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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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240話 私の戦い方



――ドォォォォォン!!


デダルクの街に、激しい衝撃音が響き渡る。


崩れた建物の壁が吹き飛び、瓦礫が宙を舞う。


砂埃が巻き上がり、視界を白く染めていく。


その中を――


二つの影が走っていた。


「――っ!」


エリスが身体を低くする。


頭上を――


シュッ!!


黒い刃が通り過ぎた。


「……!」


エリスは反射的に身体を捻る。


そのまま後ろへ跳ぶ。


「ウィンドステップ!」


フッ――!


風に乗るように身体が流れる。


距離が開いた。


だが――


「…………」


ハンターは追ってくる。


一切の迷いがない。


長い弓を背負い、両手には短い黒い刃。


弓だけではない。


近距離でも――


異常なほど強い。


「やっぱり……」


エリスが息を整える。


「あなた……近接戦も得意なんですね」


返事はない。


ハンターが踏み込む。


――ドンッ!!


「――!」


速い。


エリスも前へ出る。


二人の距離が一瞬で消える。


「はぁっ!」


エリスの掌底。


ハンターは腕で受ける。


――ガッ!!


衝撃。


「――っ!」


エリスの身体が僅かに後ろへ流れる。


その隙にハンターが回転。


横薙ぎ。


「!」


エリスは上体を反らす。


刃が髪を数本切り落とす。


「危ない……!」


そのまま身体を沈め――


足払い。


「――!」


ハンターが跳ぶ。


エリスも跳ぶ。


空中で身体を捻る。


「――せいっ!」


蹴り。


ハンターは腕で受ける。


ドンッ!!


二人とも同時に吹き飛ぶ。


着地。


互いに――


ほぼ同時に構え直した。


「…………」


「…………」


距離は五メートルほど。


どちらも動かない。


風が吹く。


砂埃が二人の間を通り抜ける。


エリスは静かに息を吐いた。


「……互角」


一度目を閉じる。


そして――


「ですね」


ハンターが弓を手に取った。


ギリ……。


弦を引く。


エリスも弓を構える。


「なら――」


二人同時。


「――いきます!」


シュンッ!!


無数の矢が飛び交った。


「アルテミス・レイン!」


ヒュヒュヒュヒュヒュッ!!


エリスの放った矢が空を埋め尽くす。


対してハンターも――


シュシュシュシュッ!!


黒い矢を連射。


空中で矢と矢がぶつかる。


ババババババッ!!


爆発。


火花。


光。


黒い魔力。


次々と空中で弾けていく。


「――っ!」


エリスが横へ跳ぶ。


爆風。


「ウィンドステップ!」


風を踏み、さらに高く跳ぶ。


空中から狙う。


「――そこ!」


一本の矢を放つ。


シュンッ!!


ハンターが身体を傾ける。


矢が肩を掠める。


「当たった……!」


だが――


ハンターは止まらない。


空中で弓を引く。


「――!」


一本。


二本。


五本。


十本。


一度に放たれる。


「……!」


エリスの表情が変わる。


「多い……!」


矢が追尾する。


右。


左。


上。


背後。


逃げ道を塞ぐように迫ってくる。


「なら――」


エリスは弓を消した。


「私も……!」


両手を前へ。


光が集まる。


「精弓魔武!」


――パァァァァ……!


精霊弓王の力と魔武の力が同時に輝く。


エリスの身体から、強烈な魔力が噴き上がった。


そして――


手のひらに一本の光の矢。


「――これで!」


シュンッ!!


矢を放つ。


一本の矢が――


空中で分裂。


十。


二十。


五十。


百。


無数の光の矢へと変化する。


「アルテミス・レイン!」


――ドドドドドドドドドッ!!


光の雨。


ハンターへ降り注ぐ。


しかし。


「…………」


ハンターが弓を引く。


一本。


たった一本。


そして――


シュッ!!


放たれた矢が空中で無数に分裂する。


「――!」


エリスの光の雨と、黒い矢の雨が正面衝突。


――ドドドドドドドドドドン!!


爆発。


二つの力が完全に打ち消し合った。


「…………」


エリスは目を見開く。


「……全部」


ハンターの矢が消える。


エリスの矢も消える。


「打ち消された……?」


ハンターは無言。


次の瞬間。


消えた。


「――!」


エリスの目の前。


短剣。


「くっ!」


エリスは腕で受ける。


ガキィン!!


「――っ!」


ハンターの二本目。


エリスは身体を横へ。


三本目。


しゃがむ。


四本目。


後ろへ跳ぶ。


五本目。


掌底で軌道を逸らす。


「はぁっ!」


エリスの蹴り。


ハンターは腕で受ける。


ドンッ!!


二人の距離が開く。


「…………」


エリスは息を荒くする。


「本当に……」


拳を握る。


「全部、見切ってくる……!」


ハンターが弓を構えた。


「――!」


エリスもすぐに構える。


「だったら……!」


魔力をさらに高める。


「一つじゃなくて――」


光。


炎。


風。


雷。


水。


大地。


闇。


さまざまな魔力がエリスの周囲を回り始める。


精弓魔武によって取り込んだ魔力。


自分自身の魔力。


そして周囲の魔力。


すべてを一本の矢へ集める。


「――全部乗せます!」


一本の矢が巨大化する。


「精弓魔武――」


ギィィィィィン……!


「極光!」


――ドォォォォォォォン!!


巨大な光の矢が放たれた。


ハンターが弓を引く。


黒い矢。


一本。


放つ。


シュンッ!!


