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今日も魔王城は平和です。  作者: 斑猫
はじめまして、
11/42

10 補佐官と魔王

王や幹部達の居住区画は城の上部に有る。

魔王や上位幹部の執務室の、更に上だ。

私の執務室からも、魔王の自室までは近くはない。が、遠くもない。


メイドと別れた後、見回りの兵士以外と会わなかった。

おかげで、余裕でお茶に間に合いそうだ。

問題さえなければ、深夜は好きだ。

本能的な作用もあるのだろうが、何より、誰にも捕まらずに歩ける。

城内には、話し出すと長ーい悪魔もいるから、面倒だし、用意したお茶が駄目になった時は結構へこむ。

今夜は誰にも捕まらなかったので、足取りも気分も軽いまま、魔王の自室に着いた。


「陛下、リディアです」

これまた重厚な扉をノックし、そのまま扉を開ける。

返事なんて返ってこないから、いつも勝手に入るようにしている。

「失礼致します。って、 服くらい着て下さい!」

扉を開けた先にいたのは、上半身裸でソファに座る、魔王様だった。

二人掛けソファの中央に腰掛け、力を抜いている姿は、そういう趣味でなくても目の毒だった。

さっきのメイドは、これを見たのだろう。

「ちょっと陛下! 聞いていらっしゃるんですか!?」

「うるせえな。俺の部屋なんだから、俺の勝手だろう」

「それは、そうですけど……。しかし! 仮にもメイドを呼んだのであれば、シャツくらいは着て下さい」

「あぁ、忘れてたな」

「…………」

こいつ、本当にどうしてくれよう。

オンとオフの差が酷すぎる。

オフになった途端、怠惰の悪魔みたいになるのは、いい加減直してもらえないだろうか。

大量の仕事と、魔王としての重責の反動かな……。

そんなことを考えながら近づけば、魔王の髪が濡れていることに気がついた。

よく見れば、魔王の横にはタオルが放置してある。

……拭くのが面倒だったのか、こいつ。

「シャワーでも浴びていたのですか?」

「ああ」

生乾きのタオルを拾い、ソファの裏に回って代わりに拭く。

「邪魔なので、角、仕舞って頂けませんか?」

「ああ」

山羊のような大きく尖った角は、大変邪魔である。

重くはない、と以前言っていたが、本人も邪魔なのかよく仕舞っている。

角のなくなった頭を眺めつつ、丁寧に髪を拭いていく。

この黒髪を少しでも傷めれば、城内外の女性達が騒ぎ出すため、下手に放置もできない。


「おい」

「何ですか」

「手、どうだ」

「手?」

聞き返したら、盛大にため息を疲れた。失礼な。

でも、何の事だ?

「お前、自分の怪我も忘れてんのか」

「? …………あ」

忘れてた。

痛み止めを飲んだせいで、すっかり忘れてた。

包帯が巻かれた右手に、昼間は散々苦労をさせられたというのに。


怪我を思い出した途端、心臓が異常に跳ね出す。


……思い出した。

思いっきり、魔王の頭を引っ叩いたんだった。

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