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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』60000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
最終章 魔境エリオス編

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261話 遊戯のヤーミリオン



――魔境。


赤黒い空の下。


キラたちは、ひたすら歩いていた。


「…………」


周囲には、見たことのない植物。


黒い草。


赤い葉。


そして、地面から伸びる奇妙な木々。


どこまでも続く荒野。


「……静かですね」


セリーナが呟いた。


「さっきから、ほとんど魔物に出会わない」


エリスが周囲を見渡す。


「それが逆に怖いな」


キラも警戒しながら歩いていた。


レティシアは二本の剣に手を添えている。


ジュダも無言だった。


いつもの軽口すらない。


「…………」


その時。


ジュダが足を止めた。


「……待て」


「ん?」


キラたちも止まる。


ジュダは地面を見つめていた。


「この先……何かいる」


「魔物?」


レティシアが尋ねる。


「違う」


ジュダは目を細める。


「魔力よ」


「魔力?」


「ああ」


ジュダはゆっくり顔を上げた。


「とてつもなく巨大な魔力が……遠くにある」


「…………」


キラは空間認知を使う。


意識を広げる。


周囲。


さらに遠く。


そして――。


「……!」


キラの表情が変わった。


「見つけた」


「何が?」


エリスが聞く。


「向こうだ」


キラが指を指す。


遥か彼方。


赤黒い霧の向こうに――。


何かが見える。


「……建物?」


セリーナが目を細める。


巨大な塔。


いや。


塔だけではない。


その周囲を囲むように、巨大な城壁が存在している。


まるで――。


一つの巨大な城。


「エリオスの城……でしょうか?」


セリーナが呟く。


「たぶんな」


キラが頷く。


「行こう」


五人は再び歩き始めた。


――その瞬間。


「…………」


キラが足を止めた。


「どうした?」


レティシアが振り返る。


「……いや」


キラは後ろを見る。


誰もいない。


ただ赤黒い大地が広がっている。


「誰かに見られている気がした」


「…………」


全員が後ろを見る。


しかし――。


何もいない。


「気のせいじゃないですか?」


セリーナが言う。


「そうかもな」


キラは再び前を向いた。


だが――。


その場所から少し離れた岩陰。


「…………」


何者かが立っていた。


黒い外套。


顔は見えない。


五人の背中をじっと見つめている。


「…………」


そして――。


その人物は静かに姿を消した。


――――――――――


「なあ」


しばらく歩いたところで、レティシアが口を開いた。


「さっきからずっと思ってたんだけど」


「ん?」


「この魔境って……本当に誰もいないの?」


「どうだろうな」


キラは答える。


「でも、何かがおかしい」


「おかしい?」


「さっきの獣道だ」


キラは地面を見る。


「俺たちが通る前から、ここには道があった」


「…………」


「つまり――」


キラは周囲を見る。


「誰かが、この場所を使ってる」


エリスが頷く。


「私もそう思います」


エリスは弓を構える。


「この草、踏み倒されてます」


「それに……」


セリーナがしゃがみ込む。


「ここにも足跡があります」


黒い土の上。


巨大な足跡。


普通の動物のものではない。


「魔物……?」


レティシアが尋ねる。


「たぶん」


キラは足跡を見る。


「かなり大きい」


ジュダが腕を組む。


「この魔境には、私の知らない魔物もいるようだな」


「元魔王なのに?」


レティシアが笑う。


「魔境の奥地なんて知らないわよ」


ジュダが睨む。


「私が支配していたのは魔境じゃない」


「へえ」


「……何よ」


「別に」


「その顔、絶対馬鹿にしてるでしょ!」


「してないって」


二人の言い合い。


それを見て――。


「ふふ……」


セリーナが笑った。


エリスも微笑む。


キラは少しだけ安心した。


ここが魔境であっても。


いつもの仲間たちがいる。


それだけで――。


少しだけ恐怖が薄れる。


――だが。


「…………」


キラは前方を見る。


あの巨大な城。


そこにいるのは――。


黒神エリオス。


そして。


その前に立ちはだかる者たち。


キラはまだ知らない。


この先に――。


自分たちの想像を遥かに超える敵が待っていることを。


――――――――――


さらに数時間。


五人は歩き続けた。


すると――。


「……!」


レティシアが突然止まった。


「どうした?」


キラが聞く。


レティシアは前方を見ている。


「……道が」


獣道が――。


そこで途切れていた。


「…………」


その先には巨大な谷。


深さは見えない。


底は黒い霧で覆われている。


「これ……」


エリスが覗き込む。


「渡れませんね」


「空歩なら渡れる」


レティシアが言う。


「でも全員は無理だ」


キラは谷を見渡した。


そして――。


「いや」


キラが笑う。


「全員で行ける」


「どうするんですか?」


セリーナが首を傾げる。


キラは手を前に出した。


「俺に任せて」


手のひらに――。


淡い光が集まる。


「ルミナ」


白い光が広がっていく。


そして――。


谷の上に巨大な光の道が形成された。


「……!」


セリーナが目を輝かせる。


「橋です!」


「これなら渡れる」


キラが先へ進む。


「行こう」


五人は光の橋を渡り始めた。


一人。


二人。


三人。


四人。


そして――。


ジュダが最後尾を歩く。


「…………」


ジュダは振り返った。


誰もいない。


しかし――。


「…………」


谷の向こう。


遥か遠く。


黒い人影が立っている。


ジュダは目を細めた。


「……気のせいか」


そう呟いて、前へ向き直る。


その瞬間。


黒い人影が――。


消えた。


――――――――――


五人が谷を渡り終える。


その先には――。


巨大な黒い門。


高さは数十メートル。


ジュダは門を睨む。


「嫌な感じがする」


その時。


――ゴゴゴゴゴゴゴ……。


巨大な門が――。


ゆっくりと開き始めた。


「…………!」


五人が身構える。


門の向こう。


真っ暗な空間。


そして――。


「……来たか」


声がした。


低い声。


男の声。


五人の身体に――。


凄まじい重圧がかかる。


「…………っ!」


セリーナが息を呑む。


エリスが弓を構える。


レティシアが二本の剣を抜く。


ジュダの身体から黒い魔力が噴き出す。


キラも剣を構える。


「誰だ!」


キラが叫ぶ。


すると――。


暗闇の中から。


ゆっくりと、一人の男が歩いてくる。


「…………」


そして――。


男は五人を見つめる。


そして静かに笑った。


「ようこそ」


「魔境へ」


「俺の名前は――」


男の背後で。


三つの紋章が赤く輝く。


「三大天が一人――」


「遊戯のヤーミリオン」


「…………!」


キラたちは息を呑んだ。


三大天。


ヤーミリオンは微笑む。


「黒神エリオス様に会いたければ――」


翼を広げる。


「まず、俺たちを超えてみてよ」


――魔境の奥。


最初の戦いが――。


始まろうとしていた。


第261話 終

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