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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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203/280

202話 天空の塔へ



――そして、数日後。


アーク王都。


魔境軍による襲撃から時間が経ち、王都では少しずつ復興作業が進められていた。


完全に元通りになったわけではない。


大通りにはまだ瓦礫が残り、崩壊した建物の跡地では兵士や住民たちが片付けを続けている。


それでも、数日前とは明らかに違っていた。


食料が配られ、負傷者の治療も進み、住民たちは少しずつ自分たちの生活を取り戻し始めていた。


そんな王都に――


一台の馬車が戻ってきた。


「国王様がお戻りになられたぞ!」


兵士の声が響く。


「アーク王だ!」


「国王様!」


王都に残っていた人々が一斉に集まってくる。


馬車から降りてきたのは――


アーク王。


そして、そのすぐ後ろには二人の男がいた。


「……あれ?」


キラが目を向ける。


「キラ!」


「レオン!」


キラは思わず笑顔になった。


「無事だったんだな!」


「ああ。王を守りながら何とか戻ってきた」


レオンがいつものように笑う。


そして、その隣にいた男。


「父さん!」


「キラ」


グラン・フォン・レイゼンだった。


「お前も無事だったか」


「そっちこそ」


二人はしばらく顔を見合わせる。


キラは安心したように笑った。


「よかった……」


「心配をかけたな」


グランはそう言って、キラの肩に手を置いた。


「だが、こちらも聞いている。お前たちがこの国を守ってくれたそうだな」


「俺だけじゃないよ」


キラは後ろを見る。


そこには仲間たちが立っていた。


レティシア。


エリス。


セリーナ。


ジュダ。


そしてベルゼル。



---


アーク王の謝罪と感謝


一行は王城へ戻り、広間へ集まった。


アーク王は玉座の前まで進むと、キラたちの前で立ち止まった。


そして――


深々と頭を下げた。


「……皆、本当に申し訳なかった」


キラたちが驚く。


「王様……?」


アーク王は頭を上げた。


「私が王都を離れている間に、これほどの被害を出してしまった」


拳を握りしめる。


「多くの民が傷ついた。家を失った者もいる。命を失った者もいる」


そしてキラたちを見る。


「それでも、この国が完全に滅びなかったのは……君たちが戦ってくれたからだ」


「……」


「本当にありがとう」


セリーナが慌てて手を振る。


「い、いえ! 私たちは当然のことをしただけで……!」


キラも笑った。


「そうですよ。まだ復興の途中ですから」


アーク王は頷いた。


「そうだな」


その時だった。


アーク王の視線がキラの後ろへ移る。


そして――


止まった。


「……ところで」


ジュダを見る。


「そちらの女性は……?」


レオンもグランも、まだジュダを見ていなかった。


二人が振り返る。


「……」


「……」


二人とも固まった。


レオンが小さく呟く。


「……キラ」


「ん?」


「なんで魔王がここにいる?」


グランも目を見開く。


「まさか……」


ジュダは腕を組んで堂々と立っている。


キラは何でもないように言った。


「紹介するよ」


そしてジュダの隣へ歩く。


「この人は――」


「魔王ジュダ」


「……」


レオンの目がさらに大きくなる。


「魔王……?」


「そう」


キラは頷く。


「今は俺たちの仲間だ」


「…………」


レオンはしばらく黙った。


「……色々あったんだな」


「うん」


「本当に色々あったんだな……」


ジュダは少し不機嫌そうに言う。


「何を驚いている」


「いや、普通驚くだろ」


レオンが苦笑する。


ジュダは鼻を鳴らした。


「私は人間と戦うためにここへ来たのではない」


「……」


「世界を守るためだ」


アーク王はジュダを見つめる。


やがて、ゆっくりと頭を下げた。


「魔王ジュダ殿」


「……」


「この国を守るために力を貸してくれたこと、感謝する」


ジュダは少し驚いた。


そして静かに頷く。


「こちらこそ……人間と魔人族が争う時代を終わらせたいと思っている」


「私も同じだ」


アーク王が答えた。


その光景を見て、レオンはびっくりしている


まだ信じられないような表情をしていた。







するとキラが思い出したように手を叩いた。


「あ、そうだ」


「?」


「父さんたちに紹介しておきたい奴らがいる」


キラは広間の入口へ振り返る。


「入ってきていいぞ」


「お、おう!」


入ってきたのは――


トーマ。


