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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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247話 ベルゼル無双

「――作戦通りにいくぞ」


静まり返った大地に、キラの声が響いた。


目の前には――。


巨大な要塞都市デダルク。


その城壁の上には、無数の魔境兵。


城門の前にも、地面を埋め尽くすほどの魔境軍が並んでいる。


十万を超える軍勢。


普通ならば――。


この光景を前にして、足がすくんでもおかしくない。


だが。


キラたちは違った。


キラは七軍団を見渡す。


「まずは――」


そして、前方を指差した。


「正面から攻める」


「了解!」


レオンが答えた。


ベルゼルも頷く。


「行くぞ」


レオンとベルゼルが率いる第六軍。


その軍勢が――。


一斉に動き出した。


――デダルク正面。


戦いは正面のレオン、ベルゼル軍から始まった


「うおおおおおおおお!!」


「グオオオオオオオオ!!」


無数の兵士たちがぶつかり合う。


剣と剣。


槍と斧。


盾と拳。


魔法と魔法。


一瞬たりとも止まることのない、凄まじい戦場だった。


ドォォォォン!!


ガキィィィン!!


ズガァァァン!!


魔境軍は圧倒的な数を誇っている。


十万を超える大軍。


対して、レオンとベルゼルが率いる軍も強者揃いではあるが――。


数では圧倒的に不利だった。


「押されるな!!」


「隊列を維持しろ!!」


「敵を止めろぉぉぉ!!」


レオン軍の兵士たちが必死に踏みとどまる。


しかし――。


「グオオオオオオ!!」


「来るぞ!!」


魔境兵の波が押し寄せる。


一体。


二体。


十体。


百体。


倒しても――。


その後ろから、さらに魔境兵が現れる。


「くそっ……!」


「多すぎる!!」


「まだ来るのか!?」


剣を振る。


ザシュッ!!


一体を倒す。


しかし、その直後。


「グオオオオ!!」


別の魔境兵が斧を振り下ろす。


ガキィィィン!!


「ぐっ……!」


盾で受け止める。


だが――。


横から別の敵が襲いかかる。


「危ない!!」


ドォン!!


仲間の兵士が飛び込み、敵を吹き飛ばす。


「助かった!」


「まだ終わってないぞ!!」


「おう!!」


再び前へ出る。


だが。


戦線は――。


少しずつ後退していた。


――――――――――


その戦場のさらに奥。


「…………」


レオンは、一人の巨大な魔境将軍を見つめていた。


ドンドニン。


魔境将軍の一人。


だが――。


まだ距離がある。


レオンとドンドニンの間には、無数の魔境兵がいる。


ドンドニンは――。


まだまだ先にいた。


「…………」


レオンは剣を握り直す。


「まだだ」


その視線は、ドンドニンから離れない。


「今は……」


レオンは自分の力を理解していた。


――覇王之力【エンペラー】。


圧倒的な力。


だが、その力を使える時間には限界がある。


だからこそ。


「ドンドニンと戦う時まで――」


レオンは力を温存していた。


今ここで全力を出すわけにはいかない。


いずれ――。


あの魔境将軍と戦う。


その時のために。


今は――。


「レオン様!!」


「どうした!」


「敵が押し込んできます!!」


「……分かった!」


レオンは前を見る。


「全軍、耐えろ!!」


「おおおおおおお!!」


レオンも戦場へ飛び込む。


「はあああああ!!」


ザシュッ!!


魔境兵を斬り飛ばす。


「グオオオオ!!」


別の敵が襲いかかる。


ガキィィィン!!


剣で受け止める。


「邪魔だ!!」


ドォン!!


蹴り飛ばす。


さらに一体。


さらに一体。


レオンは次々と敵を倒していく。


だが――。


数が違う。


「ぐああああ!!」


「押されるな!!」


「後退するな!!」


「くそぉぉぉ!!」


レオン軍の兵士たちが、少しずつ押し込まれていく。


「……まずい」


レオンが呟く。


その時――。


「レオン!!」


後方から声が響いた。


「…………!」


レオンが振り返る。


ベルゼルだった。


ベルゼルが率いる魔王軍の一部が、こちらへ向かっている。


「左翼を支えろ!!」


ベルゼルが叫ぶ。


「お前たちはレオン軍を援護しろ!!」


「了解!!」


魔王軍の兵士たちが一斉に駆け出す。


「うおおおおおお!!」


ドォォォォン!!


