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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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234話 死者と兵器


――魔人国・南門。


魔境軍との戦いは、始まっていた。


「うおおおおおおおおおお!!」


「魔人族、押し返せぇぇぇ!!」


「敵を止めろ!!」


無数の怒号が飛び交う。


剣と剣がぶつかり、槍が突き出され、魔法が次々と炸裂する。


大地にはすでに無数の傷が刻まれていた。


土煙が舞い上がり、魔力の爆発が連続して起こる。


その戦場の右側。


そこでは――


「…………」


パオが一人、立っていた。


その周囲には――


大量の死体。


先ほど放たれた、


超すごい半端ない砲。


その一撃によって倒された魔境軍は、およそ一万。


普通ならば、戦場から消えているはずの兵士たち。


しかし――


「…………」


パオが両手を広げる。


足元に巨大な魔法陣が浮かび上がった。


「起きるヨ」


ズズズズズズズ……。


「死んだ者たちヨ」


ズズズズズ……。


「もう一度――」


「私のために動くヨ」


その瞬間。


ドクンッ!!


魔法陣が脈打った。


倒れていた魔境兵の指が――


ピクリ。


「…………」


一人。


また一人。


ゆっくりと立ち上がっていく。


ガチャ……。


ガチャガチャ……。


倒れていた兵士たちが武器を拾う。


その瞳に意思はない。


ただ――


パオの命令だけに従っている。


「前進ヨ」


ズズズズズ……。


一万の死者が、一斉に動き始める。


「…………!」


魔人族兵士たちが驚く。


「す、すげぇ……!」


「一万の死体を……!」


「これなら戦える!」


パオは笑った。


「まだまだいけるヨ」


一万の死者が魔境軍へ向かっていく。


「敵はあっちヨ」


「全部倒すヨ」


死者たちが走る。


ドドドドドドドド!!


魔境軍と激突。


「な、なんだ!?」


「こいつら……!」


「倒したはずの仲間が――!」


魔境軍が混乱する。


倒れた仲間たちが、今度は敵として襲い掛かってくる。


「くそっ!」


「斬れ!」


「こいつらはもう死んでいる!」


戦場はさらに混乱していった。


しかし――


「…………っ」


パオの表情が少しずつ変わっていく。


「はぁ……」


額に汗が浮かぶ。


「はぁ……はぁ……」


一万。


一万もの死者を同時に操る。


それは、パオにとっても簡単なことではなかった。


魔力が――


凄まじい勢いで減っていく。


「これは……」


パオが胸元を押さえる。


「ちょっと……きついヨ……」


一人を操る。


十人を操る。


百人。


千人。


そして一万。


死霊操作は数が増えるほど、必要な魔力も増大する。


「…………」


視界が少し揺れる。


それでもパオは手を下ろさない。


「まだ……」


一万の死者が戦っている。


「まだ動けるヨ……」


だが――


その時。


「パオさーん!!」


「…………?」


聞き慣れた声。


パオが振り返る。


「ジミー?」


小さな身体。


白衣を泥だらけにしながら――


ジミーが走ってきた。


「はぁ……はぁ……!」


その手には、大きな瓶。


「これ!」


パオの前まで来ると、それを差し出した。


「マジックポーションです!」


「…………」


パオが受け取る。


「助かるヨ」


「一気に飲んでください!」


「分かったヨ」


ゴクッ。


ゴクッ。


ゴクゴクゴクッ!


パオはマジックポーションを一気に飲み干した。


「…………ぷはぁ」


体の奥に魔力が戻っていく。


「おお……」


パオの目に光が戻る。


「かなり回復したヨ」


「よかったです!」


ジミーが嬉しそうに笑う。


しかし――


その直後。


「でも……」


パオがジミーを見る。


「ここは戦場ヨ」


「はい!」


「危ないヨ」


「…………」


ジミーは一瞬だけ固まる。


そして――


白衣のポケットから何かを取り出した。


「だから――」


カチャ。


「私も戦います!」


「…………」


パオの目が点になる。


ジミーが持っていたのは――


小型の兵器。


両手で持てるほどの大きさ。


まるで――


小型のマシンガン。


銃身には複数の魔法石が埋め込まれている。


「それ……何ヨ?」


「試作品です!」


「…………」


パオが呆れる。


「試作品を戦場に持ってくるヨ……?」


「はい!」


「…………」


ジミーは胸を張った。


「研究者ですから!」


「意味が分からないヨ」


その瞬間――


「ギャアアアアアア!!」


魔境兵が迫ってきた。


「危ない!」


ジミーが振り向く。


「…………!」


魔境兵が剣を振り下ろす。


ガキィィィン!!


「ひっ!」


パオが死者の一体を割り込ませた。


魔境兵の剣が死者の身体に突き刺さる。


その隙に――


「ジミー!」


「はい!」


ジミーが兵器を構えた。


「これ……」


小型兵器の銃口が――


魔境軍へ向く。


「ルミナ・マジック弾を使います!」


「…………!」


パオが目を見開く。


ジミーが引き金を引く。


「撃ちます!」


ダダダダダダダダダッ!!


