↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/275

83話 脅威



 ギルド内が騒然としていた。


「Aランク相当って……本当なの?」


 レティシアが受付嬢に尋ねる。


「はい。先ほど救援要請が入りました」


 受付嬢は震える手で書類を整理している。


「現在、Cランク以上の冒険者を中心に緊急討伐隊が編成されています」


「じゃあ、私たちは……」


「避難誘導と街道の警戒をお願いします」


 やはり、俺たちは討伐隊には入れない。


 悔しい。


 でも――


 今の自分たちのランクを考えれば当然だった。



---




 俺たちは北西方面へ続く街道に配置された。


 鉱山から逃げてくる人たちを安全に街へ誘導する。


 しばらくは何も起きなかった。


「……静かすぎるね」


 レティシアが周囲を見る。


「うん」


 俺も魔力感知を広げる。


 すると――


「来る」


「魔物?」


「たくさん」


 森の中から魔物が飛び出してきた。


「グレイウルフ!」


 エリスが弓を構える。


 十数匹の群れだ。


 しかし、様子がおかしい。


「街へ向かってる……」


 俺は気づいた。


 魔物たちは俺たちを狙っているのではない。


 何かから逃げている。



---




 グレイウルフの群れが街道を横切っていく。


「どういうこと?」


 レティシアが困惑する。


 その直後。


 森の奥から――


 ドォォォン!!


 巨大な音が響いた。


 木々が倒れる。


 鳥たちが一斉に飛び立つ。


「……何か来る」


 俺は息を呑む。


 森の中に巨大な魔力がある。


 でも、こっちへ来ているわけじゃない。


「大丈夫」


 俺は言う。


「今のところ、街道には来ない」


 しかし――


 遠くで咆哮が響く。


 ――グォォォォォッ!!


 地面が震えるほどの声。


 避難民たちが怯える。



---




 逃げてきたグレイウルフの一部が、混乱してこちらへ向かってきた。


「迎え撃つ!」


 レティシアが剣を抜く。


「エリス、後ろをお願い!」


「はい!」


 俺は魔力を集中する。


 群れが迫る。


「《フレイムスパイラル》!」


 ――ゴォォォッ!


 炎の渦が前方を塞ぐ。


 グレイウルフたちが急停止する。


「今!」


 レティシアが飛び込む。


 ――ザンッ!


 エリスの矢が次々と飛ぶ。


 ――シュッ!


 ――シュッ!


 俺も《ウィンドバレット》で援護する。


 短い戦闘の末、群れを撃退した。



---




「ありがとうございました!」


 村人が頭を下げる。


「気にしないでください」


 レティシアが笑う。


 俺は森を見る。


 まだ、あの巨大な魔力が消えていない。


 むしろ――


 少しずつこちらへ近づいている。


「キラ?」


 エリスが俺の表情を見る。


「……嫌な感じがする」



---




 しばらくして、伝令が街道へ駆け込んできた。


「緊急連絡!」


 全員が振り向く。


「北西鉱山の地下で、Aランク相当のグレートオーガが暴れています!」


 やはり、あの魔物だった。


「討伐隊は?」


 レティシアが聞く。


「Cランク冒険者が中心になって戦っています!」


「勝てそう?」


 伝令は答えなかった。


 その沈黙だけで十分だった。



---




 俺は地図を見る。


 北西鉱山。


 街。


 そして避難民。


「……もし討伐隊が負けたら?」


 エリスが答える。


「魔物が街まで来る可能性があります」


「だったら――」


 俺は街道の先を見る。


「俺たちはここを守る」


 レティシアが頷く。


「うん」


「鉱山には行かないんですか?」


 エリスが尋ねる。


「今の俺たちじゃ、Aランク相当の魔物には勝てない」


 悔しい。


 だけど、無謀と勇気は違う。


「それより、逃げてくる魔物や人を止める」


 レティシアが笑った。


「それも立派な仕事だよ」



---




 一方――


 北西鉱山の地下。


 グレートオーガが巨大な拳を振り下ろす。


 ――ドゴォォォン!!


「くっ!」


 Cランク冒険者が吹き飛ばされる。


 黒いローブの男が封印魔法を展開する。


「《封印鎖》!」


 黒い鎖がグレートオーガの腕に絡みつく。


 だが――


 バキッ!


 簡単に引きちぎられる。


「……このままでは止められない」


 男が呟く。


 グレートオーガの胸にある黒い結晶。


 そこから、さらに魔力が流れ込んでいる。


「黒き核が、こいつを強化している……」



---




 グレートオーガが突然、鉱山の奥を見る。


「……?」


 何かを感じ取ったようだった。


 ゆっくりと歩き始める。


「待て!」


 Cランク冒険者が追う。


 しかし、グレートオーガは彼らを無視して――


 古代遺跡のさらに奥へ進んでいく。


 そこには巨大な石碑があった。


 黒き核に関する古代文字。


 そして、その中央には――


「選ばれし器」


 という文字が刻まれていた。


 グレートオーガが石碑へ手を伸ばす。


 ――ドクン。


 黒い結晶が脈動した。


 その瞬間。


 街道にいた俺も、突然胸の奥に強烈な違和感を感じた。


「……っ!」


「キラ?」


 レティシアが心配そうに見る。


 俺は胸を押さえる。


「今……何かが……」


 遠く北西の方角。


 黒い魔力が、一瞬だけ空まで立ち昇った。


 そして――


 古代遺跡の封印が、一つ解除された。


第83話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。