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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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233話 第二次魔族国大戦



――魔境。


魔境城・謁見の間。


巨大な扉の向こうから、重い足音が響いていた。


ズン……。


ズン……。


ズン……。


やがて――


六人の魔境将軍が、エリオスの前に並んだ。


それぞれが異なる武器を持ち、全身から禍々しい魔力を漂わせている。


その姿だけで、普通の魔族なら近づくことすら躊躇するほどだった。


しかし――


玉座に座るエリオスは、特に興味を示すこともなく六人を見下ろしていた。


「今回で……何人やられた?」


静かな声。


六人のうち、一人が一歩前へ出る。


「……一万五千ほどです」


「そうか」


エリオスは、それだけ言った。


「…………」


誰も口を開かない。


エリオスは少しだけ考える。


その横で、アイセラが呟いた。


「あと……六万ほどですか」


「…………」


エリオスが頷く。


「ああ、そうだね」


そして――


ゆっくりと立ち上がる。


「なら……」


右手を上げる。


「六万、僕が補充しておくよ」


パチン。


指を鳴らした。


その瞬間――


ドォォォォォォン!!


城の外から、地鳴りのような音が響いた。


「…………!」


魔境将軍たちが振り返る。


窓の外。


魔境城を囲む広大な大地に――


一つ。


また一つ。


巨大な魔法陣が浮かび上がっていく。


「なんだ……あれは……」


地面いっぱいに広がる魔法陣。


その数は――


数百。


いや、それ以上。


青白い光ではない。


禍々しい黒紫色の光が、地面を這うように広がっていく。


ゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!


魔法陣の中心から、次々と影が現れる。


一人。


十人。


百人。


千人――。


その数は止まらない。


「…………」


アイセラが窓の外を見つめる。


そして――


目の前の光景に、わずかに目を細めた。


「六万……」


地面を埋め尽くす魔境兵。


武器を持ち。


鎧を身につけ。


一斉に立ち上がる。


まるで大地そのものが――


兵士に変わったかのようだった。


エリオスは満足そうに笑う。


「この六万は――」


六人の魔境将軍を見る。


そして、その中の一人を指差した。


「君に預ける」


「…………」


指名された魔境将軍は、片膝をつく。


「御意」


それだけだった。


エリオスは再び窓の外を見る。


六万の軍勢。


すでに存在していた軍勢と合わせれば――


その数は圧倒的だった。


「これで……」


エリオスの口元がゆっくりと吊り上がる。


「ついに下準備は完成する」


「…………」


その瞳には――


確かな狂気が宿っていた。


――――――――――


場面は変わる。


――魔人族。


魔王城。


城内では、戦争に向けた準備が急ピッチで進められていた。


武器。


防具。


食料。


回復薬。


魔力回復用の薬品。


ありとあらゆる物資が運び込まれていく。


兵士たちも配置につき、城壁の上には大量の魔人兵が並んでいた。


そして――


城の一角。


そこには、巨大な兵器が設置されていた。


「…………」


その横で、ジミーが忙しそうに装置を確認している。


白衣。


三つ編みのツインテール。


小さな身体。


そして、いつものおどおどした表情。


何度も装置を確認してから――


ジオウの前へ駆け寄った。


「ジ、ジオウ様……!」


「どうした?」


「じゅ、準備は……!」


息を整える。


「準備は、ほぼ完了しました……!」


ジオウは巨大兵器を見る。


その砲身は、南門の外へ向けられている。


「よし」


ジオウが頷いた。


「これで準備は整った」


――その瞬間。


カァァァァァン!!


「…………!」


城全体に――


けたたましい鐘の音が鳴り響いた。


カン!


カン!


カン!


緊急事態を知らせる鐘。


その場にいた全員が一斉に顔を上げた。


「な、なんだ!?」


「敵襲か!?」


「南門方面だ!」


兵士たちが騒ぎ始める。


そこへ――


バンッ!!


扉が勢いよく開いた。


一人の魔人族兵士が飛び込んできた。


「ジュダ様!!」


「ジオウ様!!」


息を切らし、肩で大きく呼吸している。


「どうした!」


ジオウが立ち上がる。


兵士は震える声で叫んだ。


「ま、魔境軍です!」


「魔境軍が――!」


「約六万!!」


「…………!」


部屋の空気が凍りついた。


「六万……?」


レティシアが呟く。


エリスも表情を引き締める。


「六万って……」


セリーナが青ざめる。


「そんなに……?」


ジュダだけは――


静かに立ち上がった。


「そうか」


そしてキラを見る。


「キラ」


「…………」


キラも立ち上がる。


ジュダは拳を握った。


「いよいよ戦いじゃ」


キラは窓の外を見る。


「……ああ」


そしてジュダは振り返った。


「ジオウ」


「はっ!」


「パオ」


「ここにいるヨ」


「お前たちも来い」


二人が頷く。


「ジミーは――」


ジュダが巨大兵器を見る。


「その兵器を、いつでも使えるようにしておけ」


「は、はい!」


ジミーは敬礼する。


「任せてください!」


そして――


全員が一斉に城外へ向かった。


――――――――――


南門。


ズズズズズズズズ……。


地面が揺れている。


城壁の上に立つ魔人兵たち。


その向こう。


地平線。


そこから――


黒い波が押し寄せていた。


「…………」


誰も言葉を発しない。


一万。


二万。


三万。


それ以上。


魔境軍の大軍勢が、大地を埋め尽くしている。


鎧。


武器。


巨大な魔物。


無数の兵士。


その全てが――


魔人国へ向かって進んでいた。


ズン……!


ズン……!


