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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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181話 聖なる砲撃



「ライトニングブラストーーー!!!!」


ドォォォォォォォォォォォォン!!!!


聖教都市シルオットを覆うほどの巨大な光。


セリーナが放った聖なる砲撃は、40メートルにも及ぶ魔境獣を真正面から飲み込んでいた。


「グォォォォォォォォォォ!!」


魔境獣の咆哮が響き渡る。


大地が震える。


崩れかけた建物がさらに揺れ、瓦礫が次々と地面へ落ちていく。


「うわぁぁぁ……!」


キラは思わず腕で顔を覆った。


「すごい……!」


目の前が真っ白になるほどの光。


セリーナの身体から放たれる聖なる力は、まるで巨大な柱となって魔境獣へ突き刺さっていた。


その時――。


「……なんですか? この光……」


少し離れた場所から声がした。


「――!」


キラが振り返る。


そこには――。


「……エリス!」


ボロボロになったエリスが立っていた。


服はところどころ破れ、身体には傷。


髪も乱れている。


そして、足取りもかなりふらついていた。


それでも――。


エリスはちゃんと立っていた。


「エリス!?」


キラが駆け寄る。


「無事だったか!」


「……はい」


エリスは小さく頷く。


「なんとか……」


「よかった……!」


キラは心から安堵した。


「本当に心配したんだからな!」


「ふふ……すみません」


エリスは少しだけ笑う。


「でも、キラさんも無事でよかったです」


「ああ!」


キラは笑った。


だが――。


その直後。


「……!」


キラの表情が変わる。


視線を魔境獣へ戻した。


「……あいつを止めないといけない」


エリスも巨大な魔境獣を見る。


そして――。


「…………」


その光景に目を見開いた。


「……え?」


エリスは口元を手で押さえる。


「これ……セリーナさんが……?」


目の前で繰り広げられているのは、想像を遥かに超える光景だった。


聖なる光が、巨大な魔境獣を包み込んでいる。


エリスは呆然とする。


「すごい……」


「俺も驚いてる」


キラも同じように光を見つめる。


「まさかセリーナが、こんな魔法を使えるなんて……」


二人が見つめる中――。


やがて。


光の砲撃が、少しずつ弱まっていく。


「……!」


セリーナの腕が震える。


「はぁ……はぁ……!」


必死に魔法を維持していたセリーナだったが――。


ついに。


シュゥゥゥ……。


巨大な光が消えた。


「…………」


静寂。


キラは目を凝らす。


「……どうだ?」


砂埃が舞う。


光の残滓が空へ消えていく。


そして――。


「……!」


魔境獣が立っていた。


「グルルルル……」


全身には大きな傷。


ところどころ焼け焦げている。


だが――。


倒れてはいない。


「……嘘だろ」


キラが呟く。


魔境獣がゆっくりと顔を上げる。


そして――。


こちらを睨みつけた。


「グォォォォォォォォ!!」


凄まじい咆哮。


キラたちは身構える。


「まだ……動けるのか」


エリスが弓を握る。


だが――。


「すごい! すごい! やったー!!」


その横で、セリーナが両手を上げていた。


「わーい!」


「…………」


キラとエリスが同時にセリーナを見る。


「セリーナ!」


「はい?」


「まだ終わってない!」


「…………」


セリーナが魔境獣を見る。


「……あ」


魔境獣がこちらを睨んでいる。


「……まだ元気ですね」


「元気っていうレベルじゃない!」


キラが叫ぶ。


セリーナは慌てて頭を下げた。


「ご、ごめんなさい!」


そしてすぐに両手を構える。


「もう一度やります!」


「頼む!」


セリーナの前に、再び聖なる光が集まり始める。


しかし――。


エリスが前へ出た。


「キラさん」


「ん?」


「私も時間を稼ぎます」


エリスは弓を構える。


「まだ魔力がほとんど戻っていません」


「エリス……」


「でも」


エリスは魔境獣を見る。


「少しくらいなら、できます」


キラは一瞬だけエリスを見る。


ボロボロだ。


魔力もほとんどない。


それでも――。


「……分かった」


キラは頷いた。


「頼む」


「はい!」


エリスが走り出す。


「こっちです!」


「グォォォォォ!!」


魔境獣が腕を振り下ろす。


ズドォォォン!!


エリスは紙一重で避ける。


「――っ!」


地面が大きく陥没する。


「危ない……!」


エリスは転がりながら距離を取る。


そして弓を引く。


「まだ……!」


残された魔力を矢へ集める。


「アルテミス・レイン!」


無数の矢が放たれる。


ドドドドドドッ!!


