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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』50000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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220話 伝説の称号



静寂が戻っていた。


神の試練が行われていた純白の世界は消え、キラたちは再び、あの白い部屋へと戻っていた。


誰も立ち上がれない。


キラは床に座り込み、荒い呼吸を繰り返している。


レティシアは仰向けになり、


「……もう一歩も動けない……」


エリスも壁に背を預けたまま、目を閉じている。


セリーナはその場にへたり込み、


「つ、疲れたでしゅ……」


ジュダも片膝をついたまま、黙って呼吸を整えていた。


その時――。


部屋の中央に置かれている一冊の本。


ラウマフーズ【神の書】


その本が突然、淡い光を放ち始めた。


「……?」


キラが顔を上げる。


本が宙へ浮かび上がる。


ページがひとりでにめくられていく。


パラパラパラパラ――。


そして。


本から声が響いた。


『――神の試練、クリア』


「……!」


全員が顔を上げた。


『すべての試練を突破したことを確認』


『新たなる紋章を確認』


『世界の封印の紋章――書き換えを実行します』


「紋章を書き換える……?」


キラが立ち上がろうとする。


しかし、身体が重い。


それでも壁へ目を向けた。


そこには、これまでずっと浮かんでいた三つの紋章がある。


――剣。


――弓。


――賢者。


その三つが、突然強烈な光を放った。


キィィィィィン……!!


「な、なんだ!?」


レティシアが起き上がる。


壁一面を光が覆う。


そして――。


最初に変化したのは、剣の紋章だった。


剣の形が揺らぐ。


一本だった剣が――。


二本へ。


「……!」


レティシアが目を見開く。


一本の剣の紋章が、二本の剣が交差した紋章へと変化していく。


双剣の紋章。


「私の……?」


レティシアが呟く。


次に、弓の紋章が光り出す。


普通の弓の形が変化する。


弓を包むように精霊の光が集まり――。


まるで精霊そのものが宿った弓の紋章へと変わっていく。


「……精霊弓」


エリスが小さく呟いた。


そして三つ目。


賢者の文字が刻まれていた紋章。


それが激しく輝く。


文字そのものが変化していく。


「これは……?」


キラが見つめる。


やがて。


光魔


という二文字が浮かび上がった。


「光魔の文字……」


セリーナが呟く。


しかし――。


まだ終わらない。


壁の空いた場所。


そこに新しい光が生まれた。


「……新しい紋章?」


ジュダが立ち上がる。


一つ。


そして――。


もう一つ。


合計二つの紋章が、壁に浮かび上がった。


一つ目は――。


聖なる光を象徴する紋章。


聖の紋章。


「……私?」


セリーナが自分を指差す。


そしてもう一つ。


炎のような赤黒い光と、暗い力を思わせる紋章。


獄の紋章。


ジュダが目を細めた。


「……私の紋章か」


『新たなる紋章を確認』


ラウマフーズの声が響く。


『双剣』


『精霊弓』


『光魔』


『聖』


『獄』


五つの紋章が一斉に輝いた。


そして――。


部屋全体が大きく震える。


ゴゴゴゴゴゴゴ……!!


壁。


床。


天井。


そのすべてに、淡い光の線が走っていく。


その光は部屋から外へ。


さらに遠くへ。


まるで世界中へ向かって広がっていくようだった。


『世界の封印――再構築』


『封印強度――上昇』


『結界――安定』


その瞬間。


遠く離れた場所に存在する封印までもが、強く輝いた。


中央の封印。


地下の封印。


そして世界各地に存在する封印。


それらが一本の光で繋がったように輝く。


キラはそれを見つめながら呟いた。


「……封印が……強くなった」


エリスも頷く。


「これなら……魔境からの力も、簡単にはこっちへ来られないかも」


「つまり……」


レティシアが拳を握る。


「私たちが戦った意味があったってことだね」


「うん」


キラが頷いた。


だが――。


ラウマフーズから、再び声が響く。


『――最終目的』


五人の表情が変わる。


『聖の世界からの排除』


「……!」


キラが目を見開く。


『対象――魔境国デダルク』


ジュダの表情が変わった。


「デダルク……」


かつて魔族たちが暮らしていた国。


そして今は――。


魔境軍に支配されている土地。


『最終目的』


『聖の世界からの排除』


『つまり――』


一拍。


そして。


『デダルクの奪還』


ジュダが拳を握った。


「……そういうことか」


その瞳に、強い意志が宿る。


「私の国を……取り戻す」


キラがジュダを見る。


「ジュダ」


「分かっている」


ジュダはキラを見返した。


「私は魔王だ」


そして、堂々と言い切る。


「ならば、自らの国を取り戻すのは当然であろう」


キラは笑った。


「ああ」


レティシアも立ち上がる。


「だったら、次にやることは決まったね」


エリスも弓を背負う。


「デダルク奪還」


セリーナも小さく頷いた。


「みんなで……取り戻しましょう」


その時だった。


ラウマフーズから、最後の声が響く。


『――世界を守るもの』


「……?」


五人が同時に顔を上げる。


次の瞬間。


五人の右手の甲が、一斉に輝いた。


パァァァァァァ……!!


「うわっ!?」


レティシアが右手を見る。


そこには――。


それぞれ異なる紋章が浮かび上がっていた。


レティシアには――


双剣の紋章。


エリスには――


精霊弓の紋章。


キラには――


光魔の紋章。


セリーナには――


聖の紋章。


ジュダには――


獄の紋章。


五つの紋章。


五人の力。


そして――。


「……何か見える」


キラが呟いた。


全員の頭の中に、同時に文字が浮かび上がった。


『称号――』


『伝説』


「…………!」


五人が言葉を失う。


再び声が響く。


『称号――伝説を取得』


『世界を守るものとして認定』


その文字が光となって消えていく。


部屋には静寂が戻った。


キラは自分の右手の甲を見る。


そこには、確かに新たな紋章が刻まれている。


「……伝説、か」


レティシアが笑う。


「なんか、すごい称号もらっちゃったね」


エリスも自分の紋章を見る。


「私たちが……世界を守る側に」


セリーナは右手を胸の前に持ってくる。


「……なんだか、責任重大でしゅ」


ジュダは右手を見つめた後、静かに笑った。


「ふっ……悪くない」


キラは五人の顔を見る。


そして立ち上がった。


「行こう」


「どこへ?」


レティシアが聞く。


キラはまっすぐ前を見る。


「決まってるだろ」


「――デダルクだ」


五人の新たな戦いが始まろうとしていた。


第220話 終

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