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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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173話 セリーナがいる場所



「グオオオオオオオオオオオッ!!」


巨大化したサイクロプスが、地面を踏み砕きながら突進してくる。


「くっ……!」


キラは剣を構えた。


さっきまでとは明らかに違う。


身体が大きくなっただけじゃない。


速度も。


力も。


そして――黒い魔力の濃さも。


「これ……本当に司祭だったのかよ」


サイクロプスの拳が迫る。


キラは横へ飛んだ。


ドゴォォォン!!


拳が地面に突き刺さる。


石畳が爆発したように吹き飛ぶ。


「うわっ!」


キラは瓦礫を避けながら走る。


「このままじゃ近づけない……!」


サイクロプスが腕を振り回す。


キラは剣で受け流す。


ガキィィィン!!


「ぐっ……!」


腕が痺れる。


「重い……!」


そのまま押し飛ばされる。


キラは空中で体勢を整え、地面へ着地した。


「……だったら」


剣を構え直す。


「力で真正面からやり合わなきゃいい」


キラの足元に風が集まる。



シュンッ!!


一瞬で加速。


サイクロプスの横を駆け抜ける。


「まずは――足!」


剣に水の魔力を纏わせる。


「アブソリュート・ゼロ!」


パキィィィン!!


サイクロプスの右足が凍りつく。


「グオオオッ!?」


動きが止まる。


キラは反対側へ回る。


「次!」


大地が震える。


「グランド・エンド!」


ズゴォォォン!!


地面が隆起し、サイクロプスの左足を拘束する。


「これで――」


キラが跳ぶ。


「動けないだろ!」


だが。


「グ……オ……」


サイクロプスの身体から黒い魔力が噴き出す。


バキィィン!!


氷が砕ける。


「なっ!?」


地面の拘束も黒い魔力で吹き飛ばされる。


「まだ動くのかよ!」


サイクロプスが拳を振り上げる。


「グオオオオオッ!!」


キラは剣を構える。


「なら――」


剣に雷が集まる。


「ラグナ・ボルト!」


バチバチバチバチッ!!


雷撃を纏った斬撃が拳へ直撃。


ドォン!!


拳の軌道が逸れる。


そのままキラは腕を駆け上がった。


「ここだ!」


サイクロプスの肩へ乗る。


「グオッ!?」


キラは一気に跳ぶ。


「テンペスト・ゼロ!」


ゴォォォォォッ!!


暴風がサイクロプスを包み込む。


巨大な身体が宙へ浮く。


「今!」


キラは空中で剣を構えた。


「炎――!」


剣が赤く染まる。


「アポカリプス・フレイム!」


ゴォォォォォォッ!!


巨大な炎がサイクロプスを包む。


しかし。


「グオオオオオオオオオオッ!!」


炎の中から黒い腕が伸びてくる。


「……まだ!」


キラは空中で身体をひねる。


「風!」


「雷!」


「そして――ルミナ!」


三つの力が剣へ集まる。


「いくぞ……!」


キラが一気に急降下する。


「――魔法剣!!」


ズガァァァァァン!!


サイクロプスの胸へ剣が突き刺さる。


「グ……オ……」


黒い魔力が激しく噴き出す。


キラは剣を押し込む。


「お前の中の黒い魔力――」


「全部、消し飛ばす!」


「ルミナ・テンペスト・ボルト!!」


光を帯びた風と雷が一気に炸裂する。


バァァァァァン!!


「グオオオオオオオオオオオオオッ!!」


サイクロプスの身体から黒い魔力が吹き飛んでいく。


その巨体が――


徐々に崩れていく。


「グ……」


「…………」


「オ……」


ドォォォン!!


