98話 王都へ
翌朝。
俺たちは王都へ向かう準備をしていた。
今回の旅には、いつもと違う仲間がいる。
「……本当に一緒に行っていいの?」
ルナが遠慮がちに尋ねる。
「もちろん」
俺は答えた。
「一人で行くより、みんなで行った方が安心だろ」
レティシアが笑う。
「それに、ルナを狙ってる奴がいるんだからね」
「はい」
エリスも頷いた。
「私たちが守ります」
ルナは少し驚いた顔をして、それから小さく笑った。
「ありがとう」
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街を出てしばらく歩く。
王都までは数日かかる。
街道は比較的安全だが、最近は魔物の活動が活発になっているらしい。
「油断しないようにしよう」
俺が言う。
「分かってる」
レティシアが剣に手を添える。
エリスは周囲を見渡している。
そしてルナは――
「……あっ」
突然立ち止まった。
「どうした?」
「この先……」
ルナが森の方を見る。
「何かいます」
「魔物?」
「分かりません」
俺も魔力を探る。
確かに感じる。
かなり近い。
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茂みから飛び出してきたのは、三体のウルフだった。
「来る!」
レティシアが前へ出る。
――ザンッ!
一体を斬り伏せる。
エリスの矢がもう一体を射抜く。
――シュッ!
「キラ!」
「任せて!」
俺は杖を向ける。
「《ウィンドバレット》!」
最後の一体が吹き飛ぶ。
戦闘はあっという間に終わった。
「これくらいなら問題ないね」
レティシアが剣を収める。
「うん」
俺も頷く。
以前なら、もっと苦戦していただろう。
少しずつだけど、確実に強くなっている。
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しかし、ルナは倒れた魔物を見つめていた。
「……どうしたの?」
エリスが尋ねる。
「この魔物……」
ルナがしゃがみ込む。
ウルフの首元。
そこに――
小さな黒い線が浮かんでいた。
「また黒い紋様です」
「……」
俺は眉をひそめる。
黒き核の影響は、ここまで広がっている。
「王都へ急ごう」
俺は立ち上がる。
「うん」
三人とルナは再び街道を進み始めた。
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その夜。
森の近くで野営することになった。
焚き火を囲みながら、俺たちは明日のことを話していた。
「王都に着いたら、まずルナのことを調べてもらうんだよね?」
レティシアが尋ねる。
「そう」
俺は頷く。
「それから黒き核についても調べたい」
「私も協力します」
ルナが言った。
「私自身のことを知りたいから」
「無理はしなくていいよ」
「大丈夫です」
ルナは焚き火を見る。
「ずっと逃げているだけでは、何も分からないから」
その言葉には強い意志があった。
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夜が深くなった頃。
俺は一人で少し離れた場所に立っていた。
「……もう少し、魔力の制御を変えられないかな」
最近、魔法を使うたびに感じる。
威力を上げるだけでは駄目だ。
もっと効率よく。
もっと速く。
もっと自由に。
俺は小さな炎を掌に浮かべる。
炎を細くする。
そして――
螺旋状に回転させる。
「……まだ無理か」
炎が消える。
だが、確かな手応えはあった。
「いつか完成させよう」
俺は杖を見つめた。
そのとき。
「キラ」
後ろからレティシアの声。
「何してるの?」
「新しい魔法を考えてた」
「また?」
「うん」
レティシアが笑う。
「キラらしいね」
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翌朝。
荷物をまとめ、再び街道を進む。
遠くの山の向こう。
まだ王都は見えない。
けれど――
俺たちを待っているものは、きっと普通の冒険ではない。
黒き核。
ルナの過去。
そして、伝説の三人。
そのすべてが、王都へと繋がっている気がした。
俺は前を向く。
「行こう」
「うん!」
「はい!」
「……はい」
四人の旅が始まった。
その頃――
王都のとある塔。
一人の女性が、机の上に置かれた黒い結晶を見つめていた。
水色の髪。
静かな瞳。
彼女は黒い結晶へ手をかざす。
「……この魔力」
女性の表情が変わる。
「まさか――」
そして、遠く離れた場所へ視線を向ける。
「帰ってきたのね」
第98話 終




