↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』60000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
最終章 魔境エリオス編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
264/287

263話 剣神のその先へ



「これで終わりだ」


ヤーミリオンの右手が――。


ゆっくりと振り上げられる。


黒い魔力で作られた鉤爪。


その先端は、レティシアの喉元を狙っていた。


「…………」


レティシアは動けない。


身体中が痛い。


脇腹から流れる血。


胸元の傷。


背中にも深い傷。


片方の剣は――。


地面に落ちている。


「…………」


視界が霞む。


呼吸をするだけでも苦しい。


立ち上がろうとしても――。


足に力が入らない。


「もう終わりだってぇ」


ヤーミリオンが笑う。


「よく頑張ったねぇ、レティシアちゃん」


「…………」


「でもさぁ」


ヤーミリオンは、レティシアを見下ろす。


「俺っちと君じゃ、最初から格が違うんだよ」


「…………」


「剣が二本あろうが、速かろうが、そんなもんじゃ三大天には届かない」


「…………」


「残念だったねぇ」


ヤーミリオンの鉤爪が――。


さらにレティシアへ近づく。


「さようならぁ」


「…………」


その瞬間。


レティシアは――。


目を閉じた。


「…………」


静かだった。


何も聞こえない。


風の音も。


ヤーミリオンの声も。


自分の呼吸さえも。


ただ――。


暗闇の中にいる。


「…………」


そして。


レティシアは思った。


――死ぬ。


「…………」


怖い。


初めて――。


本当に死ぬと思った。


「…………」


キラ。


エリス。


セリーナ。


ジュダ。


そして――。


今まで一緒に旅をしてきた仲間たち。


「…………」


もっと一緒にいたかった。


もっと強くなりたかった。


もっと世界を見たかった。


もっと――。


キラと一緒に旅をしたかった。


「…………」


そして。


レティシアは思い出す。


「私も勝つから」


「キラも勝ってね」


「…………」


自分で言った。


約束した。


なのに――。


ここで死ぬ?


「…………」


レティシアは――。


ゆっくりと目を開いた。


「…………違う」


「ん?」


ヤーミリオンが眉を上げる。


レティシアは震える身体で――。


立ち上がろうとした。


「私は……」


膝に力を込める。


「まだ……」


身体が震える。


血が地面へ落ちる。


「まだ死ねない……」


「…………」


ヤーミリオンは笑った。


「無理無理」


「…………」


「もう身体は限界だよぉ」


「…………」


レティシアは――。


落ちていた剣を見る。


そして。


ゆっくりと手を伸ばした。


「…………」


指先が剣に触れる。


「私は……」


剣を握る。


「約束したから」


「…………」


ヤーミリオンがため息をつく。


「しつこいなぁ」


鉤爪を振り下ろす。


「じゃあ――」


「今度こそ死ね」


――ドォォォォォン!!


黒い鉤爪が地面を砕いた。


しかし。


「…………?」


ヤーミリオンの表情が変わる。


そこに――。


レティシアがいない。


「…………」


一瞬。


ほんの一瞬だった。


レティシアは――。


紙一重で避けていた。


「……え?」


ヤーミリオンが呟く。


レティシア自身も驚いていた。


「…………」


身体が――。


軽い。


さっきまで動かなかった身体が。


まるで別人のように動く。


そして。


「…………」


身体の奥から――。


何かが溢れ出してくる。


ドクン。


「…………!」


ドクン。


ドクン。


ドクン。


心臓が激しく鼓動する。


身体中を――。


凄まじい力が駆け巡る。


「な……」


ヤーミリオンが目を細める。


「何だ……それ」


レティシアの身体から――。


凄まじい闘気が噴き出した。


「…………」


落ちていたもう一本の剣が――。


カラン。


と音を立てて浮き上がる。


レティシアの手へ吸い寄せられる。


ガシッ。


両手に二本の剣。


そして――。


レティシアの目が変わった。


「…………」


その瞳には――。


もう恐怖がなかった。


「…………覚醒したのね」


ヤーミリオンが呟く。


その瞬間。


レティシアの頭の中に――。


声が響いた。


――スキル条件達成。


――極限状態における生存への意志。


――限界突破。


――スキル【双剣神】が進化します。


「…………!」


レティシアの身体を――。


光が包み込む。


「双剣神――」


レティシアが呟く。


光がさらに強くなる。


「――極」


ドォォォォォン!!


凄まじい力が爆発した。


地面が砕ける。


周囲の岩が吹き飛ぶ。


ヤーミリオンの髪が風圧で大きく揺れる。


「…………」


レティシアは――。


立っていた。


傷だらけの身体。


血に染まった服。


それでも。


二本の剣を握り――。


堂々と立っている。


「……なんだよ、それ」


ヤーミリオンが笑う。


「ちょっと強くなったくらいで――」


「違う」


レティシアが言った。


「ちょっとじゃない」


「…………」


レティシアの身体から――。


さらに力が溢れ出す。


「全部……違う」


その瞬間。


レティシアの中に存在するすべての剣技が――。


一段階上へと進化した。


「双月斬――極」


シュッ!!


左右の剣が――。


同時に閃く。


「…………!」


ヤーミリオンが身体を反らす。


その頬を――。


斬撃が掠めた。


「…………!」


血。


初めて。


ヤーミリオンの頬から――。


血が流れた。


「…………あ?」


ヤーミリオンが頬を触る。


「俺っちが……斬られた?」


レティシアは止まらない。


「双牙連閃――極」


ドドドドドドッ!!


