63話 ルミナ
翌朝。
俺は昨日から考えていた魔法の練習をしていた。
指先に魔力を集める。
小さな光が浮かぶ。
――フワッ。
今度は消えない。
「おお……!」
レティシアが目を輝かせる。
「昨日より長くなってる!」
「うん」
俺は集中を続ける。
小さな光は、ゆっくりと俺の周囲を漂う。
「これ、何に使うの?」
「まだ分からない」
攻撃するための魔法ではない。
周囲を照らすこともできる。
でも、それだけじゃない気がする。
「魔力を細かく動かす練習にもなるんだ」
エリスが光を見つめる。
「魔力そのものを操る魔法……」
「そう」
俺は頷いた。
「名前をつけようと思ってる」
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いくつか候補を考える。
でも、どれもしっくりこない。
「《マジックライト》は?」
レティシアが言う。
「普通すぎない?」
「じゃあ《ライトボール》」
「それも普通」
「難しいね」
エリスが少し考える。
「《ルミナ》というのはどうでしょう?」
「ルミナ……」
俺は指先の光を見る。
悪くない。
「よし」
俺は頷いた。
「この魔法は――**《ルミナ》**にする」
光が少しだけ強くなった。
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俺は《ルミナ》を浮かせたまま歩いてみる。
「便利だね」
レティシアが言う。
「夜の探索にも使えそう」
「それだけじゃない」
俺は光を少し遠くへ動かす。
――フワッ。
光が木の向こうへ移動する。
「遠くまで動かせるんだ」
「魔力操作が細かくできるからね」
俺は考える。
もしもっと自由に動かせるようになれば――
遠くの場所を照らす。
敵の位置を確認する。
目印にする。
魔力感知と組み合わせる。
使い方はいくらでもありそうだ。
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昼になると、俺たちはギルドへ向かった。
Eランクになってから、受けられる依頼も少し増えている。
「今日はこれにしよう」
レティシアが依頼書を取る。
『街道周辺の魔物討伐』
対象は――
フォレストウルフ。
「ホーンウルフよりは弱いかな?」
「群れなら注意が必要です」
エリスが答える。
「じゃあ、行こう」
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街道から少し離れた森。
魔力感知を使う。
「……六匹」
木々の間を何かが走る。
「来る!」
フォレストウルフが一斉に飛び出す。
「《ウィンドステップ》!」
エリスの補助魔法。
俺たちの動きが速くなる。
レティシアが前に出る。
「私が二匹!」
俺は反対側へ。
「じゃあ俺も二匹!」
残り二匹をエリスが狙う。
――シュッ!
矢が飛ぶ。
一匹が倒れる。
「もう一匹!」
エリスが次の矢を放つ。
――シュッ!
命中。
「さすが!」
俺も魔力を集める。
「《フレイムスパイラル》!」
炎の螺旋が二匹を巻き込む。
レティシアが最後の一匹へ走る。
――ザンッ!
戦闘終了。
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俺は倒したフォレストウルフを見る。
「……やっぱり」
また黒い魔力。
今回はかなり薄い。
けれど確かに残っている。
「どの魔物にもある」
レティシアが眉をひそめる。
「これ、どんどん増えてない?」
「たぶん」
エリスが周囲を見る。
「でも、この個体には強い影響は出ていません」
「じゃあ、黒い魔力が濃くなるほど魔物が強くなる?」
「可能性はあります」
俺は黙る。
もしそうなら――
黒い石がある場所では、もっと強い魔物が生まれる。
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依頼を終えたあと。
俺はもう一度を使ってみた。
今度は三つ。
「《ルミナ》」
三つの光が浮かぶ。
「おお!」
レティシアが驚く。
でも――
「……疲れる」
魔力がかなり減る。
「まだ一つが限界みたい」
エリスが頷く。
「一つを安定させることからですね」
「うん」
新魔法は完成したわけじゃない。
これから練習して、少しずつ使いこなしていく。
それが今の俺の課題だ。
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夜。
宿でステータスを確認する。
【ステータス】
名前:キラ
年齢:12歳
冒険者ランク:E
レベル:27
フォレストウルフとの戦闘で、レベルが一つ上がっていた。
少しずつだけど、成長している。
俺はステータスを閉じる。
「次はDランクか……」
まだ先は長い。
でも、一歩ずつ進めばいい。
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その頃。
ギルドでは、西街道・南部森林・山間部の地図が並べられていた。
三つの地点を結ぶ線。
その先には――
一つの古い遺跡がある。
「……ここか」
調査担当の冒険者が呟く。
長い間、人が近づいていない場所。
そこから――
ごく微かな黒い魔力が漏れ出していた。
第63話 終




