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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』40000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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210話 3つの未来

第208話 選べる未来


――それから。


長い年月が流れた。


数十年。


数百年。


そして――数千年。


聖の世界には、少しずつ人々が増えていった。


村ができ。


国が生まれ。


人々は大地を耕し、子を育て、日々を生きていた。


その世界を――


二人の女神は見守り続けていた。


中央の封印場を守る――ルナ。


地下の封印場を守る――リナ。


しかし。


世界のすべてを二人だけで守ることは、簡単ではなかった。


特に――


魔境からの攻撃。


結界の外側では、黒い魔力が何度も渦巻いていた。


――ドォォォォン!!


結界へ巨大な黒い攻撃が叩きつけられる。


「……っ!」


ルナが振り返る。


白い結界が大きく揺れる。


「また……魔境軍……」


黒い魔力が結界へ何度もぶつかる。


――ドンッ!


――ドォンッ!


――ズガァァァン!!


結界の一部に、亀裂が走った。


ルナは急いで魔力を送り込む。


「まだ……破らせない……!」


両手を広げる。


白い光が結界へ流れ込む。


亀裂がゆっくりと塞がっていく。


だが――


その頃。


ルナの前に、三人の若者が現れた。


まだ後に「伝説」と呼ばれる前の姿。


一人は巨大な剣を背負った青年。


一人は弓を持った女性。


そしてもう一人は、杖を手にした少女。


三人は旅の途中で、この不思議な場所へ辿り着いた。


「……ここは?」


剣を持った青年が周囲を見渡す。


すると――


白い光が降りてきた。


その中心に、ルナが現れる。


「あなたたち……」


三人は驚いて立ち止まった。


「誰だ……?」


ルナは静かに三人を見つめた。


「私は、この世界の封印を守る者」


「そして……あなたたちには、力がある」


弓を持った女性が目を細める。


「力……?」


ルナは頷いた。


「この世界を守るための力」


三人の前に、三つの光が現れる。


剣。


弓。


そして杖。


「この世界には、光だけではなく闇も存在します」


「その闇が世界を壊そうとしたとき――」


ルナは三人へ手を伸ばした。


「あなたたちが、封印を守ってほしい」


三人は顔を見合わせる。


そして――


剣を持った青年が一歩前へ出た。


「分かった」


弓を持った女性も続く。


「私もやる」


最後に杖を持った少女が頷いた。


「私たちで、この世界を守りましょう」


その瞬間。


――パァァァァァァッ!!


三人の身体が白い光に包まれた。


「うおおおおおおおっ!!」


剣を持った青年の身体に、強大な力が流れ込む。


弓を持った女性の周囲に、無数の光の粒子が舞う。


杖を持った少女の魔力が、一気に膨れ上がる。


ルナが授けた――


白の加護。


三人はその力を受け継いだ。


後に彼らは――


三英雄


と呼ばれることになる。


そして三つの力は――


剣。


弓。


賢者。


それぞれが世界の封印を支える力となった。



---


だが。


同じ頃。


地下深く。


リナは――


一人で戦っていた。


「……また来た……」


地面が震える。


――ゴゴゴゴゴゴゴ……。


巨大な地下空間。


その中心には、巨大な封印魔法陣が存在していた。


リナは、その前に立っている。


彼女の背後にあるのは――


世界の根幹を支える封印。


絶対に壊されてはならない場所。


しかし。


その向こう側から――


黒い影が現れた。


一体。


十体。


百体。


やがて無数の魔境軍が姿を現す。


「――来る……!」


リナが両手を広げる。


「この封印は……絶対に渡さない!」


――ズドォォォォン!!


黒い魔力が飛んでくる。


リナは闇の力をぶつける。


――ドォォォン!!


爆発。


しかし。


魔境軍は止まらない。


次々と押し寄せてくる。


「くっ……!」


リナが後退する。


「多すぎる……!」


一体倒しても。


また一体。


さらに十体。


百体。


魔境軍の波が、地下封印場を飲み込もうとしていた。


「ここを破壊されたら……」


世界の封印が崩れる。


それだけは――


絶対に許されない。


リナは傷だらけになりながら、封印魔法陣へ視線を向けた。


「……そうか」


彼女は気づいた。


魔境軍が狙っているのは――


自分ではない。


封印そのもの。


ならば。


「だったら……」


リナは静かに魔法陣の中心へ歩いていく。


「私ごと……封じればいい」


「……!」


リナの周囲に、巨大な水晶が現れる。


――キィィィィィン。


透明な水晶が、ゆっくりと広がっていく。


「この封印を……」


「誰にも壊させない」


リナは魔法陣の中心に立った。


「私自身を……封印の一部にする」


――ズズズズズズ……!!


