↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
189/279

188話 次世代



一年ぶりに王都アークへ戻ってきたキラたち。


久しぶりの王都は、以前と変わらないように見えた。


大通りには商人たちが行き交い、冒険者たちがギルドへ向かい、子供たちが走り回っている。


「……懐かしいな」


キラが街を見渡す。


「一年しか経ってないのに、ずいぶん久しぶりに感じるね!」


レティシアが楽しそうに言う。


「久しぶりですからね」


エリスも笑う。


「私は王都のお店を回りたいです……あと、ご飯も……」


セリーナが小さく手を挙げた。


「帰ってきて早々それかよ」


キラが苦笑する。


「だって旅の間、あまり美味しいもの食べられなかったでしゅ」


「結構食べてただろ」


「でも王都の料理は別腹です!」


「別腹ってそういう意味じゃないからな」


レティシアが笑い出す。


「相変わらずだよね、セリーナは!」


そんな穏やかな会話をしながら、四人は王都の街を歩いていた。


すると――


一人の王城から来た兵士が、キラたちの前に現れた。


「キラ様!」


「ん?」


「国王アーク様がお呼びです」


「国王が?」


キラは少し驚いた。


「はい。戻られたことはすでに報告されております。すぐに面会をお願いしたいとのことです」


「分かった」


キラは頷いた。


「じゃあ、行こう」


レティシアたちも後に続く。



---


王城。


久しぶりに入る王城は、以前と変わらず巨大だった。


長い廊下を歩き、いくつもの扉を抜ける。


やがて兵士が立ち止まった。


「こちらが面会室です」


「ありがとう」


扉が開かれる。


キラたちが中へ入った。


そこには――


国王アーク3世。


そして、


「……レオン?」


キラが目を丸くする。


レオンがいた。


さらに――


「父さんもいるのか」


グラン・フォン・レイゼンもそこにいた。


「久しぶりだな、キラ」


「うん」


キラは父に近づく。


「一年ぶりだな」


「ああ。ずいぶん成長したようだ」


「まあ、それなりにね」


レティシアはレオンを見る。


「レオンも久しぶり!」


「ああ、レティシア」


「私、ドーラで修行してきたんだよ!」


「話は聞いている」


レオンは少し笑った。


「かなり強くなったそうだな」


「そうそう!」


レティシアは嬉しそうに二本の剣を見せる。


「剣神から免許皆伝ももらったんだから!」


「……剣神から?」


レオンが少し驚く。


「後でゆっくり聞かせてもらおう」


「うん!」


そんなやり取りのあと――


四人は国王の前に並んだ。


「久しぶりだな、キラ」


アーク3世が声をかける。


「はい。お久しぶりです」


キラが答える。


「エリスも、セリーナも」


「お久しぶりです」


「お久しぶりでしゅ!」


「レティシアは……また雰囲気が変わったな」


「修行してきたからね!」


レティシアが胸を張る。


アーク3世は少しだけ笑った。


だが――


すぐに表情が変わった。


「……さて」


空気が変わる。


キラもそれを感じ取った。


「今日は、お前たちに話しておかなければならないことがある」


「何ですか?」


キラが尋ねる。


アーク3世は一度、レオンを見る。


レオンは静かに頷いた。


そして――


国王が口を開いた。


「まず……お前たちが王都を離れている間に起きたことを話そう」


「はい」


キラは何も知らない。


王都で何が起きていたのか。


三大英雄がどうしていたのか。


どんな戦いがあったのか。


キラは、何一つ知らなかった。



---


「……剣聖アシュレインについてだ」


「アシュレイン?」


キラが首を傾げる。


「はい」


「敗北して、戻ってきたのでは?そう思っていましたが」


その言葉に、部屋の空気が一瞬止まった。


レティシアもキラを見る。


エリスも不思議そうにしている。


キラには、本当に何も分かっていなかった。


アーク3世はゆっくりと言葉を続ける。


「実は……アシュレインは少し前に、魔境国デダルクで消息を絶った」


「……消息を?」


「そうだ」


キラの表情が変わる。


「どうして?」


「魔境側に捕らえられていたことが判明した」


「……!」


キラが立ち上がりかける。


「捕まってたのか?」


「そうだ」


「いつ?」


「お前たちがシルオットへ向かっていた頃だ」


キラは言葉を失った。


そんなことは知らなかった。


自分たちがシルオットで戦っている間。


その裏側で――


アシュレインが捕らえられていた。


「それで……?」


キラが尋ねる。


「救出作戦が行われた」


「救出……作戦?」


キラは初めて聞いた言葉だった。


「誰が行ったんですか?」


「アークからは、弓王リゼッタ、大賢者リリー、そしてレオン」


キラがレオンを見る。


「……レオン」


レオンは何も言わず、頷いた。


「さらにオギデストラからアニー、マニルからゴルドンたちが参加した」


「そんな……」


キラは驚きを隠せなかった。


「俺たちが知らないところで、そんな作戦が……」


「お前たちには伝えなかった」


アーク3世が言う。


「お前たちは別の場所で黒い魔力と戦っていたからな」


キラは拳を握る。


「それで……アシュレインは?」


