81話 行方不明者二名
街へ戻った翌日。
俺たちは冒険者ギルドへ向かった。
昨日出会った黒いローブの男。
そして、北西鉱山から戻ってきた冒険者。
気になることが多すぎる。
「昨日の人、結局何者だったんだろうね」
レティシアが言う。
「分からない」
俺は答える。
「でも、黒き核について何か知っているのは間違いないと思う」
「敵ではない……とも言い切れませんね」
エリスが続ける。
「うん」
俺も同じ考えだった。
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調査隊の帰還
ギルドへ入ると、受付が騒がしい。
「調査隊が戻ってきたそうですよ」
受付嬢が教えてくれた。
「全員ですか?」
「……いえ」
その言葉に、俺たちは黙った。
昨日倒れていた冒険者を含め、何人かは戻ってきた。
しかし――
二人が行方不明。
そして、鉱山の奥では異常な魔力反応が確認されたらしい。
「何があったんですか?」
俺が尋ねる。
受付嬢は声を落とした。
「調査隊は、鉱山の奥で古い地下施設を発見したそうです」
「地下施設?」
「はい」
古代遺跡へ繋がっている可能性がある。
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ギルドはすぐに上位冒険者を集め、再調査を行うことを決めた。
「今回はかなり危険な依頼になります」
受付嬢が言う。
「ですから、Dランクの皆さんには参加していただけません」
「……分かりました」
レティシアが少し残念そうにする。
俺も悔しい。
でも、今の自分たちが無理に入っていけば、昨日の調査隊と同じ目に遭うかもしれない。
「今は別の依頼を受けよう」
俺が言うと、二人も頷いた。
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俺たちは街の近くの森を巡回する依頼を受けた。
危険度は低い。
魔物の数を確認し、必要なら討伐する。
地味な仕事だ。
でも――
こういう依頼も大切だ。
「……平和だね」
レティシアが伸びをする。
「そういう日が続けばいいんだけど」
俺は笑う。
そのとき。
森の奥から物音がした。
「魔物?」
エリスが弓を構える。
俺は魔力感知を使う。
「一体」
木々の間から現れたのは――
ブラウンボア。
大型の猪型魔物だ。
「こいつなら問題ないね」
レティシアが剣を構える。
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ブラウンボアが突進する。
「来るよ!」
レティシアが横へ避ける。
俺は風魔法で軌道をずらす。
「《ウィンドカッター》!」
――シュッ!
傷を負わせる。
エリスが矢を放つ。
――シュッ!
そしてレティシアが止めを刺した。
「終わり!」
戦闘は短時間で終わった。
「前より楽になってない?」
レティシアが首を傾げる。
「たぶん、三人とも強くなってる」
俺もそう感じた。
以前なら苦戦していた魔物でも、今は連携すれば余裕を持って倒せる。
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依頼の帰り。
俺は少し離れた場所にある岩へ向けて杖を構えた。
「少し試したい」
「新魔法?」
「うん」
俺は風と炎の魔力を同時に集める。
――ゴォッ。
炎が渦を巻く。
「《フレイムスパイラル》!」
炎の渦が岩を包み込む。
――ドゴォン!
岩の表面が大きく削れた。
「威力、上がってるね」
レティシアが驚く。
「魔力の使い方が少し分かってきた」
《フレイムスパイラル》は、俺が最初に作った本格的な攻撃魔法の一つ。
使い続けるほど、少しずつ扱いやすくなっている。
「《ウィンドバレット》も練習してみる」
今度は魔力を一点へ圧縮する。
「《ウィンドバレット》!」
――ドンッ!
今度は狙った場所へ正確に命中した。
「こっちは精度が上がったね」
エリスが言う。
「うん」
魔法も、ただ数を増やせばいいわけじゃない。
今ある魔法を磨く。
その大切さを実感していた。
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街へ戻ると、ギルドの掲示板に新しい情報が出ていた。
『北西方面への立入制限』
そして、その下には小さくこう書かれている。
『古代遺跡周辺で、複数の魔物による異常行動を確認』
「……また魔物が増えてる」
レティシアが呟く。
俺は掲示板を見つめる。
黒き核。
魔物の異常強化。
古代遺跡。
そして、あの黒いローブの男。
すべてが繋がっている気がする。
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その頃
北西鉱山の地下。
黒いローブの男が、一人で歩いていた。
手には小さな黒い結晶。
「あと少しだ」
地下深くにある巨大な扉。
その表面には、古代文字が刻まれている。
男は扉へ手を当てた。
「まだ眠っていろ」
すると――
扉の向こうから、
ドクン……
心臓のような音が響いた。
男の表情が険しくなる。
「……もう時間がない」
その瞬間。
男の背後から声がした。
「そこにいたか」
振り返る。
そこに立っていたのは――
ギルドの調査隊を率いていた、あのCランク冒険者だった。
「お前は何者だ?」
男は答えない。
ただ、黒い結晶を握りしめた。
「……邪魔をするなら、あなたも巻き込まれる」
地下に、再び――
ドクン……
という音が響いた。
第81話 終