無数の斬撃。


先ほどまでとは――。


速度が違う。


「くっ……!」


ヤーミリオンが鉤爪で受ける。


ガキィン!!


ガキィン!!


ガキィン!!


「速ぇ……!」


さらに――。


「幻影双閃――極」


レティシアの姿が――。


一人。


二人。


三人。


四人。


「…………!」


ヤーミリオンの周囲を――。


無数のレティシアが取り囲む。


「分身……?」


違う。


その数は――。


今までとは比較にならなかった。


「多重分身」


レティシアが呟く。


スキル【分身】が――。


進化していた。


無数のレティシアが――。


同時に剣を構える。


「行くよ」


「…………!」


「幻影双閃――極!!」


ズバババババババッ!!


四方八方から――。


一斉に斬撃。


ヤーミリオンは鉤爪を振り回す。


「こんなもん――!」


黒い斬撃が幻影を次々と消し飛ばす。


だが。


「一体……!」


消したと思った瞬間。


「二体」


「――っ!」


さらに斬り込む。


「三体」


「なっ……!」


「四体」


「ちぃっ!」


次々と現れる。


「多重分身……!」


ヤーミリオンが後退する。


初めて――。


ヤーミリオンが追い込まれた。


「はぁぁぁぁっ!!」


レティシアが突っ込む。


「烈風双刃――極!!」


ズガァァァァン!!


巨大な二つの斬撃が――。


交差してヤーミリオンへ襲いかかる。


「――っ!」


ヤーミリオンは両腕の鉤爪で防ぐ。


ガァァァァン!!


地面が大きく陥没する。


「ぐっ……!」


ヤーミリオンの身体が――。


数メートル吹き飛んだ。


「…………」


レティシアは追う。


「天狼双牙――極!!」


二本の剣が――。


狼の牙のように迫る。


「くそっ!」


ヤーミリオンが身体を捻る。


ギィィィン!!


鉤爪と剣が激突。


「まだ!」


レティシアがさらに踏み込む。


「無影連斬――極!!」


――消えた。


「…………!」


ヤーミリオンの目が動く。


右。


左。


上。


後ろ。


「どこだ……!」


そして――。


「ここ」


耳元。


「――っ!」


レティシアの剣が振り下ろされる。


ガキィィィィン!!


ヤーミリオンは間一髪で鉤爪を合わせた。


「…………!」


火花が散る。


二人の視線が交差する。


「…………」


ヤーミリオンの笑みが――。


少しだけ消えた。


「……面白くなってきたじゃん」


「…………」


レティシアは剣を押し込む。


「私は――」


「まだまだ強くなるよ」


――その瞬間。


ヤーミリオンが――。


消えた。


「…………!」


背後。


「死ね」


黒い鉤爪が――。


レティシアの背中へ。


だが。


「…………」


レティシアは――。


身体を僅かに傾けた。


シュッ!!


鉤爪が――。


髪の毛一本を切り裂く。


「…………!」


ヤーミリオンが目を見開く。


「避けた……?」


レティシアは振り返る。


そして――。


「新しいスキルみたい」


「…………」


レティシアの周囲に――。


静かな風が舞い始める。


「名前は――」


光がレティシアの身体を包む。


「流水の舞」


――スキル【流水の舞】を取得しました。


「…………」


レティシアは――。


静かに構える。


ヤーミリオンが鉤爪を振る。


「死ねぇ!!」


「…………」


レティシアは――。


一歩。


右へ。


紙一重。


鉤爪が頬を掠める。


次。


左。


紙一重。


黒い刃が髪を切る。


さらに。


前へ。


紙一重。


後ろへ。


紙一重。


上へ。


紙一重。


すべて――。


ギリギリ。


ヤーミリオンの攻撃は――。


一発も当たらない。


「な……!」


ヤーミリオンの表情が変わる。


「何だよ、それ……!」


レティシアは――。


笑った。


「見えてる限り――」


二本の剣を構える。


「私は、絶対に当たらないよ」


「…………!」


「流水の舞」


ヤーミリオンの鉤爪が――。


さらに加速する。


「だったら――!」


ドドドドドドドドドッ!!


無数の黒い斬撃。


しかし。


レティシアは――。


舞う。


右。


左。


前。


後ろ。


回転。


跳躍。


すべて紙一重。


まるで水が刃の間を流れるように。


「…………」


ヤーミリオンが止まる。


荒い呼吸。


そして――。


レティシアを見る。


「…………」


レティシアも――。


ヤーミリオンを見る。


二本の剣を構える。


傷だらけの身体。


それでも。


もう――。


先ほどまでの絶望はない。


「…………」


ヤーミリオンが笑う。


「へぇ……」


「面白ぇじゃん」


レティシアも笑う。


「やっと――」


「互角かな」


「…………」


二人の間に――。


凄まじい殺気が満ちる。


そして。


同時に――。


地面を蹴った。


「「――――!!」」


黒い鉤爪。


二本の剣。


再び――。


激突する。


ドォォォォォォォン!!


衝撃波が魔境を駆け抜ける。


二人の戦いは――。


ここから完全に五分となった。


第263話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。