魔境軍と激突する。


「押し返せ!!」


「魔王軍が来たぞ!!」


「まだ戦える!!」


魔王軍が横から敵へ食らいつく。


押されていたレオン軍が――。


なんとか踏みとどまる。


「よし!!」


「まだやれるぞ!!」


「隊列を維持しろ!!」


レオンはベルゼルを見る。


「ベルゼル……」


ベルゼルは遠くから頷いた。


だが――。


その顔には余裕がない。


戦況は、まだ厳しい。


魔境軍の数は減っている。


しかし、それ以上の速度で次々と新たな兵が押し寄せてくる。


「…………」


ベルゼルは戦場を見渡した。


そして――。


拳を握る。


「なら……」


――――――――――


それから、しばらくの間。


戦いは続いた。


一時間。


二時間。


時間が経つほど――。


戦場は荒れていく。


大地は抉れ。


瓦礫が飛び散り。


あちこちで煙が上がっている。


「うおおおおお!!」


「グオオオオオ!!」


「押せぇぇぇ!!」


「絶対に通すな!!」


魔境軍。


レオン軍。


魔王軍。


三つの軍勢が――。


デダルクの前で激突し続ける。


ドォォォォォン!!


ズガァァァァン!!


ガキィィィィン!!


「はぁ……はぁ……」


兵士たちの呼吸が荒くなる。


腕が震える。


足が重くなる。


それでも――。


誰も止まらない。


なぜなら。


その先に――。


魔境国があるからだ。


「前へ!!」


「進めぇぇぇ!!」


その時。


「レオン」


「…………?」


ベルゼルがレオンのところへやって来た。


レオンは剣を握ったまま、ベルゼルを見る。


「どうした?」


ベルゼルは周囲を見渡す。


そして――。


ドンドニンを見る。


まだ遠い。


無数の魔境兵に囲まれている。


「……あいつ」


ベルゼルが呟く。


「ドンドニンは――」


レオンを見る。


「お前に任せる」


「…………!」


レオンが目を見開く。


「ベルゼル?」


「俺は――」


ベルゼルは静かに笑った。


「ここで魔力を使い切るつもりで戦う」


「…………」


「だから、レオン」


ベルゼルがレオンの肩へ手を置く。


「お前は力を温存しておけ」


「だが……」


「分かってる」


ベルゼルが遮る。


「俺だって、全部無傷で終われるとは思ってない」


そして――。


「だからこそ、ここで使う」


ベルゼルの目が鋭くなる。


「俺の魔力を――全部だ」


レオンは黙ってベルゼルを見る。


「ドンドニンはお前が倒せ」


「…………」


「そのために、お前はまだ力を残しておけ」


レオンは拳を握る。


そして――。


「……分かった」


ベルゼルが笑う。


「それでいい」


ベルゼルはレオンに背を向ける。


「じゃあ――」


歩き出す。


「行ってくる」


「ベルゼル!」


レオンが呼ぶ。


ベルゼルが振り返る。


「死ぬなよ」


一瞬。


ベルゼルが目を丸くする。


そして――。


「ははっ」


笑った。


「お前に言われたくないな」


ベルゼルは再び前を向く。


「俺は魔王だぞ」


そして――。


自軍へ戻っていった。


――――――――――


「全軍!!」


ベルゼルの声が戦場に響き渡る。


魔王軍の兵士たちが振り返る。


「俺についてこい!!」


「…………!」


「魔王様……」


「ベルゼル様……」


ベルゼルは――。


自ら軍の先頭へ出た。


魔境軍との距離。


数百メートル。


その間には――。


数え切れないほどの敵。


「敵は多い!!」


ベルゼルが叫ぶ。


「だが――」


拳を握る。


「多いだけだ!!」


「…………!」


兵士たちの目が変わる。


「俺たちはここまで来た!!」


「魔境国を目の前にして――」


魔力が膨れ上がる。


「引く理由などない!!」


ドォォォォォォォン!!


ベルゼルの身体から――。


凄まじい魔力が噴き上がった。


「うおおおおおおおおおお!!」


魔王軍が叫ぶ。


「俺に続けぇぇぇぇぇ!!」


ベルゼルが走り出した。


「うおおおおおおおおおおおおおお!!」


ドドドドドドドドドドドドド!!


魔王軍が一斉に突撃する。


「敵が来るぞ!!」


「迎え撃て!!」


「止めろ!!」


魔境軍が構える。


数百。


数千。


巨大な壁のような軍勢。


しかし――。


ベルゼルは止まらない。


「邪魔だぁぁぁぁぁ!!」


ドォォォォォォォォォン!!


