたでしょ?」

「ああ、ありがとう、ユージン。」


ユージンがサンドイッチみたいなのと飲み物を買ってきてくれた。初めてのおつかいは問題なく終われたんだろうか?後でギルドの職員の人に探りを入れなければ。


「ユージン、クッマーンの資料見てたら、クッマーンって最低でも4人がかりで倒すって書いてあったんだけど、一人で平気なの?」

「ああ。俺は他の奴らと倒し方が違うから、一人で平気。」

「因みに、どんな倒し方をするの?」

「うーん、雪に剣を刺す?」

「??」

「結界の中なら危なくないから、神奈に雪山に一緒に行ってほしい、ダメ?」

「いや、ユージンが魔物を倒す時はいつも傍にいたから、今度だって近くにいるわ。足手まといだろうけど」

「神奈が傍にいてくれれば俺、もっと強くなれる。」


精神面の話だろうか?前の秘書の人たちは逃げてっちゃったって言ってたから、また逃げられることが怖いのかな?今日は珍しく一人でおつかいに行ってくれたけど、そうじゃなければ私を片時も離さないものな。


ご飯を食べながら、今まで読んだ資料から、ユージンへの個人依頼とレベル上げを納得させる理由を考える。頭まで栄養が回れば何か思いつけるはず。それにしてもあのオヤジ。ユージンにクッマーンの討伐を頼むだけじゃなく、討伐依頼がユージンに回ってきた理由を私に考えろなんて、ユージンへの報酬に私への報酬を上乗せしてやる。


出てきたのはギルドマスターに対する不満だった。私ってば栄養が回って一番先に出てくるのが文句とか。いや、これは文句じゃない、ユージンの秘書としての正当な要求だ。・・・秘書、私への報酬、私への依頼・・・そうだ!これならいけるかも!!

さて、神奈はいい案を思いついたのでしょうか?


お読みいただきありがとうございました。

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