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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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188/282

188話 仮面の剣士



一年ぶりだった。


キラたちは、長い旅を終えて王都アークへと戻ってきた。


巨大な城壁。


行き交う冒険者たち。


商人たちの声。


そして、見慣れた王都の街並み。


「……戻ってきたな」


キラが小さく呟く。


「一年ぶりかぁ。なんだか懐かしいね」


エリスも周囲を見回す。


「私は……お腹すきました」


セリーナがいつもの調子で言った。


「戻ってきて最初の感想がそれかよ……」


キラが苦笑する。


「だって朝から何も食べてないでしゅ」


「朝飯、食っただろ」


「……あれは朝ごはんです」


「今も朝だろ」


「では二回目の朝ごはんです」


「そんな制度ないからな?」


エリスがくすっと笑う。


「セリーナらしいね」


そんなやり取りをしながら、三人は冒険者ギルドへ向かった。


そして――


「ルナに会いに行こう」


キラがそう言うと、三人はギルドの奥へと進んでいった。



---


ギルドの奥にある居住区。


そこには、以前と変わらない少女がいた。


「……ルナ」


キラが声をかける。


少女が振り返る。


銀色の髪。


穏やかな表情。


そして――


「…………!」


ルナの目が大きく開いた。


「キラ……!」


次の瞬間。


ルナは嬉しそうに駆け寄ってきた。


「帰ってきた……!」


「ただいま、ルナ」


キラが笑う。


ルナはキラだけではなく、エリスとセリーナにも近づいていく。


「エリス……セリーナ……!」


「久しぶり、ルナ」


エリスが笑顔で答える。


「お久しぶりです!」


セリーナも嬉しそうに頭を下げる。


三人との再会を喜ぶルナ。


しかし――


キラはふと、ルナの服装に目をやった。


「……なあ」


「?」


「なんでメイド服なんだ?」


ルナは自分の服を見下ろす。


白と黒を基調とした、立派なメイド服。


「ギルドのみんなが着てみたらって」


「似合ってるけど……」


「うん。似合ってるね」


エリスも頷く。


「かわいいです!」


セリーナも絶賛する。


ルナは少し照れたように笑った。


「みんな優しくしてくれるから……毎日楽しい」


「そうか」


キラは安心した。


長い間、気になっていた。


ルナが無事に過ごしているのか。


何か辛いことが起きていないか。


それが確認できただけでも、王都へ戻ってきた意味はあった。


――その時だった。


「キラさん!」


ギルド職員が慌てた様子で駆けてくる。


「緊急討伐依頼です!」


「討伐?」


「はい!」


職員が依頼書を差し出す。


キラは受け取った。


そして――


眉をひそめる。


「……なんだこれ?」


依頼書には、たった一言。


討伐


それしか書かれていなかった。


対象。


場所。


危険度。


討伐理由。


何も書かれていない。


「これだけ?」


「はい……」


「依頼主は?」


「不明です」


「不明って……」


エリスも依頼書を覗き込む。


「普通の討伐依頼じゃないね」


セリーナも首を傾げる。


「なんだか怖いでしゅ……」


キラは依頼書を見つめる。


不自然だった。


あまりにも情報がない。


それなのに――


なぜかギルドは、この依頼を緊急案件として扱っている。


「……受ける」


キラが言った。


「キラ?」


「気になる」


キラは依頼書を握る。


「行ってみよう」



---


王都アークからほど近い草原。


風が静かに吹いていた。


キラは一人、草原の中央に立っている。


少し離れた場所にはエリスとセリーナ。


「本当に一人でいいの?」


エリスが尋ねる。


「うん」


キラは剣に手を添える。


「俺一人でやらせてくれ」


「分かった」


エリスは弓を下ろす。


セリーナも静かに頷いた。


その直後だった。


――ズン。


空気が変わった。


キラの背後から、誰かが歩いてくる。


一歩。


また一歩。


草を踏む音だけが響く。


そして――


現れた。


仮面をつけた人物。


全身を戦闘用の装備で固めている。


顔は見えない。


だが――


「……なんだ、この覇気」


キラの表情が変わる。


凄まじい。


ただ立っているだけなのに、空気が重い。


まるで大地そのものが押し潰されているようだった。


仮面の人物は何も言わない。


ただ――


腰の剣を抜いた。


キィン――。


澄んだ金属音。


キラも剣を抜く。


「……来い」


互いに構える。


そして――


次の瞬間。


二人の姿が消えた。


「――ッ!」


ガキィィィン!!


剣と剣が激突する。


「速い!」


キラが踏み込む。


右。


左。


斜め。


連続して剣を振る。


だが――


すべて受け流される。


「……!」


キラが目を見開く。


相手の剣は派手ではなかった。


魔法も使わない。


特殊な技を見せるわけでもない。


ただ――


純粋に剣が強い。


一撃一撃が正確だった。


最小限の動き。


無駄のない足運び。


キラの攻撃を受け、流し、そして返す。


「くっ!」


ガキン!


キラの剣が弾かれる。


その瞬間――


仮面の剣士が踏み込んだ。


「――!」


キラは身体を捻る。


剣が頬を掠める。


紙一重。


「危な……!」


さらに二撃。


三撃。


四撃。


キラは後退する。


「キラ!」


エリスが思わず声を上げる。


セリーナも心配そうに見つめる。


「押されてる……?」


「うん」


エリスは驚いていた。


キラがここまで純粋な剣技で押される。


それほどまでに――


相手は強かった。


キラは歯を食いしばる。


「……なるほど」


剣を握り直す。


「そういうことか」


キラの目が鋭くなる。


相手の剣を見る。


足を見る。


肩。


呼吸。


視線。


そして――


「なら……!」


キラは一気に踏み込んだ。


ガキィン!!


剣がぶつかる。


キラは弾かれない。


そのまま身体を回転させ――


斬る!


仮面の剣士が受ける。


さらに斬る。


受ける。


横薙ぎ。


受ける。


突き。


かわされる。


「まだだ!」


キラが踏み込み――


剣を振り抜く。


仮面の剣士が大きく後退した。


「……!」


初めて距離が開いた。


キラは追う。


一歩。


二歩。


三歩。


そして――


「これで……!」


キラが最後の一撃を放つ。


完全に仕留めるための一撃。


剣が相手へ迫る。


その瞬間――


ガキィィィン!!


「なっ……!」


仮面の剣士は――


もう一本の剣を抜いていた。


二本目の剣で、キラの一撃を受け止める。


「二刀流……!」


キラが驚く。


そして――


仮面の人物が、少しだけ距離を取った。


キラも剣を構えたまま動かない。


静寂。


風が吹く。


仮面の人物が――


ゆっくりと手を上げた。


そして仮面に手をかける。


カチャ。


仮面が外れる。


その顔を見た瞬間。


キラの目が大きく見開かれた。


「…………え?」


懐かしい声が響く。


「キラ!」


その声。


その笑顔。


そして――


見慣れた顔。


キラの仲間。


半年以上、ドーラで修行を続けていた女性。


二本の剣を手にした――


レティシアだった。


「……レティシア?」


キラは呆然と呟く。


レティシアは満面の笑みを浮かべる。


「久しぶり、キラ!」


「お前……!」


キラは剣を下ろす。


エリスも驚いた顔をしていた。


「レティシア……!」


セリーナは目を輝かせる。


「帰ってきたんですね!」


レティシアは二本の剣を鞘へ収める。


そして――


「ただいま!」


王都アークに――


新たな力を得たレティシアが帰ってきた。


第188話 終

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