ベルゼルの拳が――。


真正面の魔境兵をまとめて吹き飛ばす。


「グアアアアアア!!」


「なっ……!」


一瞬で――。


敵陣に巨大な穴が開いた。


「続けぇぇぇ!!」


ベルゼルが突っ込む。


右。


ドゴォォォォン!!


左。


ズガァァァァン!!


正面。


ドォォォォォン!!


一撃ごとに魔境兵が吹き飛ぶ。


「止めろ!!」


「囲め!!」


数十人の魔境兵が一斉に飛びかかる。


ベルゼルは――。


笑った。


「まとめて来い!!」


ドンッ!!


地面を踏み抜く。


魔力が爆発する。


「うおおおおおおおお!!」


ドォォォォォォォォォン!!


衝撃波。


魔境兵たちが一斉に吹き飛んだ。


「ぐわああああ!!」


「グオオオオ!!」


「な、なんだこいつは!?」


ベルゼルは止まらない。


一人。


また一人。


また一人。


次々と敵陣を突破していく。


魔境兵が槍を突き出す。


「死ねぇぇ!!」


ベルゼルは身体を捻る。


「遅い!!」


ガシッ!!


槍を掴む。


そのまま――。


「おおおおおお!!」


ドォン!!


魔境兵ごと投げ飛ばす。


「グアアアアア!!」


別の魔境兵が斧を振り下ろす。


「ぬん!!」


ガキィィィン!!


腕で受け止める。


「なっ……!」


ベルゼルが――。


そのまま斧を握り潰す。


「ば、馬鹿な……!」


「俺を――」


ベルゼルの目が赤く輝く。


「誰だと思っている!!」


ドォォォォォォォン!!


拳が炸裂する。


魔境兵が何体も吹き飛んでいく。


「うおおおおおおおおおお!!」


その背後から魔王軍が突入する。


「ベルゼル様に続け!!」


「敵陣を突破しろ!!」


「前へ!!」


「うおおおおおおお!!」


ベルゼルが切り開いた道を――。


魔王軍が一気に駆け抜けていく。


魔境軍が慌て始める。


「押されているぞ!!」


「止めろ!!」


「数を集めろ!!」


「ベルゼルを囲め!!」


さらに大量の魔境兵がベルゼルへ殺到する。


「まだ来るか……」


ベルゼルが笑う。


身体から――。


さらに魔力が噴き出す。


「いいだろう」


拳を握る。


「全部――」


ドォォォォォン!!


「俺が相手をしてやる!!」


ベルゼルが再び突撃した。


ドォォォォォォォォォン!!


一撃。


二撃。


三撃。


四撃。


爆発するような衝撃音が戦場に響き続ける。


「グアアアアア!!」


「ぐわぁぁぁ!!」


「止まらない!!」


「魔王を止めろ!!」


だが――。


止まらない。


ベルゼルは魔境軍の中を駆け抜ける。


その姿は――。


まるで一頭の巨大な獣。


いや。


それ以上だった。


魔王。


ベルゼル。


ただ一人の男が――。


大軍勢の正面を力ずくでこじ開けていく。


「うおおおおおおおおおお!!」


魔王軍も叫ぶ。


「ベルゼル様!!」


「魔王様!!」


「俺たちも続くぞ!!」


「うおおおおおおおお!!」


戦場の空気が変わった。


押し込まれていた魔王軍が――。


逆に魔境軍を押し返し始める。


「前へ!!」


「進め!!」


「敵を蹴散らせ!!」


ベルゼルの魔力は――。


確実に減っている。


それでも。


ベルゼルは止まらなかった。


「まだだ……」


荒い息。


傷だらけの身体。


それでも――。


拳を握る。


「まだ……終わってない!!」


そして。


さらに一歩。


敵陣の奥へ。


「俺の魔力が――」


ベルゼルの目が鋭くなる。


「尽きるまでだ!!」


ドォォォォォォォォォォン!!!!


再び大爆発。


魔境軍が吹き飛ぶ。


その光景を――。


少し離れた場所からレオンが見ていた。


「…………」


ベルゼル。


その背中を見つめる。


「……あいつ」


レオンは剣を握る。


そして――。


「俺も……負けてられないな」


その視線の先。


まだ遠くに――。


魔境将軍ドンドニンがいる。


レオンは静かに息を整える。


「待っていろ……」


覇王之力は――。


まだ使わない。


今はまだ。


その時ではない。


だが――。


必ず。


「ドンドニン……」


レオンの目が鋭く光る。


「お前は俺が倒す」


その一方で――。


ベルゼルは敵陣のど真ん中を突き進んでいた。


魔王軍を率いるその背中を追うように――。


戦場の熱気は、さらに激しさを増していった。


第247話 終

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