66話 目覚め
冒険者ギルドに着くと、昨日話していた冒険者たちが集まっていた。
その中心には、見覚えのある地図が広げられている。
「昨日の洞窟の話、聞きたい?」
レティシアが小声で言う。
「うん」
俺たちは少し離れた場所から耳を傾ける。
「洞窟の奥には、確かに古い遺跡があった」
「何の遺跡だ?」
「それが分からない」
冒険者の一人が首を振る。
「ただ、普通の遺跡じゃない。壁には古い文字が刻まれていた」
エリスが反応する。
「古代文字……」
「読める?」
「少しなら」
エリスが答える。
そのとき、ギルド職員がこちらへ来た。
「エリスさん。少しお願いできますか?」
「私ですか?」
「はい。昨日の調査隊が持ち帰った資料を見ていただきたいのです」
俺たちも一緒に奥の部屋へ案内された。
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机の上には、数枚の紙と石板の写しが置かれていた。
「これが遺跡の壁にあった文字です」
エリスが写しを見る。
しばらく黙っていたが――
「……全部は読めません」
「分かる部分だけで構いません」
エリスが指で文字を追う。
「『魔力を封じる場所』……」
俺は顔を上げる。
「封じる?」
「はい。ですが、その後ろの部分が欠けています」
エリスが別の文字を見る。
「……『決して――』」
そこから先は読めない。
「何かを封印していたのか?」
「おそらく」
俺は昨日見た黒い石を思い出す。
「じゃあ、黒い石は……」
「まだ分かりません」
エリスは慎重に答える。
「ただ、遺跡の周囲に黒い石があったのは事実です」
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「だったら、その遺跡を調べればいいんじゃない?」
レティシアが言う。
俺は首を横に振った。
「俺たちはまだEランクだよ」
「……そうだった」
「昨日の調査隊だって、上のランクの人たちが行ってる。俺たちが勝手に入るのは危険だ」
レティシアは少し残念そうにしながらも頷く。
「分かった」
今は無理をする時じゃない。
自分たちの力を過信しない。
それも、最近の冒険で学んだことだった。
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午後。
ギルドの掲示板を見る。
遺跡の件も気になる。
けれど、俺たちが受けられる依頼はいつも通りだ。
「これにしよう」
俺が一枚の依頼書を取る。
『農村周辺の魔物討伐』
対象は――
ワイルドボア。
「アーマードボアじゃないよね?」
レティシアが確認する。
「違うみたい」
「なら大丈夫そう」
俺たちは依頼を受け、近くの農村へ向かった。
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村の外れ。
畑を荒らしている魔物を探す。
「いた!」
レティシアが指差す。
三匹のワイルドボア。
大きな牙を持っているが、アーマードボアほどではない。
「行こう!」
レティシアが駆け出す。
ワイルドボアが突進する。
――ドドドドッ!
「《ウィンドステップ》!」
エリスの補助魔法。
レティシアが横へ飛ぶ。
ワイルドボアが通り過ぎた瞬間――
――ザンッ!
一撃。
「もう一匹!」
俺は魔力を集める。
「《ウィンドカッター》!」
風の刃が飛ぶ。
ワイルドボアの足を切り、動きを止める。
そこへエリスの矢が飛ぶ。
――シュッ!
最後の一匹も倒れた。
「終わり!」
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村人から礼を言われ、依頼を終える。
「最近、三人の連携がかなり良くなってるね」
レティシアが言う。
「最初の頃よりはね」
俺も頷く。
レティシアは前衛。
エリスは弓と補助魔法。
俺は魔法を中心に、状況に合わせて動く。
三人それぞれの役割が少しずつ固まってきた。
まだ完璧じゃない。
でも――
確実に強くなっている。
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レベル30
依頼を終え、宿へ戻る。
いつものようにステータスを確認する。
【ステータス】
名前:キラ
年齢:12歳
冒険者ランク:E
レベル:30
「30……」
ついに大台に乗った。
「おめでとう!」
レティシアが笑う。
「ありがとう」
エリスも嬉しそうに頷く。
「順調ですね」
俺はステータスを見つめる。
でも、レベル30になったからといって、急に何かが変わったわけじゃない。
アーマードボアには、まだ勝てない。
もっと強い魔物なら、なおさらだ。
だから――
これからも努力する。
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その頃。
俺たちが知らない場所で、遺跡の調査が続いていた。
「この壁画……」
調査隊の一人が松明を掲げる。
壁には、巨大な魔法陣が描かれていた。
そして、その中央には――
黒い石が埋め込まれている。
「触るな!」
別の冒険者が叫ぶ。
しかし、一瞬遅かった。
魔法陣の一部が淡く光る。
――ゴゴゴゴゴ……。
遺跡の奥から、低い音が響く。
「何だ……?」
誰も動けない。
やがて魔法陣の光は消えた。
だが、その直後。
遺跡のさらに奥で――
何かが目を覚ました。
第66話 終




