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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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222/287

221話 伝説の始まり。



――キラが生まれるすこし前。


まだ、世界に「伝説」と呼ばれる者たちが存在しなかった時代。


一面に広がる、焼けた大地。


草木は消え。


大地は黒く焦げ。


ところどころに巨大な亀裂が走っている。


空は灰色。


遠くでは炎が上がり、煙が空へと伸びていた。


ドォォォォン……!!


遠くで爆発が起こる。


その爆音が大地を震わせる。


その焼けた大地に――三人の英雄が立っていた。


剣を握る男。


アシュレイン。


弓を構える女。


リゼッタ。


そして杖を握る女。


リリー。


三人とも傷だらけだった。


鎧はところどころ砕け、服には血と煤が付いている。


それでも――。


誰一人として退こうとはしなかった。


その後ろには、一人の少女。


ルナ。


彼女は静かに三人を見つめていた。


そして。


三人の眼前には――。


地平線を埋め尽くすほどの軍勢。


魔境軍。


数え切れないほどの魔境の兵たちが、巨大な軍勢となってこちらへ向かっている。


魔境軍の進行によって、各国は甚大な被害を受けていた。


街が襲われ。


村が消え。


大地が焼かれ。


多くの人々が避難を余儀なくされている。


中でも――。


アーク国への攻撃は激しかった。


「……またアークが攻められている」


リリーが遠くを見る。


「うん」


リゼッタが弓を握り直す。


「だから、ここで止める」


アシュレインが剣を肩に担ぐ。


そして――。


三人の身体から白い光が溢れた。


パァァァァァ……!!


それは、ルナから与えられた力。


白の加護。


三人の身体を包み込み、肉体を強化する。


魔力を強化する。


そして、彼らが持つ力そのものを引き上げる。


アシュレインが剣を構えた。


「行くぞ」


リゼッタが弓を引く。


「うん」


リリーが杖を掲げる。


「今日も守るわよ」


その瞬間。


魔境軍が動いた。


「――――!!」


大地を埋め尽くす軍勢が一斉に走り出す。


ズドドドドドドドドドッ!!


地面が揺れる。


砂煙が舞い上がる。


無数の魔力が集まり、空を黒く染めていく。


「来る!」


リゼッタが叫ぶ。


次の瞬間。


「撃てぇぇぇぇぇ!!」


魔境軍から大量の魔法が放たれた。


炎。


雷。


闇。


巨大な魔力弾。


無数の攻撃が三人へ向かって飛んでくる。


ゴォォォォォォ!!


「リリー!」


「任せて!」


リリーが杖を地面へ突き立てる。


ドンッ!!


巨大な光の障壁が展開される。


ドドドドドドドドドッ!!


無数の魔法が障壁へ激突。


光の壁が激しく揺れる。


「ぐっ……!」


リリーが歯を食いしばる。


「数が多すぎる!」


「なら――」


リゼッタが弓を引き絞る。


「減らす!」


一本の矢に魔力を集中。


「――――!」


放つ。


ヒュンッ!!


矢が空へ飛び上がる。


そして――。


「降れぇぇぇぇぇ!!」


ズガガガガガガガガガッ!!


無数の光の矢が空から降り注いだ。


魔境軍の前衛が次々と吹き飛ばされる。


「今だ!」


アシュレインが駆ける。


ドンッ!!


一歩で大地が砕ける。


敵陣へ飛び込む。


「うおおおおおおおお!!」


剣を振り抜く。


ズガァァァァン!!


一閃。


複数の敵がまとめて吹き飛ぶ。


さらに二撃。


三撃。


四撃。


アシュレインは止まらない。


敵の攻撃を剣で弾き。


身体を捻り。


懐へ潜り込み。


一撃で敵を倒す。


「来い!!」


周囲から一斉に敵が襲い掛かる。


「――遅い!」


ガキィン!!


剣で攻撃を受け流す。


そのまま身体を回転。


ザシュッ!!


背後の敵を斬り伏せる。


そこへ魔法が飛んでくる。


「――!」


アシュレインが跳ぶ。


足元を炎が通過。


着地と同時に前方へ突進。


「はああああああ!!」


ドォォォォン!!


敵陣が大きく崩れる。


「アシュレイン!」


リゼッタが叫ぶ。


「右!」


「分かっている!」


右から迫る巨大な魔物。


アシュレインが剣を構える。


その瞬間。


ズドォォォォン!!


リゼッタの矢が魔物の頭部を貫いた。


「助かった!」


「こっちもお願い!」


リリーが叫ぶ。


「後ろ!」


アシュレインが振り返る。


リリーへ迫る敵。


「させるか!」


アシュレインが走る。


だが――。


その敵の前にリゼッタの矢が突き刺さる。


ズンッ!!


