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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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201/279

200話 決着。


――王都アーク、北門。


戦場の中心。


ジュダとベルゼルは、互いに距離を取っていた。


二人とも――無傷ではない。


ジュダの頬には一筋の血。


左腕には大きな切り傷。


赤黒い髪も乱れ、服もところどころ破れている。


対するベルゼルも、鎧の一部が砕けていた。


肩から胸にかけて深い傷が走っている。


それでも――。


二人は笑っていた。


「……まだ立てるか?」


ベルゼルが大剣を構える。


「当然だ」


ジュダが魔槍ヴォルガを握り直す。


「貴様こそ、まだ戦えるのか?」


「もちろんだ」


ベルゼルが笑う。


「俺は――元魔王だからな」


「ふっ」


ジュダも笑う。


「ならば――」


「最後まで付き合ってもらおう!」


――ドォン!!


二人が同時に地面を蹴った。


一瞬で距離が消える。


ベルゼルの大剣が振り下ろされる。


「――おおおおおっ!!」


ジュダはヴォルガを横に構えた。


――ガァァァァン!!


大剣と魔剣が激突する。


凄まじい衝撃。


地面が陥没する。


ジュダの足元に亀裂が走る。


「ぐっ……!」


「押し切るぞ、ジュダ!」


ベルゼルがさらに力を込める。


ジュダの腕が震える。


「……誰が!」


ジュダが身体を捻る。


ヴォルガを滑らせるようにして大剣を受け流す。


そのままベルゼルの懐へ入り込む。


「そこだ!」


――ドゴォッ!!


ジュダの拳がベルゼルの腹部へ叩き込まれる。


「ぐおっ……!」


ベルゼルの身体が浮く。


だが――。


空中で体勢を立て直す。


「まだだ!」


ベルゼルが大剣を振る。


ジュダは身を低くして避ける。


頭上を大剣が通過する。


「甘い!」


ジュダがヴォルガを突き出す。


――ガキィン!!


ベルゼルは大剣の腹で受け止めた。


「なに!?」


「読んでいた!」


ベルゼルがジュダの剣を弾く。


そのまま大剣を振り上げる。


ジュダが目を見開く。


「――っ!」


――ズガァァァン!!


大剣がジュダを捉えた。


「ジュダ!!」


王城から見ていたレティシアが叫ぶ。


ジュダの身体が大きく吹き飛ぶ。


地面を何度も転がり――。


瓦礫へ激突する。


「ジュダ様!!」


魔人族兵士たちから悲鳴が上がる。


キラも一歩前へ出た。


「……!」


しかし――。


「……やるな」


瓦礫の中から声が聞こえた。


「ジュダ……!」


ジュダがゆっくりと立ち上がる。


口元から血が流れている。


「これは……」


ジュダが血を拭う。


そして――。


笑った。


「なかなか効いたぞ」


ベルゼルが目を細める。


「まだ笑うか」


「当たり前だ」


ジュダの赤い瞳が輝く。


「戦いとは、こうでなくてはな!」



---


ジュダの周囲に魔法陣がいくつも浮かび上がる。


「ならば――」


「魔法で終わらせる!」


「ヘル・ブラックフレイム!!」


――ゴォォォォォォ!!


漆黒の炎が巨大な渦となってベルゼルへ迫る。


ベルゼルは大剣を構える。


「――魔障壁!」


巨大な黒い障壁が展開される。


――ドォォォォォン!!


黒炎が障壁へ激突する。


大爆発。


煙が戦場を覆う。


「やったか!?」


トーマが叫ぶ。


だが――。


「まだだ!」


キラが答える。


煙の中から、ベルゼルが飛び出した。


「ジュダァァァッ!!」


「来い!」


ジュダもヴォルガを構える。


二人は再び激突した。


「はあああああっ!!」


「おおおおおおっ!!」


――ガァン!!


――ギィン!!


――ドォン!!


剣と大剣が何度もぶつかる。


ベルゼルの大剣がジュダの肩を掠める。


血が飛ぶ。


ジュダの剣がベルゼルの脇腹を切り裂く。


ベルゼルの鎧が砕ける。


「ぐっ……!」


「まだだ!」


ジュダが回転する。


ヴォルガが大きく弧を描く。


ベルゼルは大剣で防ぐ。


だが――。


ジュダはそれを予測していた。


「そこだ!」


剣を引く。


そして――。


至近距離から拳を叩き込む。


「ぐはっ!!」


ベルゼルの身体が吹き飛ぶ。


だがベルゼルも倒れない。


地面に大剣を突き立て、身体を止める。


「……はぁ……はぁ……」


息が荒い。


ジュダも肩で息をしている。


「……強いな」


ベルゼルが笑う。


「お前もな」


ジュダが答える。



---


そして――。


ベルゼルが最後の力を振り絞る。


「これで終わりだ!!」


巨大な魔力が大剣へ集まる。


「魔王剣――デモンズ・ブレイク!!」


大地を割るほどの斬撃が放たれる。


「――――!!」


キラが目を見開く。


「ジュダ!」


ジュダは避けなかった。


「…………」


ヴォルガを両手で握る。


そして――。


「我も――」


白いルミナが黒い魔力へ混ざる。


「終わらせる!」


「魔剣ヴォルガ――黒白穿撃!!」


ジュダが真正面から突っ込む。


黒と白。


闇と光。


二つの力がぶつかる。


――――ズガァァァァァァァァン!!


