67話 鉱山調査
レベル30になってから、しばらく。
俺たちはEランクの依頼をこなし続けていた。
魔物討伐。
護衛。
採取。
少しずつ実績を積み重ねている。
そして――
「キラ!」
朝のギルドで、レティシアが一枚の依頼書を持ってきた。
「これ、どう?」
依頼書には――
『街道周辺のゴブリン討伐』
対象はゴブリン。
ただし――
複数の群れが確認されている。
「最近、ゴブリン多くない?」
レティシアが首を傾げる。
「確かに」
俺は依頼書を見る。
以前なら気にしなかった。
でも今は、魔物の増加と黒い魔力が頭に浮かぶ。
「調べてみよう」
---
街道から少し離れた森。
俺は魔力感知を使う。
「……いる」
「何匹?」
「十匹くらい」
レティシアが剣を抜く。
「前より多いね」
「でも、黒い魔力は薄い」
エリスが頷く。
「影響を受けている個体は少なそうです」
「じゃあ、行こう」
三人で森へ入る。
ゴブリンたちがこちらに気づく。
「ギャギャ!」
一斉に向かってくる。
---
「エリス!」
「はい!」
補助魔法が発動する。
「《ウィンドステップ》!」
レティシアが一気に前へ出る。
「まとめて相手するよ!」
剣を振る。
――ザンッ!
一体。
俺は少し離れた場所から魔法を放つ。
「《ウィンドカッター》!」
――シュッ!
もう一体。
エリスの矢がさらに一体を倒す。
「残り!」
レティシアが駆ける。
三人の動きが以前より噛み合っている。
数分後。
最後のゴブリンが倒れた。
---
ギルドへ戻る。
受付嬢が討伐結果を確認する。
「お疲れ様でした」
「これで、Dランクには?」
レティシアが期待する。
受付嬢が少し困った顔をする。
「もう少し実績が必要ですね」
「えぇ……」
レティシアが肩を落とす。
「Eランクになったばかりですから、そんなにすぐには上がりませんよ」
「そっか」
俺も頷く。
ランクはレベルだけで決まるわけじゃない。
依頼達成数。
難易度。
実績。
そして冒険者としての信頼。
「焦らずやろう」
「うん」
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受付嬢が別の依頼書を見せてくれた。
「もし実績を積みたいのであれば、こちらはいかがでしょう?」
そこに書かれていたのは――
『鉱山跡周辺の魔物討伐』
対象は、
ロックリザード。
「少し難しい依頼ですね」
エリスが言う。
「Eランクでも受けられますが、十分注意してください」
俺は依頼書を見る。
「受けよう」
「いいの?」
レティシアが聞く。
「Dランクを目指すなら、少しずつ難しい依頼にも挑戦しないと」
レティシアが笑う。
「じゃあ決まり!」
---
翌日。
俺たちは古い鉱山へ向かった。
入口には大きな岩。
その周辺には、爪痕が残っている。
「ロックリザードがいる」
エリスが言う。
俺も魔力を探る。
「二匹……いや、三匹」
暗闇から音がする。
――ガサッ。
巨大なトカゲが姿を現した。
岩のように硬い鱗。
「これがロックリザード……」
レティシアが剣を構える。
「硬そう」
「普通に斬るのは難しそうだね」
俺は魔力を集める。
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「俺が鱗を削る!」
炎を集める。
「《フレイムスパイラル》!」
炎がロックリザードを包む。
――ゴォォッ!
鱗が赤くなる。
「今!」
レティシアが踏み込む。
――ザンッ!
炎で弱くなった部分を斬り裂く。
「やった!」
しかし、別のロックリザードがエリスへ向かう。
「エリス!」
俺はとっさに《ルミナ》を飛ばす。
光がロックリザードの目の前で輝く。
「眩しい!」
魔物が一瞬怯む。
その隙に――
――シュッ!
エリスの矢が飛ぶ。
「ありがとうございます!」
「《ルミナ》……こういう使い方もできる」
俺は新しい可能性を感じた。
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Dランクへの一歩
戦闘は無事に終わった。
依頼達成。
そして――
【ステータス】
名前:キラ
年齢:12歳
冒険者ランク:E
レベル:32
ロックリザードとの戦闘で、レベルが二つ上がっていた。
「32……」
レベルは順調に上がっている。
だけど、Dランクへの昇格にはまだ時間が必要だ。
それでもいい。
一つずつ進んでいけばいい。
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鉱山跡から帰る途中。
エリスが突然立ち止まった。
「……待ってください」
「どうしたの?」
「この鉱山……」
エリスが入口を見る。
「古いですが、魔力の痕跡があります」
俺も感知する。
確かに。
ほんの僅かだが――
黒い魔力。
まただ。
西街道。
森林。
山間部。
そして、この鉱山。
異変は、確実に広がっている。
第67話 終




