42話 薬草採取…のはず?
街の中に入って、まず思った。
「……大きい」
故郷の街とは、何もかも違っていた。
街の名前はセレスタ。
建物の数。
人の数。
店の数。
街を行き交う冒険者や商人。
あちこちから聞こえてくる話し声。
「こんなに人がいるのか……」
俺は周囲を見ながら歩いた。
12歳の俺には、どこを見ても新鮮だった。
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旅を続けるなら、まず冒険者ギルドへ行く。
父親からもそう言われていた。
「ギルドなら地図も買えるし、依頼も受けられる」
そう教えてもらっていた。
でも――
「……どこだ?」
街が大きすぎる。
同じような道が続いている。
「こっちかな」
歩く。
「……違う」
戻る。
「こっち?」
また歩く。
「……」
完全に迷った。
「まずいな」
俺は頭をかいた。
すると――
「君、迷子?」
後ろから声がした。
振り返る。
そこには、俺と同じくらいの年齢に見える少年が立っていた。
「……迷子じゃない」
「本当に?」
「……少し迷ってるだけ」
「それを迷子って言うんじゃない?」
「……」
言い返せなかった。
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少年は笑った。
「どこに行きたいの?」
「冒険者ギルド」
「ギルドなら、こっち」
少年が歩き出す。
「ついてきて」
「ありがとう」
俺も後ろを歩く。
「君、一人?」
「うん」
「何歳?」
「12歳」
「同じだ」
少年が少し驚いた。
「俺も12歳」
「そうなんだ」
「名前は?」
「キラ」
「俺は――」
少年が名乗ろうとした、そのとき。
――ドンッ!
「うわっ!」
突然、横から大きな荷車が飛び出してきた。
「危ない!」
俺は少年の腕を掴んだ。
――ガラガラガラ!
荷車が目の前を通り過ぎる。
「……」
「……」
二人とも固まった。
「今の……危なかったな」
「うん」
少年が俺を見る。
「反応、速いな」
「魔力感知を使ったから」
「魔力感知?」
「うん」
「へえ……」
少年が興味深そうに俺を見る。
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しばらく歩くと、大きな建物が見えた。
剣と盾の紋章。
「ここ」
「ありがとう」
俺は扉を開ける。
――ギィィ……。
中には大勢の冒険者がいた。
視線が集まる。
「……」
俺は少し緊張する。
少年は慣れた様子で中へ入った。
「こっち」
「うん」
受付へ向かう。
「依頼を受けたいんですけど」
受付の女性が俺を見る。
「冒険者登録はされていますか?」
「はい。故郷の街で」
「確認しますね」
少し待つ。
「……確認できました」
受付の女性が俺を見る。
「12歳で一人旅ですか?」
「はい」
「珍しいですね」
周囲の冒険者たちがこちらを見る。
「また見られてる……」
俺が小さく呟く。
少年が笑う。
「12歳で剣を持って一人旅なら、そりゃ目立つよ」
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俺は掲示板を見る。
簡単な依頼が並んでいる。
薬草採取
荷物運び
街の外の調査
小型魔物の討伐
「まずはこれかな」
俺は薬草採取の依頼を手に取った。
すると少年が言う。
「それなら俺も行く」
「え?」
「薬草採取なら二人の方が楽だろ」
「……いいの?」
「もちろん」
俺は少し考える。
一人旅のつもりだった。
でも――
「分かった」
「決まりだな」
少年が笑う。
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二人で街の外へ
街の門を出る。
俺は少年を見る。
「そういえば……」
「ん?」
「まだ名前を聞いてなかった」
「あ」
少年が笑う。
「俺は――」
その瞬間。
街の外から、
――ドンッ!
大きな音が響いた。
「何だ!?」
周囲の人間が一斉に振り返る。
街道の先。
土煙が上がっている。
「魔物か?」
冒険者たちが武器を抜く。
少年も表情を変えた。
「……行く?」
俺は剣に手をかける。
「うん」
二人は走り出した。
薬草採取のはずだった。
しかし――
この日。
俺はこの街で、初めての大きな事件に巻き込まれることになる。
第42話 終




