↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
90/281

89話 器



 伝説の三人――アシュレイン、リリー、ロゼッタと別れてから数日。


 俺たちはいつも通り、冒険者ギルドへ向かった。


「おはようございます」


「おはようございます、キラさん」


 受付嬢が依頼書を並べている。


 俺たちはすでにDランク冒険者。


 以前より受けられる依頼も増えていた。


「何か良さそうな依頼ある?」


 レティシアが掲示板を見る。


「これなんてどうでしょう」


 エリスが一枚の依頼書を指差す。


『街道周辺の魔物討伐』


 危険度はDランク相当。


「ちょうどいいね」


 俺は依頼書を手に取った。


 グレートオーガとの戦いを経験した今だからこそ、無理に強敵へ挑む必要はない。


 まずは自分たちの力を磨く。


 それが今の俺たちに必要なことだ。



---




 街を出てしばらく歩く。


 今回の目的地は、近くの街道沿いにある森。


 最近、魔物の目撃情報が増えているらしい。


「グレートオーガが出てから、魔物の動きがおかしいね」


 レティシアが言う。


「うん」


 俺も周囲を警戒する。


 黒き核。


 古代遺跡。


 そして、あのグレートオーガ。


 まだ何も分かっていない。


 だけど、今は目の前の依頼に集中する。



---




 森へ入ってすぐ。


「……います」


 エリスが弓を構える。


 木の陰から、数体のゴブリンがこちらを覗いている。


「数は?」


「七体です」


「じゃあ、俺が魔法で追い込む」


 俺が杖を構える。


「レティシアは右。エリスは後ろからお願い」


「分かった!」


「はい!」


 ゴブリンが一斉に飛び出してくる。


「《ウィンドバレット》!」


 ――ドンッ!


 一体が吹き飛ぶ。


 レティシアが間合いへ入る。


「はっ!」


 ――ザンッ!


 エリスの矢が別のゴブリンを捉える。


 ――シュッ!


 三人の攻撃が次々と決まっていく。


 数分後。


 最後の一体が倒れた。



---


戦い方の変化


「かなり楽になったね」


 レティシアが剣を収める。


「前ならもっと時間がかかってた」


 俺も頷く。


 グレートオーガにはまったく届かなかった。


 だけど、だからといって俺たちが弱いわけではない。


 少しずつ。


 本当に少しずつだけど――


 強くなっている。


「キラ」


 エリスが俺を見る。


「《フレイムスパイラル》は使わなかったですね」


「うん」


「使わなくても勝てる相手には、使わない方がいい」


 俺は自分の杖を見る。


 リリーに言われた言葉を思い出す。


 強力な魔法を使うことだけが、魔法使いの強さじゃない。


 魔力を効率よく使う。


 今はそれを意識している。



---




 依頼を終えようとしたとき。


 エリスが突然立ち止まった。


「待ってください」


「どうした?」


「何か聞こえます」


 耳を澄ます。


 ――カン。


 ――カン。


 金属を叩くような音。


「誰かいる?」


 森の奥へ進む。


 そこには、小さな古い建物があった。


 どうやら昔使われていた採掘所らしい。


「こんなところに建物が?」


 レティシアが不思議そうにする。


 入口には、古びた紋章が刻まれていた。


 俺はその紋章を見て、足を止める。


「……これ」


「知ってるの?」


「いや」


 知らない。


 でも――


 なぜか見覚えがある。



---




 建物の中へ入る。


 床に黒い染みが残っていた。


 魔力の残滓。


 俺がしゃがんで確認する。


「黒き核と似てる」


「じゃあ、ここも関係してる?」


 レティシアが剣を抜く。


「分からない」


 奥へ進む。


 すると――


 壁に古代文字が刻まれていた。


 その中央には、黒い結晶の絵。


 そして、その下に一つの文章。


『器が目覚めるとき、封印は終わる』


「……器?」


 俺たちは顔を見合わせた。



---




 そのとき。


 ――コツ。


 奥から足音が聞こえた。


 ――コツ。


 誰かが近づいてくる。


 レティシアが剣を構える。


 エリスが弓を引く。


 俺も杖を構えた。


「誰だ!」


 返事はない。


 暗闇から姿を現したのは――


 一人の若い男だった。


 冒険者らしい。


 しかし、その腕には黒い紋様が浮かんでいる。


「……お前たち」


 男が俺たちを見る。


「ここへ何をしに来た?」


「依頼で魔物を討伐しに来ただけだ」


 俺が答える。


 男は俺たちをしばらく見つめた。


「そうか……」


 そして、小さく笑った。


「なら、運が悪かったな」


 黒い紋様が光る。


「ここから先は――」


 男の身体から、黒い魔力が噴き出した。


「帰れなくなるぞ」


 俺は杖を握り直す。


 まただ。


 この黒い魔力。


 グレートオーガから感じたものと同じだ。


第89話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。