「――――ッ!?」


大量の光弾が飛び出した。


ズガガガガガガガ!!


魔境兵の足元が次々と爆発する。


「な、なんだ!?」


「新しい魔法か!?」


「撃ち続けろ!!」


ジミーが兵器を横へ振る。


ダダダダダダダダ!!


魔法弾が雨のように降り注ぐ。


「す、すごいヨ……」


パオが思わず呟く。


「これ……」


ジミーは目を輝かせながら叫ぶ。


「連射できます!」


ダダダダダダダダダダ!!


「しかも魔力が続く限り撃てます!」


「いや、それは撃ちすぎヨ!」


パオがツッコむ。


しかし――


ジミーは止まらない。


「まだです!」


ダダダダダダダダ!!


「まだまだ!」


ダダダダダダダダ!!


「もっと!」


ダダダダダダダダダ!!


魔境兵が次々と吹き飛んでいく。


「ぐああああ!」


「何だこの兵器は!」


「止めろ!」


魔境軍がジミーへ殺到する。


「…………!」


パオが笑った。


「なるほどヨ」


両手を広げる。


「なら、私が守るヨ」


ズズズズズ……。


死者たちが一斉にジミーの前へ集まる。


壁になる。


盾になる。


そして――


「行くヨ!」


一万の死者が再び進軍。


「敵を押し返すヨ!」


「はい!」


ジミーも兵器を構える。


ダダダダダダダダ!!


死者たちが前線を押し上げる。


その後ろからジミーの魔法弾が飛び続ける。


「すごい……」


魔人族兵士たちもその光景を見る。


「パオ様が死者を操って……」


「その後ろからジミーが兵器を撃っている!」


「俺たちも負けるな!」


「うおおおおおお!!」


魔人族の士気が上がっていく。


しかし――


魔境軍も黙ってはいない。


「魔法部隊!」


「前へ出ろ!!」


「一斉攻撃だ!!」


ズガァァァァン!!


大量の魔法が飛んでくる。


「…………!」


パオが振り返る。


「ジミー!」


「分かっています!」


ジミーが兵器を構え直す。


しかし――


カチッ。


「…………?」


弾が止まった。


「…………」


ジミーが兵器を見る。


「弾切れです!」


「今!?」


パオが叫ぶ。


「はい!」


「どうするヨ!?」


ジミーは――


白衣のポケットから小さな瓶を取り出した。


「これです!」


「それは……」


「マジックポーションです!」


ゴクッ。


ゴクゴクッ。


「ぷはぁ!」


ジミーが満足そうに飲み干す。


「よし!」


「…………」


パオが呆れる。


「酒みたいに飲むヨ……」


「魔力がなくなったら飲めばいいんです!」


ジミーは兵器の魔法石を交換する。


「そして――」


カチャッ。


「また撃ちます!」


ダダダダダダダダダダッ!!


「おおおおおおお!!」


パオが笑う。


「面白い奴ヨ!」


「ありがとうございます!」


「褒めてないヨ!」


二人の周囲では――


戦いがさらに激しくなっていた。


魔境軍が押し寄せる。


魔人族が迎え撃つ。


死者たちが前線を支える。


ジミーの兵器が敵を撃ち抜く。


パオは魔力を消費するたびにマジックポーションを飲む。


ゴクゴク。


そしてまた死者を操る。


「立つヨ!」


「進むヨ!」


「敵を倒すヨ!」


死者が動く。


ジミーも叫ぶ。


「撃ちます!」


ダダダダダダダダ!!


「まだ撃ちます!」


ダダダダダダダダ!!


「もう一回!」


ダダダダダダダダ!!


爆発。


怒号。


剣戟。


魔法。


無数の死者。


そして――


新型兵器。


戦場右側は、完全な混戦状態へと変わっていった。


「…………」


パオは戦場を見渡す。


敵はまだ多い。


それでも――


確実に押し返している。


「これなら……」


パオが笑う。


「まだまだ時間を稼げるヨ」


ジミーも隣で笑った。


「はい!」


二人は同時に前を見る。


そこには――


未だ途切れることなく押し寄せる魔境軍。


そして、そのさらに向こう。


魔人国の城。


守るべき場所。


守るべき仲間。


パオが手を上げる。


「死者たち!」


一万の死者が一斉に振り返る。


「もう一度――」


「行くヨ!!」


「オオオオオオオオオオ!!」


死者の群れが駆け出した。


その後ろから――


ジミーの兵器が火を噴く。


「超すごい半端ない砲だけじゃありません!」


ジミーが叫ぶ。


「私の兵器も――」


引き金を引く。


「超すごいんですからぁぁぁ!!」


ダダダダダダダダダダ!!


戦場に無数の光弾が走る。


こうして――


パオとジミー。


死霊と兵器による異色の戦闘部隊が誕生した。





この戦いの中で、ジミーは自身の研究者としての才能を戦闘に応用する。


スキル

「魔導兵器開発」


ジミーにとっては、研究と戦闘を繋ぐ初めての実戦だった。


そして戦場は――


さらに激しさを増していく。


第234話 終

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