沈黙。


誰も答えない。


「……?」


キラは国王を見る。


「国王?」


アーク3世は目を伏せた。


そして――


静かに告げた。


「アシュレインは……救出作戦で命を落とした」


「…………」


キラの目が見開かれる。


「……え?」


聞き間違いだと思った。


「もう一度……言って」


「剣聖アシュレインは死亡した」


「……」


キラは言葉を失った。


アシュレイン。


何度も共に戦った男。


世界最強クラスの剣士。


自分たちが憧れた英雄。


そのアシュレインが――


死んだ。


「……そんな」


レティシアも顔を強張らせる。


「嘘……でしょ……?」


アーク3世は続ける。


「そして……」


キラは顔を上げる。


「大賢者リリーも」


「……!」


「弓王リゼッタも……」


「…………!」


その瞬間――


エリスの身体が固まった。


「……リゼッタ様?」


声が震えていた。


「リゼッタ様が……?」


誰も答えない。


「……」


エリスの瞳が揺れる。


「そんな……」


リゼッタ。


エリスがずっと追いかけてきた存在。


弓を教えてくれた師。


憧れ続けた弓王。


「……死んだ?」


エリスの声が小さく震える。


キラは何も言えなかった。


レティシアは唇をかみしめたまま黙っている。


キラもアシュレインに剣技を、リリーに魔法を教わっていた。




自分自身も、まだ理解できていない。


三大英雄が――


全員、死んだ。



---


「俺たちは……何も知らなかった」


キラが呟く。


「そうだ」


アーク3世が答える。


「お前たちには知らせていなかった」


「どうして?」


「戦いの最中だったからだ」


国王はキラを見る。


「お前たちはシルオットで戦っていた。そこで余計な情報を与えれば、判断を鈍らせる可能性があった」


「……」


「そして……お前たちが王都へ戻ってきた今、伝えるべきだと判断した」


キラは俯いた。


「……そうだったのか」


レオンが口を開く。


「キラ」


「……何?」


「俺たちは全力で戦った」


「……」


「アシュレインも、リリーも、リゼッタも……最後まで戦った」


レオンの声は静かだった。


「だが、黒い魔力への対抗手段がなかった」


キラは拳を強く握った。


「……黒い魔力」


まただ。


どこへ行っても現れる。


エルディア。


オギデストラ。


マニル。


シルオット。


そして――魔境。


黒い魔力は確実に世界へ広がっている。


「俺たちが戦ってきたものと……同じなのか?」


「おそらくな」


レオンが答える。


「だからこそ、これからが重要になる」


キラは顔を上げる。


アーク3世が立ち上がった。


「キラ」


「……はい」


「これまで、この世界は三人の英雄に支えられていた」


剣聖。


大賢者。


弓王。


「だが、もう三人はいない」


重い言葉だった。


「だからこそ――」


アーク3世はキラたちを見る。


「これからは、お前たちが世界を守るのだ」


「……俺たちが?」


「ああ」


「俺たちは……まだ三大英雄のようには……」


キラが言いかける。


だが、国王は首を横に振った。


「違う」


「……?」


「私は、お前たちが三大英雄の代わりになれと言っているのではない」


キラは黙って国王を見る。


「アシュレインたちの真似をする必要はない」


「……」


「お前たちは、お前たちのやり方で強くなればいい」


アーク3世の視線がレティシアへ移る。


「レティシア。お前は剣神から免許皆伝を受けたそうだな」


「うん!」


「エリス」


「……はい」


「お前は弓王リゼッタから受け継いだものがある」


エリスは目を伏せる。


「……はい」


「セリーナ」


「はい……!」


「お前には聖女としての力がある」


そして最後に――


キラを見る。


「そしてキラ」


「……」


「お前には、黒い魔力に対抗できる力がある」


ルミナ。


浄化。


そして、これまでの戦い。


キラは黙っていた。


「三大英雄は、この世界を守ってきた」


国王は続ける。


「だが、その時代は終わった」


静かな声。


「これからは――」


レティシアが一歩前に出る。


「私たちの時代ってこと?」


アーク3世は頷いた。


「そうだ」


キラは仲間を見る。


レティシア。


エリス。


セリーナ。


そして――


自分。


「……分かった」


キラが答える。


「まだ、何ができるのか全部は分からない」


「……」


「でも」


キラは剣の柄に手を置いた。


「俺たちができることなら、やる」


レティシアも笑った。


「当然!」


エリスは涙を拭う。


「……リゼッタ様が守ってきたものを、私も守りたい」


セリーナも頷く。


「私も……みんなを守れる聖女になります」


アーク3世は四人を見つめる。


そして――


「頼んだぞ」


キラは頷いた。


「ああ」


この日。


キラたちは初めて知った。


自分たちが知らないところで――


世界を守ってきた三人の英雄が、すでにこの世を去っていたことを。


そして今。


その意志を受け継ぐ者として――


キラたちの前に、新たな時代が始まろうとしていた。


第188話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。