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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

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43話 もっと強く



 セレスタの街を出て、俺と――昨日出会った「少年」は、街道を走っていた。


 昨日の突然の爆発音。


 街の外から上がった土煙。


 俺たちは、その原因を確かめるために走っていた。


「急いで!」


「分かってる!」


 隣を走る少年。


 短い赤髪が風に揺れている。


 やっぱり、元気な奴だ。


「君、名前は?」


 昨日聞きそびれていた。


「そういえば言ってなかったね!」


 少年が振り返る。


「私――」


「……私?」


 俺の足が止まった。


 少年も止まる。


「何?」


「今、私って言った?」


「言ったけど?」


「……女の子?」


「そうだけど?」


「…………」


 俺は固まった。


 昨日からずっと少年だと思っていた。


 服装も動きも活発で、話し方も気にしていなかった。


 まさか――


「女の子だったの?」


「今さら!?」


 少女が目を丸くする。


「昨日から一緒に歩いてたよね!?」


「いや……」


「普通、気づくでしょ!」


「ごめん……」


「もう!」


 少女は頬を膨らませる。


 そして腰に手を当てた。


「私はレティシア。12歳!」


「……俺はキラ。12歳」


「それは昨日聞いたよ」


「そうだった」


 レティシアは呆れたように笑った。


「キラって、ちょっと変だね」


「君に言われたくない」


「なんで!?」


 思わず二人で笑った。


 昨日出会ったばかりなのに、不思議と話しやすかった。



---




 そのとき。


 ――ドォン!


 また大きな音が響いた。


「今度は近い!」


 レティシアが叫ぶ。


 俺は魔力感知を使う。


「……魔物がいる」


「何体?」


「分からない。でも、かなりいる」


 前方の草原。


 そこには荷馬車が倒れていた。


 周囲には数匹の魔物。


 そして、荷馬車の横で必死に戦っている人たちがいる。


「助けないと!」


 レティシアが走り出す。


「待って!」


 俺も後を追う。



---


「はぁっ!」


 レティシアが腰の二本の剣を抜く。


 ――キィン!


 二本の刃が太陽の光を反射する。


「双剣……!」


 俺が驚く。


「見てないで援護して!」


「分かった!」


 俺は手を前へ向ける。


「《風刃》!」


 風の刃が飛ぶ。


 魔物の足元を切り裂く。


「今!」


「任せて!」


 レティシアが一気に距離を詰める。


 ――ザンッ!


 一体。


 続けて身体を回転させる。


 ――ガキン!


 魔物の攻撃を二本の剣で受け流す。


「速い……!」


 俺は思わず声を漏らした。


 レティシアは俺より身体能力が高い。


 正面から突っ込むことに迷いがない。


「キラ!」


「分かってる!」


 俺は魔力を集中する。


「《火球》!」


 ――ボッ!


 炎が魔物へ飛ぶ。


 レティシアが横へ飛ぶ。


 その直後――


 ――ドォン!


 炎が魔物を吹き飛ばした。


「やった!」


「まだ!」


 俺は叫ぶ。


 魔力感知に反応がある。


「後ろ!」


「え?」


 レティシアが振り返る。


 魔物が一体、背後から迫っていた。


 俺は走る。


「危ない!」


 剣を抜く。


 ――ガキィン!


 魔物の攻撃を受け止める。


「ぐっ……!」


 重い。


 腕が震える。


「キラ!」


 レティシアが飛び込んでくる。


「どいて!」


 俺が横へ避ける。


 レティシアの双剣が閃く。


 ――ザシュッ!


 魔物が倒れた。


「……助かった」


「こっちこそ!」


 レティシアが笑う。


「いい連携だったね!」


「うん」


 初めて一緒に戦った。


 なのに、不思議と動きが合っていた。



---




 


 荷馬車の持ち主たちがこちらを見る。


「子供……?」


「二人だけで魔物を倒したのか?」


「12歳くらいじゃないか?」


「双剣のあの動き……」


「それに、あの少年の魔法……」


 周囲から驚きの声が上がる。


 俺は少し恥ずかしくなった。


 レティシアは逆に胸を張っている。


「私たち、結構やるでしょ!」


「レティシア、俺たちって……」


「もう仲間みたいなものじゃない?」


「まだ会って二日だけど」


「細かいことはいいの!」


 この子は本当に元気だ。



---




 荷馬車の人たちを助けたあと。


 俺たちは街へ戻ることになった。


 歩きながら、俺はレティシアに聞く。


「レティシアは、どうして旅をしてるの?」


「私?」


「うん」


 レティシアは少し考えた。


「強くなりたいから」


「強く?」


「うん」


 二本の剣を見る。


「私、もっと強くなって、いろんな場所を見たい」


「故郷は?」


「あるよ」


「帰らないの?」


「帰るよ。でも、今は外に出たい」


 レティシアは笑った。


「キラは?」


「俺も……」


 俺は少し考える。


「強くなりたい」


 そして、新しい魔法を作りたい。


 世界を見たい。


 自分の中にある謎も知りたい。


 まだ誰にも話していないこともある。


「俺も旅を続ける」


「じゃあ、一緒だね!」


「……そうだね」



---


そして


 セレスタの門が見えてくる。


 レティシアが俺の隣を歩いている。


「ねえ、キラ」


「何?」


「明日の依頼も一緒に行かない?」


「……いいよ」


「決まり!」


 レティシアが笑う。


 俺も笑った。


 旅に出てまだ二日。


 俺はまだ一人旅のつもりだった。


 でも――


 気づけば、隣には一人の少女がいる。


 赤い髪を揺らしながら歩く、12歳の少女。


 レティシア。


 これが、俺の旅に初めてできた「仲間」との出会いだった。


 まだ正式な仲間ではない。


 でも――


 俺の旅は、少しずつ変わり始めていた。


第43話 終

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