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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
天空の塔〜第二次魔族国大戦編

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203話 神の書【ラウマフーズ】



中央の封印を通り過ぎキラたちは、少しだけ北へ向かって歩いていた。


目の前に広がるのは、雲一つない青空。


その中に、まるで空へ突き刺さるようにそびえ立つ巨大な塔が見えてくる。


白く、巨大な塔。


頂上は雲の遥か上にあり、見上げてもその先が見えない。


「……あれが」


レティシアが目を細める。


「天空の塔……」


エリスも黙って塔を見上げる。


「昔、アシュレインたちが行った場所……」


「そうだな」


キラは剣の柄に手を添えながら答えた。


「俺たちも、ここまで来たんだな」


セリーナは塔を見上げたまま、


「……た、高いでしゅ……」


「そこ?」


ジュダが呆れたように言う。


「世界の命運がかかっているというのに、気にするのは高さか」


「だって……高いものは高いでしゅ……」


「はぁ……」


ジュダがため息をつく。


レティシアは笑った。


「まあ、セリーナらしいけどね!」


そして一行は、天空の塔の入口へと辿り着いた。


巨大な扉。


だが、扉には鍵も、仕掛けもなかった。


キラが手を伸ばす。


ギィィィィィ……


重たい音を立てて、扉がゆっくり開いていく。


「……中は?」


エリスが覗き込む。


そこには――


階段があった。


ただ、それだけだった。


「階段……?」


レティシアが首を傾げる。


キラも中へ入る。


「行くしかないな」


「だね!」


5人は天空の塔へ入った。



---


そこからは、ひたすら階段を登った。


一階。


二階。


三階。


十階。


二十階。


五十階。


それでも、景色は変わらない。


白い。


どこまでも白い。


壁も。


床も。


天井も。


すべてが真っ白。


窓すらない。


「……ねえ、キラ」


レティシアが息を切らしながら言う。


「これ……いつまで続くの?」


「俺に聞くなよ」


「キラなら知ってると思った!」


「知るわけないだろ」


エリスも少し疲れた表情を見せる。


「……本当に何もないね」


「だな」


ジュダでさえ、少しだけ眉をひそめていた。


「奇妙な塔だ。魔力の反応もほとんどない」


セリーナは――


「……ふぅ……ふぅ……」


完全に息が上がっていた。


「だ、大丈夫か?」


キラが振り返る。


「だ、大丈夫でしゅ……」


「顔真っ赤だけど?」


「だ、大丈夫……でしゅ……」


「無理するなよ」


キラが少し笑う。


セリーナは頷いた。


「はい……」


そしてまた登る。


さらに登る。


どれほど時間が経ったのか分からない。


途中に休憩場所もない。


魔物もいない。


罠もない。


ただひたすら、


階段だけが続いていた。


そして――


ようやく。


階段の先に、一つの扉が現れた。


キラが足を止める。


「……ここか」


レティシアが壁にもたれながら答える。


「やっと……?」


エリスも息を整える。


「……この先から、強い魔力を感じる」


ジュダが頷く。


「私にも感じる。今までとは明らかに違う」


キラが扉に手をかける。


そして――


ゆっくりと開いた。



---


そこは、今までの白い空間とは少し違っていた。


巨大な円形の部屋。


天井は高く、壁には何もない。


部屋の中央。


そこに一つの台座があった。


そして、その上には――


一冊の本。


古びているようにも見える。


しかし、不思議なことに傷一つない。


キラがゆっくり近づく。


本の表紙には、見たことのない文字が刻まれていた。


その文字を見た瞬間。


キラの頭の中に、言葉が浮かぶ。


「……ラウマフーズ」


エリスが振り返る。


「知ってるの?」


「いや……」


キラは首を横に振る。


「知らない。でも、なぜか読める」


そして、その下に刻まれている文字。


キラはそれを読み上げた。


「……【神の書】」


セリーナが目を丸くする。


「神の……書?」


ジュダも警戒する。


「神……だと?」


キラは本に手を伸ばそうとした。


しかし――


その瞬間。


部屋の壁が淡く光り始めた。


「……!」


全員が振り返る。


壁に三つの紋章が浮かび上がっていた。


一つ目。


剣の紋章。


二つ目。


弓の紋章。


そして三つ目。


賢者の紋章。


レティシアが目を見開く。


「これ……」


エリスも息を呑む。


「三大英雄の……」


キラは黙って紋章を見つめる。


「……アシュレイン」


「リゼッタ……」


「リリー……」


3人の名を、静かに口にする。


その瞬間だった。


台座の上に置かれていた本――


ラウマフーズ【神の書】


が、突然光り始めた。


「なっ……!」


キラたちが身構える。


本から溢れ出す光。


白い光が部屋いっぱいに広がっていく。


そして――


声が聞こえた。


男とも女とも分からない。


遠いようで、すぐ近くにいるような声。


静かで、しかし世界そのものに響いているような声だった。


> 『これより見えるは――』




キラたちは息を呑む。


> 『過去』




部屋の中に、無数の光が浮かび上がる。


> 『現在』




光がさらに強くなる。


そして――


> 『そして、選べる未来』




「選べる……未来?」


キラが呟いた。


次の瞬間。


ラウマフーズの光が一気に激しくなる。


「うわっ!」


「きゃっ!」


「まぶしいでしゅぅ!」


5人が腕で目を覆う。


白い光が部屋を完全に包み込む。


そして――


数秒後。


ゆっくりと光が消えていく。


キラは目を開いた。


「…………」


目の前に、誰かがいる。


一人ではない。


三人。


若い男女の姿。


キラは言葉を失った。


レティシアも。


エリスも。


セリーナも。


ジュダも。


誰も動けない。


そこにいたのは――


若かりし頃の、


剣聖アシュレイン。


弓王リゼッタ。


大賢者リリー。


だった。


「……嘘」


エリスの声が震える。


「先生……?」


そこにいるリゼッタは、まだ若い。


今まで見てきた姿よりも遥かに若く、まだ三大英雄と呼ばれる前の姿。


アシュレインも若く、リリーもまだ幼さの残る顔をしている。


3人は、何かを話していた。


しかし――


キラたちには気づいていない。


まるでそこだけ、時間が切り取られているようだった。


キラはゆっくりと息を呑む。


「……過去を見せるってことか」


ジュダが腕を組む。


「ならば、これは記録か」


「たぶん……」


キラは三人を見つめる。


そして気づく。


若い三人の後ろ。


そこには――


今と同じ天空の塔の景色。


さらに、その三人の前には一つの巨大な扉がある。


その扉の中央には、


剣。


弓。


賢者。


三つの紋章が刻まれていた。


そして若きリリーが、何かを見つめながら口を開く。


> 「……この封印、本当にこれだけなのかな?」




キラの表情が変わる。


「……!」


若きアシュレインが振り返る。


> 「どういう意味だ?」




リリーは答える。


> 「私たちが知っている封印は……まだ一部分だけなんじゃない?」




リゼッタも黙って扉を見る。


そして――


三人の前にある扉が、


ゆっくりと開き始めた。


キラは思わず一歩前へ出た。


「……この先に何があるんだ?」


だが、その問いに答える者はいない。


神の書が再び淡く輝く。


そしてキラたちは、


5000年前の真実へと繋がる過去


を目撃することになる。


第203話 終

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