巨大な水晶がリナを包み込む。


「ぐっ……!」


身体が動かなくなる。


魔力も少しずつ奪われていく。


それでも――


リナは目を閉じなかった。


「これで……」


水晶が胸元まで覆う。


「あなたたちは……」


腰。


肩。


首。


そして――


最後に顔まで。


「この封印を……壊せない」


――パァァァァァァッ!!


巨大な水晶が完成した。


その内部には――


リナと、封印魔法陣。


二つが一つになった姿が閉じ込められていた。


魔境軍が一斉に攻撃する。


――ドドドドドドドドッ!!


しかし。


水晶は揺れない。


傷一つつかない。


魔境軍の攻撃を受けながら――


リナは静かに目を閉じた。


「……これで……いい」


「いつか……誰かが……」


「この世界を……守ってくれる……」


そして。


リナは長い眠りについた。



---



白い世界。


天空の塔、最上階。


キラたちは、神の書の前に立っていた。


「…………」


誰も言葉を発しない。


目の前に映し出されていた五千年前の光景が――


ゆっくりと消えていく。


ルナ。


リナ。


そして三英雄。


すべての始まりを見届けた。


神の書が、再び輝く。


――キィィィィン。


「……終わった?」


セリーナが小さく呟く。


すると。


目の前の白い空間が――


一瞬で砕けた。


――パァァァァァァッ!!


「うわっ!」


レティシアが目を閉じる。


エリスも腕で顔を覆う。


キラは光の中で目を開けた。


「……ここは……」


次の瞬間。


――ドサッ。


五人が天空の塔の最上階へ戻っていた。


「戻ってきた……」


エリスが周囲を見る。


白い部屋。


中央に置かれた神の書。


すべて元通りだった。


しかし。


神の書だけは――


まだ光っている。


「……過去は終わった」


キラが呟く。


すると。


神の書が開いた。


ページがめくられていく。


――パラ……。


――パラ……。


そして。


一つの言葉が浮かび上がる。


『選べる未来』


「……未来?」


レティシアが近づく。


神の書の前に、巨大な光の画面が現れた。


そこには――


三つの道。


三つの世界。


三つの結末が映し出されていた。



---




――魔境軍の大軍。


燃え上がる街。


倒れていく人々。


そして。


キラたち五人が――


地面に倒れていた。


「……俺たちが……負けてる?」


キラの表情が険しくなる。


その世界では――


魔境軍が世界を支配していた。


人々は逃げ惑い。


国々は滅び。


空は黒く染まっている。


『未来壱――キラたちは敗北する』


『世界は魔境軍の支配下となる』



---



別の世界。


そこには――


キラたちがいた。


しかし。


その身体には黒い魔力がまとわりついている。


「……これ……俺たち……?」


セリーナが震える。


キラたちは――


魔境軍の側に立っていた。


世界を守るのではなく。


世界を侵略する側として。


『未来弐――キラたちは魔境軍に取り込まれる』


『世界は黒き力に染まる』


「……最悪だな」


キラが拳を握る。



---


そして――


第三の未来。


そこには――


キラ。


レティシア。


エリス。


セリーナ。


ジュダ。


五人が立っていた。


傷だらけになりながら。


それでも――


誰一人倒れていない。


その目の前には。


無数の魔境軍。


そして、そのさらに奥には――


黒い巨大な力。


「……」


キラが剣を握る。


レティシアが双剣を構える。


エリスが弓を引く。


セリーナが杖を握る。


ジュダが静かに笑う。


そして――


五人が一歩前へ進む。


『未来三――魔境軍を倒す』


『世界を維持する』


三つの未来が、目の前に並んだ。


キラたちは黙ってそれを見つめる。


セリーナが小さく呟いた。


「……未来が……三つ……」


レティシアが拳を握る。


「だったら――」


エリスも前を見る。


ジュダは腕を組み、鋭い目を向ける。


そしてキラは――


三つの未来を見据えた。


「……選べってことか」


神の書が、静かに輝く。


五千年前から続いてきた戦い。


ルナとリナ。


エリオス。


魔境軍。


そして――


今を生きる自分たち。


そのすべての先にある未来が――


今、五人の前に示された。


第210話 終

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