凄まじい爆発。


地面が大きくえぐれる。


衝撃波が北門を越え、王城の近くまで届く。


「うわあああああ!!」


トーマたちが吹き飛ばされそうになる。


キラが咄嗟に魔力障壁を張る。


「全員、下がれ!!」


爆風が収まっていく。


砂煙。


瓦礫。


静寂。


「…………」


誰も動けない。


そして――。


砂煙の向こうから、一人の影が見えた。


「……ジュダ?」


レティシアが呟く。


ジュダだった。


だが――。


かなりの傷を負っている。


右肩から血が流れている。


左腕も傷だらけ。


脚にも深い傷。


息も荒い。


それでも――。


立っている。


そして、その少し先には――。


「…………」


ベルゼルが片膝をついていた。


大剣を地面に突き立て、身体を支えている。


「……俺の負けだ」


ベルゼルが呟いた。


ジュダは黙ってベルゼルを見る。


「…………」


ベルゼルはゆっくりと顔を上げた。


「認める」


「お前の勝ちだ」


ジュダはヴォルガを下ろした。


「そうか」


「……ああ」


ベルゼルは大剣から手を離す。


「だから――」


「俺に拘束封印魔法をかけろ」


ジュダが少し驚く。


「自ら望むのか?」


「俺は今、魔境軍の将軍だ」


ベルゼルは自嘲するように笑う。


「このまま放っておけば、また誰かを傷つけるかもしれない」


「ならば――」


「拘束してくれ」


ジュダはしばらくベルゼルを見る。


そして――。


「分かった」


ジュダが手を伸ばす。


足元に巨大な魔法陣が出現する。


「魔王封印術――ヴォイド・チェイン」


黒い鎖が魔法陣から現れる。


それがベルゼルの両腕、両脚、身体へ絡みつく。


「ぐっ……!」


鎖には白い光が混ざっている。


キラのルミナによって、黒い魔力による抵抗も抑え込まれていく。


ベルゼルは完全に拘束された。


ジュダはヴォルガを消す。


「キラのところへ連れていく」


「……分かった」



---


しばらくして。


王城。


キラたちは、拘束されたベルゼルと対面していた。


「…………」


キラはベルゼルを見る。


元魔王。


そして魔境将軍。


これほどの強者が、目の前にいる。


ベルゼルはキラを見返した。


「お前が……キラか」


「ああ」


「ジュダが守ろうとしていた人間だな」


「……まあ」


キラは少し困ったように答える。


その横でジュダが顔を赤くする。


「余計なことを言うな!」


「事実だろう?」


「黙れ!」


レティシアが小さく笑う。


「やっぱりジュダ、キラのことになると……」


「うるさい!」


そんなやり取りを見ていたベルゼルは、少しだけ目を細めた。


「……そうか」


「?」


「悪くない仲間を持ったな、ジュダ」


「……ふん」


ジュダは顔を背ける。


キラはベルゼルの前へ歩み寄った。


「ベルゼル」


「ああ」


「俺のルミナをかける」


「……頼む」


キラが手を伸ばす。


「――ルミナ」


白い光がベルゼルの身体を包む。


「…………!」


ベルゼルの身体から黒い魔力が噴き出す。


「ぐっ……!」


「ベルゼル!」


「大丈夫だ!」


ベルゼルが叫ぶ。


「続けろ!」


キラはさらにルミナを流し込む。


黒い魔力が少しずつ剥がれていく。


ベルゼルの瞳から、濁った赤い光が消えていく。


そして――。


「…………」


静かになった。


ベルゼルはしばらく俯いていた。


やがて顔を上げる。


その表情は――。


先ほどまでとは違っていた。


「…………俺は」


ベルゼルが自分の手を見る。


「何をしていた……?」


キラは黙って聞く。


ベルゼルは頭を押さえる。


「記憶が……」


「途切れている」


「魔境にいたことは覚えている」


「だが……」


ベルゼルは苦しそうに目を閉じる。


「俺は……魔境軍を率いて……」


「人間族を……」


「…………」


拳を握る。


「そうか……」


「俺は……」


「操られていたのか」


キラが尋ねる。


「何か覚えているか?」


ベルゼルはしばらく考える。


「……黒い魔力だ」


「黒い魔力?」


「ああ」


「俺が魔王の座を降りてから……しばらくしてだ」


ベルゼルはゆっくり話し始める。


「ある日、魔境の奥で……奇妙な黒い魔力を感じた」


「そして――」


「誰かの声を聞いた」


「どんな声だ?」


ベルゼルは眉を寄せる。


「……男の声だった」


「低い声で……」


「俺に力を与えると言った」


キラの表情が変わる。


「そして?」


「その後の記憶が……おかしい」


「気づいた時には、俺は魔境軍の将軍になっていた」


「そして……」


ベルゼルは自分の手を見つめる。


「命令されるまま、人間族を襲っていた」


「…………」


「ジュダと戦っている間も――」


「頭の奥で、ずっと声がしていた」


キラが聞く。


「何と言っていた?」


ベルゼルは目を閉じる。


そして――。


震える声で答えた。


「ルナを奪え」


「…………!」


キラたち全員が息を呑んだ。


ジュダも表情を変える。


「ルナ……」


ベルゼルは続ける。


「その名前を……」


「何度も聞いた」


「そして……」


「アークへ向かえ、と」


キラの拳が強く握られる。


「……やっぱり」


ベルゼルはキラを見る。


「キラ」


「ああ」


「お前は……」


「ルナを探しているのだな?」


「……そうだ」


ベルゼルは静かに頷いた。


「ならば……」


「俺が知っていることを全て話そう」


元魔王ベルゼル。


彼が語り始めた情報は――。


エリオスと黒い魔力。


そして連れ去られたルナへと繋がる、重要な手掛かりとなるのだった。


第198話 終

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