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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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176話 レベルリセット+2



崩壊した大聖堂を後にしたキラたちは、司祭から聞いた情報を頼りに、北へ向かっていた。


目的地は――聖教堂。


そこに、聖教ボギーがいる。


「……静かですね」


エリスが周囲を見渡す。


「聖騎士団も魔法星団も追ってきません」


「司祭がうまく引き留めてくれてるんだろうな」


キラも後ろを振り返る。


本来なら、今頃は大勢の追手が迫っていてもおかしくない。


しかし、そんな気配はない。


「司祭さん……無事だといいですね」


「大丈夫だろ。あの人は自分で残るって決めたんだ」


「そうですね」


二人はそのまま北へ進んだ。


だが、しばらく歩いたところで――。


「ちょっと休もう」


「賛成です」


二人は崩れた建物の中へ入り、瓦礫の少ない場所を見つけて腰を下ろした。


エリスは壁に背を預ける。


「ふぅ……」


キラもその隣に座った。


「さすがに疲れたな」


「サイクロプスも強かったですからね」


「お前も大勢相手にしてたじゃないか」


「えへへ……」


エリスは少し照れたように笑う。


「でも、レティシアさんがいたらもっと楽だったでしょうね」


「……そうだな」


キラは空を見上げる。


「今頃、何してるかな」


「きっと修行ですよ」


「だろうな」


キラは苦笑した。


その時だった。


ふと――。


何気なく自分のステータスを確認する。


「……ん?」


キラの目が止まった。


「どうしたんですか?」


「いや……」


表示された文字を見つめる。


そこには――。


キラ


レベル94


限界値


「……レベル94?」


キラが呟いた。


「そういえば……」


しばらく考える。


そして、修行時代の記憶が蘇った。


「修行してる時に……」


キラは額に手を当てた。


「『レベルを見るな』って言われてたんだった」


「え?」


「それで、そこから一度も見てなかった」


エリスが首を傾げる。


「でも、どうして急に?」


「分からない」


キラはステータスをじっと見る。


そして――。


「……試してみるか」


「キラさん?」


キラは立ち上がった。


胸の奥に、以前とは違う感覚がある。


「二度目のレベルリセットだ」


「えっ!?」


エリスが驚く。


「また……ですか?」


「ああ」


キラは拳を握る。


「俺の中に、まだ何かある気がする」


そして――。


ステータス画面に触れた。


瞬間。


世界が止まったような感覚がした。


――ピシッ。


何かが砕ける。


次の瞬間。


膨大な力がキラの身体を駆け巡った。


「――ッ!」


キラは目を見開く。


そして、表示が切り替わった。





レベルが1になりました。


レベルリセット+2効果


・魔法効果倍化

・魔法攻撃倍化

・剣装備中――攻撃・防御・速さ+100



---


「……なんだ、これ」


キラは言葉を失う。


さらに――。


新たな魔法が表示された。


魔法


グラビティ


→重力魔法


「重力……?」


キラが手をかざす。


まだ発動はしていない。


だが、魔法の構造だけで分かる。


これは今まで使ってきた属性魔法とは明らかに違う。


さらに下を見る。


スキル


大賢者


→常時、魔法使用時の効果1.5倍


「大賢者……」


そして――。


もう一つ。


剣術スキル進化


大剣士


「……剣士が、大剣士に……」


キラは呆然とする。


だが、まだ終わらない。


次の瞬間。


大賢者


 +


大剣士


二つのスキルが重なった。


そして――。


一つのスキルへと変化する。



---


魔法剣術



---


「……!」


キラの目が大きく見開かれた。


「魔法……剣術……」


これまで自分が磨いてきたもの。


剣。


魔法。


その二つを同時に使う戦い方。


それが、スキルとして一つに統合された。


「俺の……戦い方そのものが……」


キラは自分の手を見る。


身体の中を巡る魔力。