ズン……!


軍勢が進むたび、大地が震える。


魔人族兵士たちの顔から血の気が引いていく。


「多すぎる……」


「こんな数……」


「勝てるのか……?」


恐怖が広がる。


その時――


「道を開けるヨ」


パオが歩いてくる。


その後ろから――


キラ。


レティシア。


エリス。


セリーナ。


ジュダ。


ジオウ。


そして――


「はぁ……はぁ……!」


ジミーが走ってきた。


「ジ、ジオウ様!」


ジミーは息を整えながら、巨大兵器の前へ立つ。


そして――


ビシッ!


小さな身体で敬礼した。


「魔王様!」


ジュダが振り返る。


「なんじゃ」


「超すごい半端ない砲!」


「…………」


「いつでも発射可能です!」


「そうか」


ジュダは兵器を見る。


巨大な砲身。


内部には、キラが大量のルミナを注ぎ込んだ魔法石が組み込まれている。


「ならば――」


ジュダは魔境軍を見る。


「まずは数を減らさねば、どうにもならん」


そして――


「最強火力で撃て」


「は、はい!」


ジミーが叫ぶ。


「了解です!」


急いで持ち場へ戻っていく。


「…………」


キラたちも兵器を見つめる。


やがて――


巨大兵器の内部が光り始めた。


ゴゴゴゴゴゴゴ……。


「……!」


砲身の奥。


魔力が集まっていく。


一つ。


また一つ。


光の粒子が集まり――


巨大なエネルギーの塊へと変わっていく。


ゴォォォォォォォ……!!


空気が震える。


地面まで揺れる。


「おお……」


ジオウが目を見開く。


エリスも息を呑む。


セリーナは両手を胸の前で握る。


ジュダも黙って見つめていた。


そして――


ジミーが砲台の前で右手を高く掲げる。


「…………」


魔力充填――完了。


ジミーは大きく息を吸った。


「超すごい半端ない砲……」


一瞬の静寂。


そして――


「発射ぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


ブンッ!!


右手を勢いよく振り下ろす。


ドォォォォォォォォォォォン!!!


巨大なエネルギー弾が発射された。


「…………」


全員が目を見開く。


だが――


そのエネルギー弾は。


「…………ん?」


ゆっくり。


ゆっくりと。


飛んでいく。


ヒュ~~~~……。


「…………」


レティシアが無言になる。


「…………」


キラも黙って見る。


ヒュ~~~~……。


さらに進む。


レティシアが首を傾げた。


「……なんか、しょぼくない?」


「えっ」


セリーナも目を丸くする。


「超すごい半端ない砲って名前でしたから……」


エネルギー弾を見つめる。


「もっとすごいの想像していました」


「…………」


エリスが不安そうに呟く。


「あれ……」


「こちらに落ちてきませんよね?」


「怖いこと言うな!!」


キラたち全員が一斉にツッコんだ。


「…………」


ヒュ~~~~……。


相変わらず遅い。


魔境軍の兵士たちも、そのエネルギー弾を見上げていた。


「なんだ?」


「魔人族の攻撃か?」


「遅すぎるぞ」


「避ける必要もないだろう」


そして――


エネルギー弾が。


魔境軍の目の前へ――


ゆっくりと落下した。


「…………?」


次の瞬間。


――――――――――


ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!


世界が――


白くなった。


「…………!」


音すら遅れてやってくる。


ドゴォォォォォォォォォォォォォン!!!!


超巨大な爆発。


地面が大きく隆起し――


衝撃波が大地を駆け抜ける。


魔境軍の前方が、一瞬で巨大な光に飲み込まれていく。


砂煙。


爆風。


光。


そして――


遠くからでも分かるほどの巨大な爆発。


城壁の上にいた魔人族兵士たちは――


ただ呆然と見つめていた。


「…………」


「…………」


「…………」


誰も声を出せない。


レティシアが口を開く。


「…………」


「ほんとに……」


エリスも続く。


「すごかったのね……」


セリーナも呟く。


「名前通り……だったんですね……」


その時。


遠くから――


「イェス!!」


「イェス!!」


「イェイ!!」


「いやほーい!!」


ジミーの声が響いた。


「…………」


パオがその方向を見る。


そして、楽しそうに笑った。


「ジミー、うれしそうヨ」


「そりゃあれだけの威力が出ればな」


キラも苦笑する。


すると――


ジオウが剣を抜いた。


カチャッ。


その顔から笑みが消える。


「――魔人族!」


城壁の上にいた兵士たちが一斉に振り返る。


「恐れるな!」


ジオウが叫ぶ。


「我々には――」


剣を魔境軍へ向ける。


「守るべき国がある!」


「…………!」


魔人族兵士たちの表情が変わる。


「今こそ――」


ジオウが踏み出した。


「魔人族、前進!!!」


「うおおおおおおおおおお!!!」


魔人族兵士たちが一斉に叫ぶ。




ドォォォォン!!


魔人族の軍勢が飛び出していく。


キラたちも続く。


ジュダはその背中を見つめ――


静かに剣を抜いた。


「…………」


そして。


魔境軍を見据える。


「第二次――」


赤黒い魔力が、ジュダの身体から噴き上がる。


ゴォォォォォォ……!!


「魔族国大戦の始まりじゃ」


その言葉と同時に――


魔人族軍と魔境軍。


二つの軍勢が――


真正面から激突した。


ドォォォォォォォォォン!!!


大地が揺れる。


剣がぶつかる。


魔法が飛び交う。


怒号が響く。


そして――


世界の命運を懸けた戦いが、


ついに始まった。


第233話 終

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