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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』60000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
最終章 魔境エリオス編

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262話 双剣神の意地



「…………」


巨大な黒い門の前。


三大天――ヤーミリオン。


その姿を見つめながら、キラたちは武器を構えていた。


凄まじい魔力。


一目見ただけで分かる。


この男は――強い。


「三大天……」


エリスが呟く。


「黒神エリオス様に会いたければ、まず俺たちを超えてみろよっ」


ヤーミリオンが微笑む。


その瞬間――。


レティシアが一歩前へ出た。


「…………」


キラがレティシアを見る。


「レティシア?」


レティシアは二本の剣を抜いた。


キラの前に立つ。


そして――。


「エリオスと戦うなら」


レティシアはヤーミリオンを真っ直ぐ見つめる。


「キラじゃないとね」


「…………」


キラが目を見開く。


「だから――」


レティシアは振り返る。


そして、キラに笑いかけた。


「私はここに残る」


「レティシア……」


「私も勝つから」


二本の剣を握り直す。


「キラも勝ってね」


「…………」


キラはしばらくレティシアを見る。


そして――。


小さく笑った。


「ああ」


「約束だ」


「うん」


レティシアも笑う。


「じゃあ、行って」


「エリオスは――」


レティシアはヤーミリオンを睨む。


「私が倒す」


「…………」


キラは頷いた。


「分かった」


そして――。


「行こう」


キラが歩き出す。


エリス。


セリーナ。


ジュダ。


三人もキラに続く。


「レティシア!」


エリスが振り返る。


「絶対に生きて帰ってきて!」


レティシアは笑った。


「当然!」


「また五人で旅するんだから!」


「…………」


その言葉に――。


キラは少しだけ振り返った。


「そうだな」


そして四人は――。


魔境の奥へ進んでいった。


レティシアはその背中を見送る。


「…………」


やがて。


四人の姿が見えなくなる。


レティシアは前を向いた。


「さて……」


二本の剣を構える。


「私も勝たないとね」


ヤーミリオンが微笑む。


「一人で俺と戦うつもりか?」


「そうだけど?」


「面白い」


ヤーミリオンは翼を広げる。


「では――」


その瞬間。


ヤーミリオンの姿が消えた。


「――っ!」


レティシアが反応する。


キィィィン!!


二本の剣で攻撃を受け止める。


「…………!」


凄まじい衝撃。


レティシアの足が地面を滑る。


「速い……!」


ヤーミリオンは笑っている。


「まだまだだ」


次の瞬間。


「――!」


右。


左。


正面。


ヤーミリオンの攻撃が連続で襲いかかる。


キィン!!


ガキィン!!


キィィン!!


レティシアは二本の剣を使い、必死に防ぐ。


「くっ……!」


だが――。


ヤーミリオンは一切息を乱していない。


「これほどとは……」


レティシアが歯を食いしばる。


「聞いていた以上だ」


「そう?」


ヤーミリオンは笑う。


「ならば、これはどうだ?」


両手を広げる。


「…………」


黒い魔力が――。


ヤーミリオンの指先へ集まっていく。


シュゥゥゥ……。


一本。


二本。


三本。


指先から伸びる黒い魔力。


やがてそれは――。


鋭い鉤爪のような刃へと変わった。


「…………!」


レティシアの表情が変わる。


「魔力の爪……」


ヤーミリオンが指を軽く動かす。


ギィン。


黒い刃が空気を切り裂く。


「これが俺っちの武器だよぉん」


「なるほどね……」


レティシアは二本の剣を構える。


「だったら――」


一気に踏み込む。


「私の剣で斬る!」


「来い」


――ドンッ!!


二人が同時に飛び出した。


キィィィィン!!


剣と黒い鉤爪が激突する。


「はぁぁぁぁっ!」


レティシアが斬り込む。


「遅い」


ヤーミリオンが身体を捻る。


ギィン!!


鉤爪がレティシアの肩を掠めた。


「――っ!」


血が飛ぶ。


だがレティシアは止まらない。


「双月斬!」


左右から同時に斬撃。


ヤーミリオンは腕を交差させる。


ガキィィン!!