ミナ。


カイル。


三人とも少し緊張した様子で立っている。


「こいつらは俺の幼なじみ」


キラが一人ずつ紹介する。


「トーマ」


「よろしく!」


「ミナ」


「よろしくお願いします」


「カイル」


「……よろしく」


グランは三人を見た。


「お前たちが……」


「はい!」


トーマが胸を張る。


キラは続けた。


「この三人、Eランク冒険者だけど――」


トーマが少し照れる。


「彼らは王城の警護をやってくれてたんだ」


「王城の警護を?」


レオンが驚く。


「うん」


キラは頷いた。


「アークが襲われた後も、逃げずにここに残ってくれた」


ミナが小さく笑う。


「私たちにできることは少ないけど……」


カイルが続ける。


「それでも、何もしないよりはいいと思ったから」


トーマも頷く。


「キラが戦ってるのに、俺たちだけ安全な場所にいるなんてできないだろ?」


キラは三人を見る。


「だから俺は、この三人を信用してる」


グランはしばらく黙っていた。


そして微笑んだ。


「……立派だな」


「え?」


トーマが驚く。


「強さだけが戦う理由ではない」


グランは三人に頭を下げた。


「王城を守ってくれて、ありがとう」


三人は慌てて頭を下げた。


「い、いえ!」


「こちらこそ!」



---



次にジュダがベルゼルを見る。


「では、次はこちらだな」


ベルゼルが一歩前へ出る。


「アーク王」


「……」


ジュダが紹介する。


「彼はベルゼル」


アーク王の表情が変わる。


「ベルゼル……?」


ジュダは続けた。


「私が魔王になる前の――」


「前魔王だ」


ベルゼル本人が答えた。


レオンが驚く。


「……前魔王?」


グランも言葉を失う。


「二人の魔王が……」


キラは苦笑する。


「まあ、そうなるな」


ジュダがベルゼルを見る。


「話せ」


「分かった」


ベルゼルはアーク王へ向き直った。



---




「私は、かつて魔王だった」


アーク王は黙って聞く。


「だが、魔境軍に敗れた」


ジュダは何も言わない。


「私は魔王の座を退き、その後、魔境軍へ入った」


ベルゼルの声は重かった。


「そして……魔境軍と共に、この王都を襲った」


「……」


アーク王の顔が曇る。


「アンデルフォンについても話しておこう」


ベルゼルは続けた。


「奴は魔境三大天の一人だ」


「……」


「そして、ルナを奪うためにこの王都を襲撃した」


「ルナ……」


アーク王が呟く。


「奴は冒険者ギルドを襲い、ギルドマスター、騎士団長、高ランク冒険者たちを倒した」


ベルゼルは拳を握る。


「そして、ルナを連れ去った」


キラの表情が険しくなる。


「……」


ベルゼルは続けた。


「私もまた、黒い魔力によって操られていた」


「黒い魔力……」


「その力によって意思を歪められ、魔境軍としてこの街を襲った」


そしてベルゼルはキラを見る。


「だが、キラに救われた」


キラは黙っている。


「キラの光――ルミナによって、私の中にあった黒い魔力は消えた」


ベルゼルはアーク王へ頭を下げた。


「だからこそ、今の私は自分が何をしたのか理解している」


「……」


「この街を襲ったこと」


「人々を傷つけたこと」


「多くのものを壊したこと」


ベルゼルは深く頭を下げた。


「……本当に、申し訳なかった」


広間は静まり返った。



---




しばらくして、アーク王が尋ねた。


「ベルゼル」


「はい」


「お前は……これからどうするつもりだ?」


ベルゼルは顔を上げる。


「……何も決めていません」


「行く当ては?」


「ありません」


ベルゼルは苦笑する。


「魔王だった私はもういない」


「魔境軍にも戻れない」


「魔人族の国へ戻る資格もないでしょう」


ジュダが黙ってベルゼルを見る。


アーク王はしばらく考えていた。


そして――


「ならば」


ベルゼルが顔を上げる。


「この国に残らないか?」


「……!」


「我が国を守るため」


アーク王は真っ直ぐベルゼルを見る。


「我が民を守るため」


そして――


「そして、世界を守るために」


ベルゼルは驚いた。


「私が……この国を?」


「そうだ」


「ですが私は……」


「過去に何をしたかは分かっている」


アーク王は静かに答える。


「だが、今のお前が何をするかも見たい」


「……」


その時、レオンが口を開いた。


「ベルゼル」


「……?」


「俺も賛成だ」


ベルゼルがレオンを見る。


「お前は強い」


レオンは笑う。


「その力を、今度は守るために使えばいい」


グランも続ける。


「私もそう思う」


「グラン……」


「過去を消すことはできない」


グランは静かに言う。


「だが、これからの行動を変えることはできる」


