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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』40000pv突破  作者: 異世界文庫 きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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209話 2つに分かれた女神


――聖の世界。


空が震えていた。


白い光と黒い闇が、何度も激突する。


「はぁぁぁぁぁっ!!」


アルテミスが光の弓を引き絞る。


その周囲に、数え切れないほどの光の矢が浮かび上がった。


「――アルテミス・レイン!!」


――ヒュンッ!!


――ヒュンヒュンヒュンヒュンッ!!


無数の光の矢が、一斉にエリオスへ降り注ぐ。


「……っ!」


エリオスは黒い魔力を全身に纏わせる。


――ドドドドドドドドッ!!


光の矢が大地を穿つ。


巨大な爆発が連続して起こる。


土煙が空高く舞い上がった。


しかし――


「まだだ……!」


エリオスが煙の中から飛び出す。


その身体には傷が増えていた。


だが、戦意は失っていない。


「終わらせる……アルテミス!!」


――ドンッ!!


エリオスが地面を蹴る。


一瞬でアルテミスの目の前まで迫る。


「――黒天衝!!」


――ズガァァァァァン!!


黒い拳が放たれる。


アルテミスは光の剣を横に構えた。


――ガキィィィィン!!


受け止める。


しかし――


「ぐっ……!!」


アルテミスの身体が押される。


「これで終わりだ!」


エリオスがさらに力を込める。


黒い魔力が爆発する。


「――っ!!」


アルテミスの足元の大地が大きく陥没する。


だが。


アルテミスは歯を食いしばりながら、エリオスを見つめた。


「……終わるのは……あなたです」


「何……?」


アルテミスの背後に、巨大な光の魔法陣が浮かび上がる。


――キィィィィィン!!


「聖なる世界よ……」


「私に、最後の力を……!」


アルテミスの身体から、膨大な光が溢れ出した。


「――セレスティアル・ジャッジメント!!」


――――ドォォォォォォォォォン!!


巨大な光の柱が、エリオスを飲み込んだ。


「ぐああああああああああっ!!」


黒い魔力が吹き飛ばされる。


エリオスの身体が宙へ投げ出される。


何度も何度も回転し――


――ドガァァァァン!!


大地へ叩きつけられた。


「……はぁ……はぁ……」


アルテミスは荒い息を吐く。


エリオスは起き上がろうとする。


だが――


「……くっ……!」


腕に力が入らない。


身体が動かない。


そして、エリオスは理解した。


「……俺の……負けか……」


アルテミスは静かに見下ろす。


「あなたは強かった」


「ですが……この世界を壊させるわけにはいきません」


エリオスは悔しそうに拳を握った。


「……覚えていろ……アルテミス……」


「必ず……戻ってくる……」


黒い魔力がエリオスの身体を包み込む。


――シュンッ!!


次の瞬間。


エリオスの姿が消えた。


魔境へと撤退したのだ。



---


――魔境。


深い闇に包まれた場所。


エリオスは傷だらけの身体を引きずりながら歩いていた。


「……負けたか」


誰もいない。


返事もない。


ただ、暗闇だけが広がっている。


エリオスは巨大な岩の前で足を止めた。


そして、その場に座り込む。


「……まだ……終わっていない」


「黒神の目的は……」


「この世界を……手に入れること……」


エリオスは目を閉じる。


「ならば……その時まで……」


身体を横たえる。


黒い魔力がゆっくりとエリオスを包み込んでいく。


「眠る……」


――ズズズズズ……。


エリオスの身体が、魔境の闇へ沈んでいく。


そして――


エリオスは長い眠りについた。



---


一方。


――聖の世界。


アルテミスは、巨大な塔の前に立っていた。


「……」


戦いは終わった。


エリオスは撤退した。


聖の世界は守られた。


しかし――


アルテミス自身にも、限界が来ていた。


「……もう……」


アルテミスの身体から、光の粒子がこぼれ落ちる。


指先が透けていく。


腕も。


身体も。


「力を……使いすぎました……」


先ほどの戦い。


そして、世界全体を守るために築いた巨大な結界。


中央の封印場。


地下の封印場。


各地に広げた封印。


それらすべてを維持するには、あまりにも大きな力が必要だった。


アルテミスは自分の手を見る。


その手が、少しずつ消えていく。


「このままでは……私自身が……」


姿を維持できない。


それはつまり――


封印を守る者がいなくなるということ。


「……ならば」


アルテミスは静かに空を見上げた。


「私自身を……分けるしかありません」


――キィィィィン。


アルテミスの周囲に、巨大な魔法陣が展開される。


白い光。


そして、その中に僅かな黒い光が混ざっていく。


「光も……闇も……」


「どちらも、この世界には必要なのです」


アルテミスは目を閉じる。


「一つだった私を……二つに分ける」


身体から光が溢れる。


同時に、黒い影も伸びていく。


「聖なる光を――」


白い光が強く輝く。


「そして、闇を――」


黒い光が広がる。


――パァァァァァァッ!!


世界が光に包まれた。


そして――


アルテミスの姿が消えた。


その代わりに。


二人の少女が立っていた。


一人は――


純白の光を纏った少女。


「……」


もう一人は――


静かな闇を纏った少女。


「……ここは……?」


二人は互いを見つめる。


アルテミスだった存在が――


光と闇に分かれたのだ。


光を受け継いだ少女。


その名は――


ルナ。


そして闇を受け継いだ少女。


その名は――


リナ。


ルナは周囲を見渡した。


巨大な塔。


世界各地へ伸びる封印の紋章。


中央の封印場。


そして地下深くに存在する封印場。


「私たちは……この封印を守る」


リナも頷く。


「そう……」


二人は、それぞれ別の場所へ歩き出した。


ルナは中央の封印へ。


リナは地下の封印へ。


そして――


それぞれが、自分の力を使って封印を維持していく。


世界を守るために。


黒神の侵入を防ぐために。


眠りについたエリオスが、再び目覚めるその日まで。


こうして――


アルテミスという一人の女神は消えた。


その代わりに生まれた。


二人の女神。


光の女神――ルナ。


闇の女神――リナ。


そして数千年後。


この二人の存在が、世界の運命を大きく左右することになる。


第209話 終

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