巨大な身体が地面へ倒れた。


土煙が舞い上がる。


キラは剣を抜き、距離を取った。


「…………」


しばらく待つ。


動かない。


黒い魔力も――


もう出ていない。


「……倒した」


キラは息を吐いた。


「はぁ……はぁ……」


そこへ。


「キラさん!」


エリスが駆けてくる。


「エリス!」


「終わりました」


エリスの後ろには、地面に倒れた聖騎士と魔法星団の者たち。


誰も死んではいない。


全員、戦闘不能になっている。


「そっちも終わったか」


「はい」


エリスが周囲を見渡す。


「皆さん、気を失っているだけです」


「よかった」


キラは剣を鞘に戻した。


「……それにしても」


エリスが大きく息を吐く。


「疲れましたね」


「ああ……」


キラもその場に座り込む。


「久しぶりにこんな大人数を相手にしたな」


「そうですね」


二人はしばらく黙っていた。


そして――


エリスがふと呟く。


「……レティシアさんがいたら」


「…………」


キラの表情が少し変わる。


「もっと楽だったかもな」


「はい」


エリスは倒れている騎士たちを見る。


「私一人で大勢を相手にするのは、やっぱり大変です」


「俺もサイクロプス相手に手こずった」


「レティシアさんなら……」


エリスが少し笑う。


「きっと嬉しそうに突っ込んでいきますね」


「絶対な」


キラも笑う。


「『私も混ぜて!』とか言ってな」


「ふふっ」


二人の笑い声が少しだけ響く。


だが――


「…………」


キラは笑顔を消す。


「……レティシア、今どこで何してるんだろうな」


「きっと修行していますよ」


「そうだな」


「もっと強くなって戻ってくるんでしょうね」


「……あいつならやるだろうな」


キラは空を見上げる。


「早く帰ってきてほしいけどな」


エリスも頷く。


「私も……少し寂しいです」


「…………」


二人はしばらく空を見上げていた。


その時――


「……う……」


地面から声がした。


「!」


二人が振り向く。


倒れていたサイクロプスの身体が――


徐々に小さくなっていく。


「な……!」


黒い魔力が消えていく。


巨大な身体が縮んでいき――


やがて。


そこには、先ほどの司祭が倒れていた。


「司祭……」


キラが駆け寄る。


「おい! 大丈夫か!」


「…………う」


司祭が目を開ける。


そしてキラを見た。


「……私は……」


「元に戻ったのか?」


「…………」


司祭は震える手で自分の顔を触る。


「何が……起きた……?」


エリスが言う。


「あなたは、サイクロプスになっていました」


「サイクロプス……?」


司祭は目を見開く。


「……そんな……」


キラが問い詰める。


「一体何があった?」


「俺たちはセリーナを探している」


「なぜ彼女を連れていった?」


司祭はしばらく黙っていた。


そして――


「……私も……」


「気づいた時には、もう……」


声を震わせる。


「身体の中に……何かが入り込んでいた」


「何か?」


「黒い……魔力だ」


「…………」


キラとエリスが顔を見合わせる。


「私たち司祭は……」


司祭は苦しそうに話し始めた。


「新しい聖教様が就任してから、教えが変わった」


「最初は……ほんの少しだった」


「支配こそ正義」


「力こそ信仰」


「逆らう者は排除する」


「そんな言葉が、少しずつ広がっていった」


司祭は拳を握る。


「そして……聖騎士団も魔法星団も変わっていった」


「まるで……誰かに操られているように」


エリスが尋ねる。


「あなたもですか?」


「……私は抵抗しようとした」


「だが……」


司祭は自分の胸を押さえる。


「ある日、黒い魔力を浴びた」


「そこから……記憶が途切れている」


キラの表情が険しくなる。


「じゃあ、さっきのサイクロプスは……」


「私の意思ではない」


司祭は苦しそうに首を振る。


「私は……あんなものになりたくなかった」


「…………」


「頼む……」


司祭はキラを見る。


「この都市を……止めてくれ」


「そして――」


司祭は震える声で言った。


「セリーナを……助けてくれ」


キラの目が鋭くなる。


「……やっぱり」


「セリーナは……」


司祭は何かを思い出そうとする。


「連れていかれた先は――」


その瞬間。


「…………!」


司祭の顔が青ざめた。


「あの……」


「どうした!?」


司祭は震えながら言う。


「聖教様の……」


「地下……」


「地下にある……」


その言葉を最後に――


司祭は再び意識を失った。


「おい!」


キラが肩を揺らす。


「…………」


返事はない。


エリスが立ち上がる。


「キラさん」


「ああ」


二人は顔を見合わせる。


「地下……」


キラは拳を握る。


「セリーナは……この都市の下にいる」


第172話 終

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