剣を握った時に感じる力。


すべてが以前とは違う。


圧倒的だった。


「……強い」


思わず声が漏れる。


「今までの俺とは……全然違う」


エリスは驚いた顔でキラを見る。


「キラさん……」


キラはゆっくり立ち上がる。


そして――。


拳を握った。


「これなら……」


キラの口元が少しだけ上がる。


「三大天にも……勝てるかもしれない」


その言葉には、これまでとは違う確信があった。



---


一方――。


牢獄の中


セリーナは一人の老人と向き合っていた。


老人はセリーナの前に立つ。


「セリーナよ」


「はい、」


「今日は、お前に魔法を教える」


「魔法……ですか?」


「ああ」


セリーナは眼鏡を直す。


「私……回復魔法ならできますけど……」


「知っておる」


「攻撃魔法は……あまり得意では……」


「それも知っておる」


「……ですよね」


セリーナがしょんぼりする。


老人は苦笑した。


「だが、お前にはまだ教わっていない魔法がある」


「私が……?」


「そうだ」


老人は静かに両手を構えた。


「これは前聖教様――セリー様がお前に教えようとしていた魔法だ」


「……!」


セリーナの表情が変わる。


「セリー様が……私に?」


「ああ」


「どんな魔法なんですか?」


老人はセリーナを見つめる。


「一つ目は――」


指を立てる


「聖成砲撃――ライトニングブラスト」


「ライトニング……ブラスト?」


「そうじゃ」


「雷……なんですか?」


「雷魔法ではない」


老人は首を振る。


「お前の聖魔法を、攻撃として使うための魔法じゃ」


「……聖魔法を攻撃に?」


セリーナは驚いた。


「聖魔法は回復や浄化だけではない」


「……」


「聖なる力そのものを、一点に集め――」


老人の杖先に白い光が集まり始める。


「砲撃として放つ」


「わぁ……」


セリーナの目が輝く。


「これなら……私にも戦う力が……」


「そうじゃ」


「でも……」


セリーナは少し不安そうにする。


「私、人を傷つけるのは……」


「分かっておる」


老人は優しく笑う。


「だからこそ、この魔法はお前に向いている」


「……?」


「聖魔法そのものを攻撃へ変える。しかし、使い方次第では殺さずに敵を止めることもできる」


「……なるほど」


セリーナは頷く。


「じゃあ……やってみます」


「うむ」


「どうすればいいですか?」


「まずは両手を前へ」


「はい」


セリーナが両手を前に出す。


「聖魔力を集める」


「……」


白い光が少しずつ集まる。


「もっとじゃ」


「……もっと……」


「恐れるな」


「はい……!」


光が大きくなる。


「そのまま――」


老人が声をかける。


「………打つのは辞めておこう、ここは牢獄だからな」


老人は笑う


「は、はい!」


「…………」


セリーナは口を開けたまま固まる。


「……私が……?」


老人は満足そうに笑った。


「そうだ」


「すごい……」


セリーナは自分の手を見る。


「私……攻撃魔法、使えたんですね」


「ああ」


「セリー様が……これを私に……」


「そうだ」


「外に出て戦う時が来たら使ってみるといい」


老人は少し寂しそうに微笑んだ。


「セリー様は、お前がいつか自分の身を守れるようになってほしいと言っていた」


「……」


「そして、もう一つ」


老人の表情が変わる。


「セリー様が、お前に教えようとしていた魔法がある」


「もう一つ……?」


「ああ」


「どんな魔法ですか?」


老人は口を開いた。


「それは――」


――その時。


場面は再び、キラたちへ戻る。





「……」


エリスは黙ってキラを見ていた。


キラは拳を握ったまま、何かを考えている。


「……」


「……キラさん?」


「ん?」


キラが振り返る。


エリスは少し首を傾げた。


「どうしたの?」


「いや、なにもない!」


キラは突然笑った。


そして剣を腰に戻す。


「さぁ、いくか!」


「はい!」


エリスも立ち上がる。


二人は再び、聖教堂へ向かって歩き始めた。


その先に待っているのは――。


悪の元凶の聖教ボギー。



第174話 終

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