魔境獣の身体へ次々と突き刺さる。


「グォォォォ!」


魔境獣がエリスを見る。


「こっちですよ!」


エリスは走る。


また攻撃を避ける。


巨大な腕。


爪。


尻尾。


すべてが致命傷になりかねない。


それでもエリスは必死に時間を稼ぐ。


「はぁ……はぁ……!」


身体は限界。


魔力も限界。


それでも――。


「セリーナさん……!」


エリスが振り返る。


セリーナは両手を構え、魔法を作り上げている。


「もう少し……!」


「はい!」


その時。


キラはセリーナの横へ移動した。


「セリーナ」


「はい?」


キラは手を差し出した。


「これを……」


手のひらに、白く輝く光が生まれる。


「……?」


それは――。


ルミナ。


キラが生み出した、特別な光の力。


「これを君に付与する」


「え?」


キラの光がセリーナの身体へ入っていく。


シュゥゥゥ……。


セリーナの周囲に、白い光がまとわりつく。


「……温かい」


セリーナが呟く。


「俺のルミナを、セリーナの魔法に合わせる」


キラは魔境獣を見る。


「たぶん……これなら」


そしてセリーナを見る。


「あとは――」


キラは笑った。


「セリーナ。君が終わらせてくれ」


「…………」


セリーナは目を丸くした。


そして――。


「分かりました!」


力強く頷いた。


「私が……終わらせます!」


エリスも魔境獣を引きつけながら叫ぶ。


「セリーナさん! 今です!」


「はい!」


セリーナは再び両手をおでこの前へ。


人差し指と中指でダイヤの形を作る。


「我に宿りし――」


聖なる光が集まる。


キラのルミナが混ざる。


聖なる白い光に、さらに純粋な輝きが加わっていく。


「聖なる力よ!」


魔境獣がエリスを振り払う。


「きゃっ!」


エリスが地面を転がる。


魔境獣がセリーナを見る。


「グォォォォォ!!」


「……!」


セリーナは怯えない。


キラを見る。


エリスを見る。


そして――。


魔境獣を真っ直ぐ見つめた。


「守りの刃になりて――」


光が一点へ集まる。


「敵を全滅せよ!」


セリーナが叫ぶ。


「ライトニングぅぅぅぅ――!!」


魔境獣が突進する。


「ブラストぉー!!!!」


「ルミナス!!!」


その瞬間。


――光が消えた。


いや。


正確には――。


あまりにも細くなった。


「……?」


キラが目を凝らす。


魔境獣の身体。


その中心を――。


一本の糸のように細い光が貫いていた。


「…………」


魔境獣が止まる。


「グ……」


次の瞬間。


ズシュッ!!


一本。


さらに――。


ズシュッ!


ズシュッ!


ズシュッ!


四方八方から、糸のように細い光が降り注いだ。


「な……!」


キラが目を見開く。


空から。


横から。


斜めから。


地面から。


ありとあらゆる方向から、無数の光が魔境獣を貫いていく。


「グォ……」


魔境獣の身体に無数の光の線が走る。


「グォォォォォォォォォォ!!」


そして――。


ドォォォォォォォォォォン!!


凄まじい爆発が起こった。


光と爆炎が一気に膨れ上がる。


「うわぁぁぁ!!」


キラが腕で顔を覆う。


エリスも身を伏せる。


セリーナは必死に魔法を維持する。


「――――っ!!」


爆発はさらに大きくなる。


魔境獣の巨体が、光の中へ消えていく。


「グ……ォ……」


巨大な身体が崩れる。


40メートルにも及んだ魔境獣が――。


光の中で、少しずつ消滅していく。


やがて――。


パァァァァァァン!!


最後の光が弾けた。


「…………」


静寂。


風が吹く。


砂埃がゆっくりと晴れていく。


そこに――。


魔境獣の姿はなかった。


「…………」


キラは呆然と立っている。


エリスも同じだった。


セリーナも――。


「…………」


しばらく誰も動かなかった。


そして。


「……終わった?」


セリーナが小さく呟いた。


キラが魔境獣のいた場所を見る。


何もない。


本当に消えている。


「……終わった」


エリスが呟く。


「……みたいですね」


キラの足から力が抜ける。


「……はぁ」


その場に座り込む。


「疲れた……」


エリスもその場に腰を下ろす。


「私も……もう動けません」


セリーナもペタンと座り込む。


「私もです……」


三人は並んで地面に座った。


しばらくの間――。


誰も何も言わなかった。


ただ、空を見上げる。


さっきまで魔境獣が暴れ回っていたとは思えないほど、静かだった。


キラは隣を見る。


エリス。


無事だった。


そして――。


セリーナ。


ずっと探していた仲間も、ちゃんと生きていた。


「…………」


キラは大きく息を吐いた。


そして――。


「終わったー……」


力の抜けた声で呟いた。


エリスが小さく笑う。


「……はい」


セリーナも笑顔になる。


「終わりましたね!」


三人はその場に座り込んだまま――。


ようやく、長い戦いの終わりを実感していた。


第179話 終

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