↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
52/271

51話 三人目の仲間



 セレスタへ戻る街道。


 俺とレティシアは、北街道で出会ったエルフの少女について話していた。


「変わった子だったね」


「うん」


 弓を持っていた。


 けれど、弓は苦手だと言っていた。


 エルフなのに、弓も魔法も苦手。


 それだけが、妙に気になっていた。


「また会えるかな?」


「分からない」


 俺がそう答えたときだった。


「――待ってください!」


 後ろから声がした。


 振り返る。


 そこにいたのは、先ほどのエルフの少女だった。


 息を切らしながら、こちらへ走ってくる。


「どうしたの?」


 レティシアが尋ねる。


「……少し、お願いがあります」


 少女は息を整えながら言った。


「私も……一緒に行ってもいいですか?」



---


名前


「一緒に?」


 俺が聞き返す。


「はい」


「どうして?」


 少女は少し俯いた。


「一人で旅をすることに、少し疲れてしまって……」


 少し迷ったあと、少女は顔を上げた。


「それに、お二人と一緒にいると……不思議と安心するので」


 レティシアが笑う。


「私はいいと思うよ」


「レティシア、まだ名前も知らないよ」


「あっ」


 少女が少しだけ笑った。


「そうですね」


 そして胸元に手を当てる。


「私は――エリスです」


「エリス……」


「はい」


「俺はキラ」


「私はレティシア!」


「よろしくお願いします」


 エリスは丁寧に頭を下げた。



---




 三人で街道を歩く。


 しばらくすると、レティシアがエリスの弓を見る。


「エリスって、ずっと弓を使ってるの?」


「はい」


「エルフなら、やっぱり弓が得意なの?」


 その質問に、エリスは少しだけ表情を曇らせた。


「……そういう人が多いと思います」


「エリスは?」


「私は……」


 エリスは少し黙った。


「昔から、あまり上手くありませんでした」


「そうなんだ」


「はい」


 それ以上は話さなかった。


 自分から話したくないことなのかもしれない。


 俺も、それ以上は聞かなかった。


 ただ、一瞬だけ見えたエリスの表情が気になった。



---




「じゃあ、魔法は?」


 今度は俺が尋ねる。


「少しなら使えます」


「どんな魔法?」


「補助魔法です」


「見せてもらってもいい?」


「はい」


 エリスは立ち止まり、手を前へ出す。


「《ウィンドステップ》」


 淡い風が俺たちの足元を包んだ。


「……!」


 体が軽い。


 足を一歩踏み出すと、いつもより明らかに速く動けた。


「すごい!」


 レティシアが驚く。


「これ、補助魔法?」


「はい」


「十分すごいじゃん!」


 エリスは戸惑ったようにレティシアを見る。


「……そう、でしょうか」


「うん!」


 レティシアは迷いなく答えた。


 エリスは少しだけ笑った。



---




「弓も見せてよ!」


 レティシアが言う。


「……あまり上手くありませんよ?」


「一回だけ!」


 エリスは苦笑しながら弓を構えた。


 街道脇の木。


 その枝に、小さな木の実がある。


 エリスは静かに狙いを定める。


 ――シュッ!


 矢は木の実の横を通り過ぎた。


「あ……」


 エリスが弓を下ろす。


「やっぱり、駄目ですね」


「もう一回やってみようよ」


 レティシアが言う。


「でも――」


「一回失敗しただけじゃん!」


 エリスは少し驚いた顔をした。


 俺も頷く。


「もう一度やってみよう」


「……はい」


 エリスは再び弓を構えた。


 今度は少しだけ狙いを変える。


 ――シュッ!


 矢が木の実に当たった。


 ポトッ。


 木の実が地面に落ちる。


「当たった!」


 レティシアが喜ぶ。


「……当たった」


 エリスも驚いている。


 そして――


 ほんの少しだけ、嬉しそうに笑った。



---




 再び街道を歩く。


「エリス」


「はい」


「よかったら、しばらく俺たちと一緒に行かない?」


 エリスが足を止める。


「私と……?」


「うん」


「でも、私はまだ何も――」


「補助魔法がある」


 俺は言った。


「それに、弓もこれから上手くなればいい」


「そうそう!」


 レティシアも笑う。


「三人の方が楽しそう!」


 エリスは二人を見つめる。


 すぐには答えなかった。


 やがて――


「……少しだけ、お世話になってもいいですか?」


「もちろん」


「やった!」


 レティシアが嬉しそうに笑う。


 エリスも小さく笑った。


 こうして俺たちは、しばらく三人で行動することになった。


 まだ正式な仲間というわけではない。


 ただ――


 この日から、三人で歩く時間が始まった。



---




 一方、その頃。


 南部森林の調査隊がセレスタへ戻ってきていた。


 ギルド内に緊張が走る。


「森の奥で、異常な魔力源を確認した」


 調査隊の一人が報告する。


「魔物たちは、その魔力から逃げている可能性が高い」


「つまり……」


「あの大量発生は、森から追い出された魔物たちだったということだ」


 周囲の冒険者たちがざわめく。


 さらに男が続ける。


「そして、その魔力源は今も強くなっています」


 ギルド内が静まり返った。


 セレスタを襲った魔物の群れ。


 それは、この異変の始まりにすぎなかった。



---


 北街道を歩く三人。


 レティシアが楽しそうに話している。


 エリスはまだ少し緊張している。


 俺は二人の前を歩きながら、ふと後ろを見る。


 エリスは弓を背負っている。


 その表情には、まだどこか遠慮がある。


 彼女がどんな過去を持っているのか。


 俺たちはまだ知らない。


 けれど――


 いつか、その過去も知ることになるのだろう。


 今はただ。


 三人で歩いていけばいい。


第51話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。