↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
87/277

86話 生きる伝説



 グレートオーガを囲む討伐隊。


 俺たちは少し離れた場所から、その戦いを見ていた。


「行くぞ!」


 Cランク冒険者たちが一斉に駆け出す。


 剣。


 槍。


 魔法。


 次々と攻撃がグレートオーガへ叩き込まれる。


 ――ドンッ!


 ――ザンッ!


 ――バシュッ!


 だが――


「効いてない……」


 レティシアが呟く。


 グレートオーガの身体には、いくつか傷がついている。


 それでも、その動きはほとんど変わらない。



---




「グォォォォッ!」


 グレートオーガが腕を振り回す。


 ――ブォン!


 数人の冒険者がまとめて吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」


「大丈夫か!」


 別の冒険者が助けに入る。


 俺はその光景を見つめる。


 Cランク。


 俺たちより遥かに上の冒険者たち。


 それでも苦戦している。


「……あれがAランク相当」


 俺は拳を握った。


 昨日、俺たちが一瞬足止めできたのは――


 ただ避難する時間を作れただけだった。


 戦って勝つ。


 そんなことは、今の俺にはできない。



---




「キラ」


 レティシアが俺を見る。


「私たちにもできることはあるよ」


「うん」


 俺は杖を握り直す。


「討伐隊の援護をしよう」


 正面から戦う必要はない。


 少しでも隙を作る。


 それなら俺たちにもできる。


「エリス!」


「はい!」


 エリスが弓を構える。


 グレートオーガの足元へ矢を放つ。


 ――シュッ!


 矢が突き刺さる。


「こっち!」


 レティシアが駆ける。


 グレートオーガの視線が一瞬だけ逸れた。


「今!」


 俺は魔力を集める。


「《フレイムスパイラル》!」


 炎の渦がグレートオーガの腕を包む。


 ――ゴォォォッ!


「グォォッ!」


 初めて、グレートオーガがこちらを振り向いた。


「効いた!」


 レティシアが驚く。


 だが――


 グレートオーガは炎を振り払った。


 そして俺たちへ向かってくる。


「……!」



---



「散開!」


 三人が同時に動く。


 グレートオーガの拳が地面を砕く。


 ――ドゴォォォン!!


 俺は《ウィンドステップ》で後ろへ飛ぶ。


「《ウィンドバレット》!」


 ――ドンッ!


 顔を狙う。


 グレートオーガが腕で防ぐ。


「レティシア!」


「分かってる!」


 レティシアが足元へ滑り込む。


 ――ザンッ!


 膝の裏を斬る。


 グレートオーガが僅かによろめいた。


「今だ!」


 討伐隊の魔法使いたちが一斉に魔法を放つ。


 ――ドォォォン!!


 炎と雷がグレートオーガを包む。


 だが――


「まだ立つのか……」


 煙の中から、巨大な身体が現れる。



---




 俺は気づいた。


「胸の結晶……」


 黒い結晶が、以前より大きくなっている。


 そして、その周囲には黒い魔力が渦巻いている。


「もしかして……あれが力の源?」


 エリスが頷く。


「そうだと思います」


「だったら、あそこを狙えば――」


 俺は結晶を見る。


 だが、グレートオーガの身体が完全に守っている。


「簡単には狙えない」


 レティシアが言う。


「でも、やるしかない」



---




「俺が隙を作る」


「キラ、それは――」


「大丈夫」


 俺は魔力を集める。


 今まで使った中でも最大級。


「《フレイムスパイラル》!」


 ――ゴォォォォォッ!!


 炎がグレートオーガの身体を包み込む。


 今までより大きい。


 炎の渦が黒い結晶まで届く。


「グォォォォォッ!!」


 グレートオーガが初めて苦しそうな声を上げた。


「レティシア!」


「任せて!」


 レティシアが走る。


 エリスも弓を引き絞る。


「行きます!」


 ――シュッ!


 矢が結晶へ向かう。


 しかし――


 グレートオーガが腕を上げた。


 矢は弾かれた。


「そんな……!」


 レティシアの剣も結晶へ届かない。


「くっ!」


 俺は魔法を維持する。


 だが、魔力が急激に減っていく。


「まだ……!」



---




 視界が揺れる。


 足に力が入らない。


 《フレイムスパイラル》が弱くなる。


「キラ!」


 エリスが叫ぶ。


「もう十分!」


「でも……!」


 俺は杖を握る。


 あと少し。


 あと少しだけ――


 そう思った瞬間。


 グレートオーガが炎を振り払った。


 ――ドンッ!


 俺の身体が吹き飛ぶ。


「キラ!」


 レティシアが駆け寄る。


「大丈夫……」


 立ち上がろうとする。


 でも、身体が動かない。


「……くそ」


 悔しい。


 全力を出した。


 《フレイムスパイラル》も使った。


 それでも――


 傷一つまともに与えられない。



---


 


 そのとき。


 戦場の後方から、三人の男女が歩いてきた。


 誰も大声を出していない。


 誰も慌てていない。


 ただ、静かに戦場を見ている。


「……あの人たち、誰?」


 レティシアが尋ねる。


 近くの冒険者が答えた。


「知らないのか?」


 その声には驚きが混じっていた。


「伝説のパーティだ」


 俺は顔を上げる。


 三人のうち、一人の男がこちらを見る。


 そして――


「ほう」


 俺たちを見て、少しだけ笑った。


「まだ若いのに、よくあそこまで食らいついたな」


 俺は何も言えない。


 ただ、その男から感じる魔力に圧倒されていた。


 強い。


 今まで会った誰よりも。



---


 男はグレートオーガへ視線を戻す。


「さて」


 腰の剣に手をかける。


「少しだけ、手伝うか」


 その瞬間――


 空気が変わった。


 俺は息を呑む。


 これほどの強者がいるのか。


 そして、この出会いが――


 俺たちの未来を大きく変えることになるとは、このときの俺たちはまだ知らなかった。


第86話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。