「……!」


押し切れない。


「まだ!」


レティシアは身体を回転させる。


「双牙連閃!」


無数の斬撃。


ヤーミリオンの周囲に剣閃が走る。


「…………」


ヤーミリオンは――。


笑っていた。


「いい動きだね」


「だったら――」


レティシアがさらに踏み込む。


「これならどう!」


「幻影双閃!」


無数のレティシアが現れる。


前。


後ろ。


左右。


四方から同時に斬り込む。


ズバッ!!


ズバッ!!


ズバッ!!


「…………」


ヤーミリオンの身体に傷が走る。


「……当たった!」


レティシアが叫ぶ。


しかし――。


ヤーミリオンは傷口を見て――。


笑った。


「なるほど」


黒い魔力が傷を覆う。


「幻影か」


「…………!」


傷が――。


消えていく。


「そんな……」


「だが」


ヤーミリオンはレティシアを見る。


「この程度では、俺には届かないよぉん」


「…………!」


次の瞬間。


ドンッ!!


ヤーミリオンの姿が目の前から消える。


「――っ!」


レティシアが振り返る。


遅い。


「後ろだ」


「ぐっ!!」


黒い鉤爪がレティシアの背中を切り裂く。


「きゃああああっ!!」


レティシアの身体が吹き飛ぶ。


ドォォォン!!


地面を何度も転がる。


「レティシア!」


遠くからエリスの声。


しかし――。


「来るな!」


レティシアが叫ぶ。


「先へ行って!」


「でも……!」


「キラを待たせないで!」


エリスは唇を噛む。


「……分かった!」


キラが最後に振り返る。


レティシアは立ち上がっていた。


血を流しながら――。


笑っている。


「行って」


「私は大丈夫」


「…………」


キラは拳を握る。


そして――。


「必ず戻る」


「うん」


キラたちは先へ進んだ。


残されたレティシア。


そして――。


ヤーミリオン。


「…………」


レティシアは剣を構える。


「さて……」


「ここからが本番だね」


ヤーミリオンは微笑んだ。


「まだ戦うの?」


「当たり前でしょ」


レティシアは笑う。


「私は――」


二本の剣を握りしめる。


「キラの仲間だから」


「…………」


ヤーミリオンの目が細くなる。


「ならば――」


黒い魔力がさらに膨れ上がる。


「その意志ごと、叩き折ってやるよ」


――――――――――


戦いは激しさを増していった。


「はぁぁぁぁっ!!」


レティシアが斬り込む。


「双牙連閃!」


キィィン!!


ヤーミリオンが鉤爪で受け止める。


ギィィィン!!


「遅い」


「――っ!」


反撃。


黒い鉤爪がレティシアの腹部を掠める。


「ぐっ……!」


血が飛ぶ。


レティシアは距離を取る。


「はぁ……はぁ……」


呼吸が乱れる。


身体中に傷。


それでも――。


「まだ……!」


レティシアが走る。


「無影連斬!」


高速の斬撃。


だが――。


「見える」


ヤーミリオンは全てを避ける。


「な……!」


次の瞬間。


ズバァッ!!


レティシアの胸元が切り裂かれる。


「――――っ!!」


大量の血。


身体が揺れる。


「レティシア!」


ヤーミリオンは追撃する。


「終わりだ」


黒い鉤爪が――。


レティシアの喉元へ迫る。


「――っ!」


ギリギリで身体を捻る。


しかし――。


ザシュッ!!


鉤爪がレティシアの脇腹を深く切り裂いた。


「がっ……!」


レティシアが膝をつく。


剣が一本――。


地面に落ちる。


カラン……。


「…………」


レティシアは息をするだけで精一杯だった。


視界がぼやける。


「これが……三大天……」


立ち上がろうとする。


だが――。


脚に力が入らない。


「……くっ」


ヤーミリオンがゆっくり近づいてくる。


「もう終わりだ」


「…………」


レティシアは落ちた剣を見る。


そして――。


キラの背中を思い出す。


「…………」


――私も勝つから。


――キラも勝ってね。


「…………ふふ」


レティシアは血を流しながら笑った。


「……まだ」


震える手で、もう一本の剣を握る。


「まだ……終わってない」


しかし――。


身体は限界だった。


ヤーミリオンの黒い鉤爪が――。


再び振り上げられる。


「これで終わりだ」


「…………!」


レティシアは剣を構える。


その身体は――。


死の一歩手前まで追い込まれていた。


圧倒的な力の前に――。


双剣神のレティシアが、今にも倒れようとしていた。


第262話 終

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