二本の矢が正面から激突。


――――。


一瞬。


音が消えた。


そして――


ドォォォォォォォォォォン!!


凄まじい爆発。


エリスが吹き飛ぶ。


「きゃあっ!」


地面を転がる。


ハンターも後退する。


だが――


「……!」


エリスはすぐに立ち上がった。


「まだ……!」


口元の血を拭う。


ハンターを見る。


「まだ終わってません!」


ハンターも弓を構える。


互いに――


限界が近づいていた。


---


エリスが走る。


ハンターも走る。


「――っ!」


二人が正面衝突。


短剣。


掌。


肘。


蹴り。


弓。


魔力。


全てが入り乱れる。


ガキィン!!


ドゴッ!!


シュッ!!


バキィッ!!


「はぁぁっ!」


エリスの掌底。


ハンターが受ける。


そのまま腕を掴む。


「――!」


エリスが身体を回転。


投げようとする。


しかしハンターは着地。


エリスへ肘。


「――っ!」


エリスは肩で受ける。


痛み。


だが止まらない。


「魔武!」


――パァン!!


拳がハンターの胸へ入る。


ハンターの身体から魔力が流れ込む。


エリスへ吸収される。


「――もらいました!」


魔力が一気に増える。


精弓魔武。


吸収。


変換。


強化。


すべてが一瞬で行われる。


「アルテミス・レイン――」


エリスの周囲に大量の矢が生まれる。


「近距離連射!!」


ドドドドドドドドッ!!


至近距離。


逃げ場がない。


しかし――


ハンターは身体を捻りながら短剣を振る。


キィン!


一本。


キィン!


二本。


キィン!


三本。


次々と矢を弾く。


「――嘘……!」


エリスが目を見開く。


残りの矢は――


身体を回転させて避ける。


「全部……!」


エリスが後退する。


ハンターが踏み込む。


「――!」


短剣が迫る。


エリスはギリギリで避ける。


だが――


二本目。


三本目。


四本目。


連続攻撃。


「くっ……!」


エリスも反撃する。


拳。


蹴り。


肘。


掌。


身体全体を使って攻撃する。


「はぁっ!」


「――!」


互いの攻撃がぶつかる。


一歩。


二歩。


三歩。


下がる。


また踏み込む。


そして――


ドゴォォォン!!


二人の拳が同時に相手へ入った。


エリスが吹き飛ぶ。


ハンターも吹き飛ぶ。


瓦礫の上に落ちる。


「……はぁ……」


「…………」


二人とも立ち上がる。


息が荒い。


身体中が傷だらけ。


それでも――


目だけは死んでいなかった。


エリスはハンターを見る。


「あなた……」


少し笑う。


「本当に強いですね」


ハンターは答えない。


ただ弓を構える。


「…………」


エリスも構える。


「なら――」


目を閉じる。


自分の中の魔力を感じる。


精霊弓王。


魔武。


これまでの戦い。


そして――


自分が師匠から教わったこと。


――弓は、遠くから撃つだけじゃない。


敵を見る。


動きを読む。


自分自身の身体も武器にする。


「リゼッタ……」


小さく呟く。


「見ていてください」


目を開く。


「私は――」


光が集まる。


「私の戦い方で勝ちます!」


――パァァァァァ!!


精弓魔武が全開になる。


ハンターが弓を引く。


ギリィィィ……。


二人の間に風が吹く。


砂埃が舞う。


「…………」


一瞬。


静寂。


次の瞬間。


二人が同時に――


走った。


「――――ッ!!」


シュンッ!!


ハンターの矢。


エリスは避けない。


「――ウィンドステップ!」


身体を僅かにずらす。


矢が頬を掠める。


そのまま――


前へ。


さらに前へ。


ハンターが二本目。


三本目。


四本目。


連射。


「――っ!」


エリスは身体を捻る。


一本。


二本。


三本。


紙一重。


全て避ける。


そして――


ハンターの懐へ入った。


「――捕まえました!」


掌底。


ハンターが受ける。


エリスはその腕を掴む。


「魔武――!」


魔力を吸収。


ハンターの身体が僅かに揺らぐ。


その瞬間。


「精弓魔武――」


エリスの手の中に――


一本の矢。


だが、今までとは違う。


極端に細い。


静かな矢。


「――一点突破」


シュッ。


ほとんど音がしなかった。


ハンターの防御の僅かな隙間を――


矢が正確に撃ち抜く。


「…………!」


ハンターの身体が止まる。


エリスはすぐに距離を取った。


「…………」


ハンターの弓が――


ゆっくりと地面へ落ちる。


カラン……。


膝がつく。


「…………」


エリスも息を切らしている。


「……終わりです」


ハンターは顔を上げる。


その姿が――


赤黒い粒子へ変わり始めた。


エリスは警戒したまま見つめる。


「…………」


ハンターは何も言わない。


身体が徐々に崩れていく。


そして最後に――


弓だけを残して。


――シュゥゥゥ……。


完全に消えた。


「…………」


エリスはしばらく動かなかった。


やがて――


「……勝った」


震える声。


そして――


「私……勝った……!」


小さく拳を握る。


だが。


その瞬間。


遠くから――


ドォォォォォン!!


巨大な爆発音。


エリスが振り返る。


「……キラさん!」


さらに別の方向から――


ガキィィィン!!


剣がぶつかる音。


「レティシアさんも……!」


エリスは弓を握り直した。


まだ戦いは終わっていない。


「……急がないと!」


エリスは傷だらけの身体を動かし――


二人の仲間が戦う場所へ向かって走り出した。


デダルクの戦いは――


まだ終わっていなかった。


第240話 終

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