「三人で戦えば、こんなの敵じゃない!」


リゼッタが笑う。


リリーも笑った。


「そうね!」


三人。


それぞれの力を理解し。


それぞれの弱点を補い。


互いを信じて戦う。


それこそが――。


後に「伝説」と呼ばれる三人の強さだった。


しかし。


その戦場に――。


異質な魔力が現れた。


「……?」


リリーが顔を上げる。


空気が変わる。


魔境軍の兵たちが、一斉に道を開けていく。


「なんだ……?」


アシュレインが剣を構える。


魔境軍の奥から、一人の存在が歩いてくる。


その姿を見た瞬間。


リゼッタの表情が険しくなった。


「……あれは」


リリーが呟く。


そして。


その者は名乗った。


「我が名は――」


「傲慢、アイセラ。」


――傲慢。


三大天の一人。


その名を聞いた瞬間。


戦場全体の空気が凍りついた。


アイセラが一歩進む。


ズン……


それだけで大地が沈む。


「お前たちが、白の加護を授かった者か」


アシュレインが剣を構える。


「だったらどうする」


アイセラは笑った。


「決まっている」


魔力が膨れ上がる。


ゴォォォォォォォォ!!


「その加護ごと――消してやる」


瞬間。


戦場が爆発した。


「――来るぞ!!」


アシュレインが叫ぶ。


アイセラが一瞬で距離を詰める。


ドォン!!


「ぐっ!」


アシュレインの剣とアイセラの攻撃が激突。


衝撃波が周囲を吹き飛ばす。


「アシュレイン!」


リゼッタが矢を放つ。


ヒュンッ!!


アイセラがかわす。


「甘い」


「なら――!」


リゼッタが次々と矢を放つ。


左右。


上下。


死角。


「逃がさない!」


リリーも魔法を重ねる。


光の魔法が戦場を走る。


ズガガガガガッ!!


しかしアイセラは、それらを真正面から突破してくる。


「くっ……!」


三人が同時に押し込まれる。


アシュレインの身体が吹き飛ぶ。


リゼッタが地面を転がる。


リリーも膝をついた。


「……強い」


リリーが息を切らす。


アイセラが迫る。


「終わりだ」


その瞬間。


後ろにいたルナが三人を見る。


そして――。


白い光が、三人へ集まり始めた。


「……!」


アシュレインが気づく。


「ルナ!」


ルナは静かに頷いた。


その白い光は――。


三人が今まで受け取っていた白の加護そのものだった。


「まさか……」


リゼッタが目を見開く。


「この力を……」


リリーも理解する。


「最後の一撃に全部……」


アシュレインが立ち上がる。


剣を握る。


「……分かった」


三人の身体を、今まで以上の白い光が包み込む。


パァァァァァァァァァ!!


アシュレイン。


リゼッタ。


リリー。


三人が同時に駆け出す。


「うおおおおおおおおお!!」


「いっけぇぇぇぇぇ!!」


「これで終わらせる!!」


剣。


弓。


魔法。


三つの力が一つになる。


ドォォォォォォォォォォン!!


巨大な爆発が戦場を覆った。


大地が割れる。


空が震える。


砂煙がすべてを包み込む。


そして――。


煙の向こう。


アイセラの姿が見えた。


傷だらけ。


しかし――。


まだ立っている。


「……!」


アシュレインが最後の力を振り絞る。


三人が同時に攻撃を叩き込む。


ズガァァァァァァァン!!


アイセラの身体が大きく吹き飛んだ。


そのまま遠くへ消えていく。


「……退いた……?」


リゼッタが息を切らす。


リリーがその場に座り込む。


「やった……」


だが。


アシュレインは自分の身体を見る。


白い光が――。


消えていた。


「…………」


三人の周囲から、白の加護が完全に消滅していた。


ルナも黙っている。


リゼッタが拳を握る。


「……なくなった」


リリーも頷く。


「白の加護を全部使ったのね」


三人はしばらく何も言わなかった。


自分たちを何度も救ってくれた力。


神から与えられた力。


それを――。


今、使い切った。


だが。


アシュレインが剣を握り直す。


「……関係ない」


「アシュレイン?」


「白の加護がなくても」


アシュレインは立ち上がった。


「俺たちには、この剣がある」


リゼッタも弓を持ち上げる。


「私には、この弓がある」


リリーも杖を握る。


「私には、この魔法がある」


三人は顔を見合わせる。


そして笑った。


「まだ戦える」


「まだ守れる」


「まだ終わってない」


三人は再び戦場へ向き直る。


目の前には、まだ無数の魔境軍。


遠くではアーク国から上がる煙。


世界中で戦いが続いている。


白の加護は、もうない。


それでも――。


三人は戦った。


自らの剣で。


自らの弓で。


自らの魔法で。


そして、この日からだった。


人々が三人を――。


「伝説」


と呼び始めたのは。


神から与えられた力ではなく。


己自身の力だけで世界を守り続けた三人。


後に――。


剣聖アシュレイン。


弓王リゼッタ。


大賢者リリー。


そう呼ばれる者たちの、伝説の始まりだった。


第221話 終

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