91話 再戦
ギルドへ戻ると、俺たちは採掘所で見つけた石板を提出した。
「これは……」
受付嬢が言葉を失う。
何人かの職員が集まり、石板を慎重に調べ始めた。
「古代文字ですね」
「読める人は?」
「今、学者を呼びます」
俺たちはしばらく待つことになった。
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しばらくして、一人の老人がやってきた。
白い髭を蓄えた、小柄な男性だ。
「どこでこれを?」
「北西の古い採掘所です」
老人は石板を見た瞬間、表情を変えた。
「……まさか」
「何か分かるんですか?」
「これは、かなり古いものじゃ」
老人は眼鏡をかけ直す。
「そして、この文字は封印術に関する記録じゃ」
俺たちは顔を見合わせる。
「黒き器について?」
「そうじゃ」
老人は石板を読み進めていく。
「ここにはこう書かれておる」
そして、ゆっくりと説明した。
「黒き核は、魔物に宿るだけのものではない」
「やっぱり……」
俺は昨日戦った男を思い出す。
腕に浮かんでいた黒い紋章。
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「黒き核の力を人間が受け入れた場合、その者は『黒き器』となる」
レティシアが眉をひそめる。
「人間が魔物みたいになっちゃうってこと?」
「完全にそうなるとは限らん」
老人は首を振る。
「強大な力を得る代わりに、身体や精神が徐々に侵食されると書かれておる」
エリスが不安そうに尋ねる。
「では、あの男も……」
「おそらくな」
俺は拳を握った。
あの男も、力を求めて黒き核を利用している。
そして――
その先に何があるのか。
まだ分からない。
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話を聞き終えたところで、受付嬢が別の依頼書を持ってきた。
「実は、ちょうど皆さんにお願いしたい依頼があります」
「俺たちに?」
「はい」
内容は、街の近くにある古い砦の調査。
最近、夜になると砦の周辺で魔物が増えているらしい。
「また黒き核と関係している可能性は?」
俺が聞く。
「まだ分かりません」
受付嬢は答える。
「ただ、以前はほとんど魔物がいなかった場所です」
三人で依頼書を見る。
「受けよう」
俺が言う。
レティシアも頷いた。
「うん」
「私も賛成です」
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その日の午後。
俺たちは古い砦へ向かった。
街からそれほど離れていない。
しかし、近づくにつれて空気が変わっていく。
「……静かすぎる」
レティシアが呟く。
鳥の声もない。
風の音だけが響いている。
俺は魔力感知を広げた。
「魔物がいる」
「何体?」
「……分からない」
予想以上に多い。
そして、その中心には――
「黒い魔力がある」
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砦の入口を開ける。
――ギィィィ……。
中は暗い。
壁には古い武器が飾られている。
床には、最近ついたと思われる足跡。
「誰かがここを使ってる」
エリスがしゃがみ込む。
「この足跡……人間です」
レティシアが剣を抜く。
「じゃあ、昨日の男?」
「可能性はある」
慎重に奥へ進む。
すると――
地下へ続く階段を見つけた。
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階段を下りる。
そこには大きな部屋があった。
中央に置かれているのは――
黒い結晶。
「……黒き核」
俺が呟く。
結晶は小さい。
グレートオーガの胸にあったものほど大きくない。
しかし――
強い魔力を放っている。
「触らない方がいい」
エリスが言う。
「うん」
俺も近づかない。
そのとき。
背後から声がした。
「正解だ」
三人が振り返る。
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暗闇から、昨日の男が現れた。
黒い紋章が腕に浮かんでいる。
「また会ったな」
レティシアが剣を構える。
「今度は逃がさない!」
男は笑った。
「そう焦るな」
そして、中央の黒い結晶へ手を向ける。
「お前たちはまだ知らない」
結晶が脈動する。
――ドクン。
「黒き核が何のために存在するのかを」
俺は杖を構えた。
「だったら教えてもらう」
男が笑う。
「ならば――」
黒い魔力が部屋いっぱいに広がった。
「自分の力で聞き出してみろ」
三人とも武器を構える。
今度は逃げるわけにはいかない。
第91話 終