ベルゼルは三人を見る。


そして――


長い沈黙の後、ゆっくりと膝をついた。


「……分かりました」


頭を下げる。


「この国に残ります」


「!」


「私の力を、今度こそ……人々を守るために使います」


アーク王は頷いた。



---


新たな護衛騎士


「では――」


アーク王が立ち上がる。


「ベルゼル」


「はい」


「今日この時より、お前を――」


一拍。


「アーク王護衛騎士に任命する」


ベルゼルが目を見開く。


「……私を?」


「ああ」


「……ありがとうございます」


ベルゼルは深々と頭を下げた。


「この命、王と民のために使います」


そしてアーク王は、もう一人を見る。


「レオン」


「……俺?」


「あなたにも同じ称号を与えたい」


「アーク王護衛騎士……」


レオンは少し驚いた後、笑った。


「分かった」


こうして――


レオンとベルゼル。


かつて敵として戦った二人が、同じ国王を守る護衛騎士となった。



---


グラン・フォン・レイゼン


そして最後に、アーク王はグランを見る。


「グラン・フォン・レイゼン」


「はい」


「この国には、軍事だけではなく政治の力も必要だ」


グランは黙って聞いている。


「私はあなたに、この国の再建を託したい」


「……」


「アーク国宰相を任せたい」


グランは少し驚いた。


キラが笑う。


「父さん、頑張れよ」


「簡単に言うな」


グランは苦笑する。


だが――


すぐに表情を引き締めた。


「承知しました」


「!」


「アーク国宰相として、この国の復興に尽力いたします」


アーク王は頷いた。


「頼む」



---




こうして、アーク王国は新たな体制へと移り変わった。


国王アークを中心に、


グラン・フォン・レイゼン――アーク国宰相。


レオン――アーク王護衛騎士。


ベルゼル――アーク王護衛騎士。


そして人間と魔人族が協力し、王都の復興を進めていく。


崩れた建物を片付ける。


新しい家を建てる。


食料を運ぶ。


負傷者を治療する。


失われた街を、少しずつ取り戻していく。


キラたちもその作業を手伝った。


セリーナは治療に回り、エリスは遠くから周囲を警戒。


レティシアは瓦礫を運び、


「これくらいなら私に任せて!」


と張り切っていた。


ジュダも魔人族へ指示を出し、物資を運ばせる。


人間と魔人族。


かつて敵だった者たちが、同じ場所で復興作業をしている。


それは、これまで誰も想像できなかった光景だった。


キラはその光景を見ながら呟く。


「……これが本当の始まりなのかもな」



---



そして――


王都の復興がある程度進んだ頃。


キラたちは旅の準備を整えていた。


「準備できた?」


レティシアが尋ねる。


「うん」


エリスも弓を背負う。


セリーナは荷物を確認している。


ジュダは腕を組み、すでに準備万端だった。


キラは王都を振り返る。


「まずは中央の封印場へ向かう」


そこは――


かつてキラたちが訪れた場所。


そして、


剣聖アシュレイン。


大賢者リリー。


弓王リゼッタ。


三人の伝説の英雄たちと共に戦った場所だった。


キラは少しだけ目を伏せる。


三人はもういない。


だが――


彼らが残したものは、確かにここにある。


「天空の塔へ行くには、まずあそこを調べる」


エリスが静かに頷く。


「……うん」


リゼッタのことを思い出したのか、その表情は少し寂しそうだった。


レティシアがそんなエリスの肩を軽く叩く。


「行こう、エリス」


「……うん」


セリーナも頷く。


「ルナさんとリナさんを助けましょう」


ジュダは前を見る。


「そして、エリオスの目的を止める」


キラは剣に手を添えた。


「そうだ」


そして――


「行こう」


五人は王都を後にした。


目指すのは――


中央の封印場。


かつて三英雄と共に戦った、あの場所。


そこから天空の塔へ向かう。


天空の塔には――


世界の歴史がある。


魔境の真実。


黒神の真相。


ルナとリナの秘密。


そして――


エリオスが何をしようとしているのか。


全てを知るために。


キラたちは再び歩き始めた。


その背中を――


新たな王国を守る者たちが見送っていた。


「気をつけてな、キラ」


レオンが叫ぶ。


キラは振り返り、笑う。


「レオンもな!」


グランも手を上げる。


「必ず戻ってこい!」


「分かってる!」


ジュダが隣から言う。


「さあ、行くぞ」


「おう!」


こうして――


アーク王国は新たな時代へ。


そしてキラたちは――


世界の真実へ向けて、次なる旅へと踏み出した。


第202話 終

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