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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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204話 若き日の3人



白い部屋。


キラたちの目の前には、若き日の三人がいた。


剣を腰に下げた青年――アシュレイン。


大きな弓を背負った若い女性――リゼッタ。


そして杖を手にした少女――リリー。


三人は、現在の姿とはまるで違っていた。


まだ「剣聖」「弓王」「大賢者」と呼ばれる前。


ただの冒険者だった頃の姿。


「……先生……」


エリスは、リゼッタから目を離せなかった。


「本当に……若い……」


レティシアも驚いた顔で三人を見る。


「アシュレインもリゼッタもリリーも……こんな頃があったんだ」


「当然だろ」


キラは小さく笑う。


「最初から伝説だったわけじゃない」


ジュダは腕を組んだまま、じっと三人を観察していた。


「だが、これは過去の映像なのだろう?」


「たぶんな」


キラが答える。


「俺たちのことは見えていないみたいだ」


確かにそうだった。


若い三人は、キラたちの存在に気づいていない。


まるで透明な存在になったようだった。


そのとき――


三人の前にあった巨大な扉が、ゆっくりと開いた。


ゴゴゴゴゴ……。


扉の向こうには、さらに広い空間が広がっている。


アシュレインが剣に手をかける。


「警戒しろ」


リゼッタが弓を構える。


「何がいるか分からないからね」


リリーは杖を握りしめた。


「魔力は……感じない」


三人は慎重に中へ入っていく。


キラたちも、その後を追う。



---


扉の先。


そこには巨大な円形の部屋があった。


中央には、大きな魔法陣。


そして、その周囲に三つの台座がある。


それぞれの台座には、


剣の紋章。


弓の紋章。


賢者の紋章。


が刻まれていた。


エリスが呟く。


「……今の部屋と同じ……」


キラも頷く。


「でも、こっちの方が古い」


リリーが魔法陣へ近づく。


「……これが中央の封印に繋がっているのね」


アシュレインが振り返る。


「本当に?」


「うん」


リリーは魔法陣を調べる。


「ここから、世界中の封印へ魔力が流れてる」


リゼッタが驚く。


「じゃあ、この塔が全部の封印を管理してるってこと?」


「そういうことになる」


リリーは頷いた。


そして、三つの紋章を見つめる。


「でも……おかしい」


アシュレインが尋ねる。


「何がだ?」


「この魔法陣……」


リリーは指先を魔法陣に近づける。


「三つの紋章がないと、完全には動かない」


キラの目が見開かれる。


「……!」


現在のキラたちが見つけた三つの紋章。


剣。


弓。


賢者。


それには、やはり意味があった。


リリーは続ける。


「剣の紋章は、封印を押さえる力」


アシュレインが自分の剣を見る。


「俺か」


「うん」


そしてリリーは弓を見る。


「弓の紋章は、封印を監視する力」


リゼッタが眉を上げる。


「私?」


「そう」


最後に、リリー自身が自分の胸へ手を当てる。


「そして賢者の紋章は……」


一瞬、言葉を止める。


「二つの力を制御する」


キラは静かに三人を見る。


「……だから三つ必要なのか」


ジュダが呟く。


「力、監視、制御……」


レティシアは剣の紋章を見る。


「つまり、三人が揃わないと封印は完成しない」


「そういうことだな」


キラが答えた。


その瞬間。


魔法陣が淡く光った。


三つの紋章へ向かって、魔力が流れ始める。


――剣。


――弓。


――賢者。


三つが同時に輝く。


すると、部屋の中央に巨大な光の柱が現れた。


リリーが驚く。


「これは……!」


光の柱の中に、何かが映し出される。


それは世界だった。


大地。


海。


森。


そして空。


その世界を取り囲むように、いくつもの光が存在している。


アシュレインが息を呑む。


「これが……世界中の封印か」


「そうみたい」


リゼッタがじっと見つめる。


「……でも」


彼女が一つの光を指差す。


「そこだけ、少し暗くない?」


全員がそちらを見る。


一つの封印が、ほんの少しだけ黒く染まっていた。


リリーの表情が変わる。


「……おかしい」


「何か分かったか?」


「分からない。でも……」


リリーが杖を握る。


「この黒い力……普通の魔力じゃない」


その瞬間。


黒い亀裂が、映し出された世界の中に走った。


バキッ……!


リゼッタが弓を構える。


「何!?」


亀裂は一瞬で消えた。


しかし――


部屋の空気が変わった。


アシュレインが剣を抜く。


「誰かいる」


キラも反射的に剣へ手を伸ばす。


「……!」


だが、何もいない。


ジュダが周囲を睨む。


「いや……」


彼女が天井を見上げる。


「この部屋ではない」


「え?」


セリーナが首を傾げる。


ジュダは静かに言った。


「もっと遠い場所だ」


そして若きリリーが呟く。


「……魔境」


その言葉に、キラの表情が変わった。


「!」


若きリリーは続ける。


「この封印の向こう側……魔境から、何かがこちらを見ている」


アシュレインが剣を握り直す。


「魔境……」


リゼッタも険しい表情になる。


「まだ、戦いは終わってないってこと?」


リリーは答えなかった。


ただ、三つの紋章を見つめていた。


そして――


そのときだった。


天井から、低い声が響いた。


> 『三つの力を持つ者よ……』




若き三人が同時に顔を上げる。


キラたちも驚いて天井を見る。


> 『この世界を守りたくば……』




白い光が部屋いっぱいに広がる。


> 『決して、三つの紋章を失ってはならぬ』




そして声は消えた。


静寂。


リリーはしばらく黙っていた。


やがて、ゆっくりと口を開く。


「……私たちが、この封印を守るんだ」


アシュレインが頷く。


「そうだな」


リゼッタも笑う。


「三人でね」


若き三人は、互いに顔を見合わせる。


そして――


それぞれの台座へ歩いていく。


アシュレインは剣の紋章へ。


リゼッタは弓の紋章へ。


リリーは賢者の紋章へ。


三人が台座の前に立った瞬間。


三つの紋章が眩い光を放った。


その光景を見ながら、エリスは拳を握る。


「……先生たちは……」


レティシアも静かに呟いた。


「この時から、世界を守ってたんだ」


キラは何も言わず、三人を見つめていた。


だが、その表情には一つの疑問が浮かんでいた。


――なぜ。


三大英雄は、このことを誰にも話さなかったのか。


そして。


この時、三人が見た黒い亀裂は――現在の魔境軍と、どう繋がっているのか。


神の書は、まだ光を失っていなかった。


第204話 終

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