77話 群れの王
森の奥から駆けつけた冒険者たちが、村へ到着した。
「遅くなった!」
先頭にいるのは、三人の冒険者。
全員がDランク以上のようだ。
「ナイトウルフキングだと?」
一人が森を見る。
「それだけじゃありません!」
エリスが叫ぶ。
「普通のナイトウルフも、まだたくさんいます!」
「分かった。まず群れを減らす!」
冒険者たちが武器を構える。
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「俺たちは左側を!」
レティシアが叫ぶ。
「了解!」
新しく来た冒険者たちが右側へ回る。
ナイトウルフの群れが一斉に襲いかかる。
「《ウィンドステップ》!」
エリスの補助魔法が全員を包む。
動きが一段速くなる。
レティシアが先頭のナイトウルフを斬り伏せる。
――ザンッ!
俺も魔法で援護する。
「《ウィンドバレット》!」
――ドンッ!
エリスの矢が続く。
――シュッ!
少しずつ、群れの数が減っていく。
「この調子!」
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しかし――
ナイトウルフキングが動いた。
目標は、俺たちではない。
村の中央。
避難している村人たちだ。
「まずい!」
俺は叫ぶ。
キングが一気に走る。
「させない!」
レティシアが前へ飛び出す。
――ガキィン!
爪と剣がぶつかる。
「ぐっ……!」
レティシアが押される。
俺はすぐに魔法を放つ。
「《ウィンドカッター》!」
キングが横へ跳ぶ。
そこへエリスの矢。
――シュッ!
だが、キングは空中で身体をひねり、矢を避けた。
「速すぎる……!」
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俺は考える。
正面から攻撃しても勝てない。
なら――
「エリス!」
「はい!」
「キングの動きを止められる?」
「やってみます!」
エリスが弓を引く。
狙うのはキングではない。
その足元。
――シュッ!
矢が地面に刺さる。
「《アースバインド》!」
エリスが補助魔法を発動。
地面から細い根が伸び、キングの足へ絡みつく。
「今!」
レティシアが突っ込む。
――ザンッ!
キングの肩を斬る。
「浅い!」
「でも、効いてる!」
俺はキングの胸を見る。
黒い結晶。
やはり、あれが力の源だ。
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「レティシア!」
「分かってる!」
再びキングが襲いかかる。
レティシアが避ける。
エリスが矢を放つ。
俺は《ルミナ》を使う。
「《ルミナ・フレア》!」
――パァァッ!
黒い魔力が薄くなる。
「今!」
レティシアが踏み込む。
――ザンッ!!
剣が胸元の黒い結晶へ直撃する。
――ピシッ。
「……!」
小さな亀裂。
「傷が入った!」
俺たちの目が見開かれる。
黒い結晶に、初めて亀裂が入った。
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しかし次の瞬間。
キングが絶叫した。
「グルァァァァァッ!!」
黒い魔力が爆発的に広がる。
「危ない!」
俺たちは吹き飛ばされる。
地面を転がる。
「キラ!」
「大丈夫!」
立ち上がろうとする。
だが――
キングの姿が変わっていた。
黒い魔力が身体を覆い、目が赤く輝いている。
「さっきより……強い」
俺は息を呑む。
黒い結晶に入った亀裂から、逆に大量の魔力が流れ出している。
「結晶を壊したから、暴走したんだ……」
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キングがこちらを見る。
「来る!」
レティシアが構える。
――ドンッ!
一瞬で距離を詰められる。
「速い!」
レティシアが防御する。
――ガキィン!
剣が弾き飛ばされる。
「レティシア!」
俺は風魔法を使う。
「《ウィンドバレット》!」
キングの身体が少し揺れる。
その隙にエリスが矢を放つ。
――シュッ!
だが、キングは止まらない。
「まずい……!」
俺たちだけでは防ぎきれない。
その瞬間――
「伏せろ!」
後方から声が響いた。
先ほど駆けつけた冒険者の一人が、巨大な斧を構えている。
「《パワーブレイク》!」
――ドゴォン!!
斧の一撃がキングの横腹を捉える。
巨体が吹き飛んだ。
「今だ! 全員で攻撃しろ!」
討伐隊が一斉に動く。
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冒険者たちがキングを包囲する。
俺たちも立ち上がる。
「キラ」
レティシアが剣を拾う。
「もう一回、あの魔法を使える?」
「……一回なら」
「じゃあ、やろう」
エリスも弓を構える。
「三人で」
俺は頷く。
「うん」
魔力を集中する。
「《ルミナ・フレア》!」
――パァァァァッ!!
黒い魔力が大きく薄れる。
「今だ!」
エリスの矢が結晶の亀裂へ飛ぶ。
――シュッ!
矢が突き刺さる。
「はぁぁっ!」
レティシアが駆ける。
――ザンッ!!
剣が結晶を捉えた。
――パキィィン!!
黒い結晶が砕け散った。
ナイトウルフキングが大きく咆哮する。
そして――
その巨体が地面へ倒れた。
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森に静寂が戻る。
残っていたナイトウルフたちは、キングが倒れたことで逃げていった。
「……終わった」
レティシアが息を吐く。
「終わったね」
俺も座り込む。
エリスが微笑む。
「皆さんのおかげです」
駆けつけた冒険者たちも笑う。
「いや、君たち三人が最初に時間を稼いでくれたからだ」
「そうじゃなきゃ村人を守れなかった」
俺たちは顔を見合わせる。
自分たちだけで倒したわけじゃない。
それでも――
今回の戦いで、三人の連携がまた一つ成長した。
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レベルアップ
宿へ戻った夜。
俺はステータスを確認する。
【ステータス】
名前:キラ
年齢:12歳
冒険者ランク:D
レベル:43
「43……」
ナイトウルフキングとの戦いで、一気にレベルが三つ上がっていた。
だけど――
数字だけでは、まだ足りない。
今日の戦いで、それを改めて思い知らされた。
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そしてギルドでは、砕けた黒い結晶の調査が始まっていた。
結晶がなくなったことで、村周辺の黒い魔力は弱まった。
だが、研究員が魔力測定器を見る。
「……待て」
「どうした?」
「この結晶は、ただの欠片じゃなかったのかもしれない」
測定器の針が、北西の方向を示している。
「まだ別の欠片がある」
しかも――
その反応は、これまで確認されたものより遥かに大きかった。
第77話 終




