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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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206話 未来を選べ



白い部屋。


キラたちの目の前には、先ほどまで何もなかったはずの壁。


そこに今――


巨大な扉が浮かび上がっていた。


扉の表面には、三つの紋章。


剣。


弓。


賢者。


それぞれが淡い光を放っている。


レティシアが扉へ近づく。


「……本当に開くのかな?」


「やってみるしかないだろ」


キラも扉の前へ歩く。


しかし、取っ手はない。


鍵穴もない。


ただ三つの紋章があるだけだった。


エリスが紋章を見る。


「もしかして……」


彼女が弓の紋章へ手を伸ばす。


しかし――


触れる直前。


紋章が強く輝いた。


「……!」


エリスが手を止める。


すると今度は、レティシアの持つ双剣が淡く光り始めた。


「え?」


レティシアが剣を見る。


その瞬間。


扉の剣の紋章も強く輝く。


「これ……私に反応してる?」


キラは二人を見た。


「たぶんな」


そして最後に、賢者の紋章。


それは――


キラが近づいた瞬間、強烈な光を放った。


「うわっ!」


セリーナが目を覆う。


ジュダも目を細める。


キラは自分の手を見る。


「……俺にも反応した」


三つの紋章が、それぞれ反応している。


レティシア。


エリス。


そしてキラ。


ジュダが静かに呟く。


「まさか……」


「どうした?」


「この扉は、三大英雄の後継者を認識しているのではないか?」


キラたちは顔を見合わせる。


レティシアが驚く。


「私が……アシュレインの代わり?」


エリスも弓を見つめる。


「私は……リゼッタ先生の……」


キラは賢者の紋章を見る。


「そして俺が……リリーの代わり?」


三人の前で、紋章がさらに強く輝いた。


そして――


カチッ。


どこかで鍵が外れるような音がした。


ゴゴゴゴゴ……!


巨大な扉がゆっくりと開いていく。


その向こうから――


強烈な風が吹き込んできた。


「うわっ!」


レティシアの髪が大きく揺れる。


エリスも腕で顔を覆う。


セリーナは、


「きゃぁぁぁぁ!」


そのままキラの後ろへ隠れた。


ジュダは平然と立っている。


「風ごときで騒ぐな」


「だ、だってすごい風でしゅ!」


「……お前は本当に聖女なのか?」


「聖女でしゅ!」


キラが思わず笑う。


「まあ、いいから行こう」


五人は扉の向こうへ進んだ。



---


扉の先。


そこには――


空しかなかった。


「…………」


全員が言葉を失う。


足元には白い床が続いている。


しかし、その先には壁も天井もない。


雲より遥か高い場所。


青い空。


遠くには太陽。


そして眼下には――


世界が見えていた。


「……すごい」


レティシアが呟く。


エリスも目を見開く。


「世界が……全部見える」


山。


森。


海。


街。


遠くにはエルディア。


そしてマニル。


オギデストラ。


シルオット。


アーク。


魔人国。


これまでキラたちが旅をしてきた場所が、遥か下に見えている。


セリーナは震えながら、


「高すぎるでしゅ……」


「落ちることはない」


キラが言う。


「……本当でしゅか?」


「たぶん」


「たぶん!?」


セリーナが青ざめる。


レティシアが笑う。


「大丈夫だって!」


ジュダはそんな二人を無視して、前方を見る。


「……あれを見ろ」


全員がそちらを見る。


遠く。


空の上に――


巨大な建造物が浮かんでいた。


塔。


いや。


塔というより、


巨大な神殿。


その周囲をいくつもの光の輪が回っている。


エリスが呟く。


「……あれが、天空塔の本当の姿?」


キラは目を細める。


「俺たちが登ってきた塔は……入口だったのか」


その瞬間。


神の書――ラウマフーズが光った。


そして、また声が響く。


> 『三つの力を持つ者よ』




キラたちは静かに聞く。


> 『剣は、守る力』




レティシアの双剣が光る。


> 『弓は、見届ける力』




エリスの弓が光る。


> 『賢者は、導く力』




キラの周囲に光が集まる。


> 『三つの力が揃うことで、封印は維持される』




キラが尋ねる。


「じゃあ……三人の誰か一人でもいなくなったら?」


しばらく沈黙。


そして――


> 『封印は、弱まる』




エリスの表情が曇る。


「……だから先生たちは……」


リゼッタ。


アシュレイン。


リリー。


三人が命を落としたことで、世界の封印は大きく弱まってしまった。


キラが拳を握る。


「だから魔境軍が……」


ジュダが続ける。


「封印の弱まりを利用して、この世界へ侵入した」


「そういうことだな」


しかし、神の書はさらに言葉を続ける。


> 『だが――』




空気が変わる。


> 『三つの紋章は、失われたわけではない』




「……え?」


レティシアが顔を上げる。


神の書から三つの光が飛び出した。


剣。


弓。


賢者。


そして、それぞれが――


レティシア。


エリス。


キラへと入っていく。


「っ……!」


キラの身体が一瞬だけ光る。


レティシアも。


エリスも。


光が消える。


すると三人の身体に、ほんの一瞬だけ紋章が浮かび上がった。


すぐに消える。


ジュダが目を細める。


「……継承したのか?」


キラは自分の手を見る。


「分からない」


そのとき。


空の彼方から――


巨大な音が響いた。


ドォォォォォン!!


「!?」


空そのものが揺れる。


遠くの雲が黒く染まっていく。


エリスが空を見る。


「……あれは……」


黒い亀裂。


空に、巨大な黒い亀裂が走っている。


そしてその向こう側から――


大量の黒い魔力が流れ出していた。


ジュダが険しい顔になる。


「魔境……」


キラは剣を抜いた。


「もう始まってる」


レティシアも双剣を構える。


エリスは弓を握る。


セリーナも杖を構えた。


そして神の書が最後の言葉を告げる。


> 『未来を選べ』




キラが空を見上げる。


黒い亀裂。


その向こうに広がる魔境。


そして世界。


キラは剣を強く握った。


「……なら、俺たちが選ぶ」


レティシアが笑う。


「もちろん!」


エリスも頷く。


「うん」


セリーナは少し震えながらも杖を握る。


「私も……行きます!」


ジュダが不敵に笑う。


「当然だ。私は魔王だぞ」


五人は、黒い亀裂へ向かって歩き出した。


その先に何が待っているのか。


過去に何があったのか。


そして――


未来に何を選ぶのか。


まだ誰にも分からなかった。


第206話 終

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