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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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172話 黒い巨体




――聖教都市シルオット。


崩壊した大聖堂の前。


「グオオオオオオオオオオオッ!!」


巨大なサイクロプスが咆哮する。


その身体からは、黒い魔力が煙のように漏れ出していた。


キラは剣を構える。


「…………」


サイクロプスの一つ目が、キラを捉える。


「来い」


「グオオッ!!」


ドンッ!!


巨体が地面を蹴った。


一瞬で距離が消える。


「速っ――!」


巨大な拳が振り下ろされる。


「くっ!」


キラは横へ跳ぶ。


ドゴォォォン!!


拳が地面を叩き、石畳が粉々に砕け散る。


「まともに食らったら終わりだな……!」


キラは走りながら剣を振る。


「――風よ!」


シュンッ!!


風の刃がサイクロプスの腕を斬り裂く。


「グオオオッ!」


だが――


傷口から黒い魔力が噴き出す。


そして。


ズズズ……。


傷が塞がっていく。


「再生……!」


キラが目を細める。


「黒い魔力で強化されてるのか」


サイクロプスが腕を振る。


キラは剣で受ける。


ガキィィィン!!


「ぐっ……!」


腕が痺れる。


「重すぎる……!」


そのまま押し込まれる。


「だったら――!」


キラは足元に魔力を集中させる。


シュッ!!


身体が横へ流れる。


サイクロプスの拳が空を切る。


キラはその腕を踏み台にして跳ぶ。


「――雷!」


バチバチバチッ!!


剣に雷が集まる。


「ラグナ・ボルト!」


ズガァァァァン!!


雷撃を纏った斬撃が、サイクロプスの肩を斬り裂く。


「グオオオオオオッ!!」


サイクロプスが吠える。


だが――


黒い魔力が再び傷口を覆っていく。


「……やっぱり普通の攻撃じゃ駄目か」


キラは距離を取る。


「なら――」


剣を握り直す。


「ルミナを混ぜる!」


キラの周囲に光が集まる。


「ルミナ……!」


その光が剣へ宿る。


「これならどうだ!」


「グオオオオオッ!!」


サイクロプスが突進する。


キラも走る。


「はああああああっ!!」


拳が迫る。


キラは身体を捻る。


拳を紙一重でかわし――


その腕に剣を滑らせる。


「――斬る!」


ザシュッ!!


黒い魔力が大きく散る。


サイクロプスの再生が――


止まった。


「……効いた!」


キラの目が鋭くなる。


「やっぱりルミナなら黒い魔力を抑えられる!」


しかし。


「グオオオオオオオオッ!!」


サイクロプスが怒り狂う。


両腕を大きく広げる。


「まずい……!」


ドゴォォォォン!!


両腕を地面へ叩きつける。


衝撃波が周囲へ広がる。


キラは跳ぶ。


「無駄だ!」


空中で身体を回転させる。


「テンペスト・ゼロ!」


ゴォォォォォッ!!


暴風がサイクロプスを包み込む。


巨大な身体が吹き飛ばされる。


「今だ!」


キラが地面を蹴る。


風を足場にして一気に接近。


「魔法剣――!」


剣に風と雷、そしてルミナを重ねる。


「――いけぇぇぇっ!!」


ザンッ!!


サイクロプスの胸を斬り裂く。


「グオオオオオオオオオオッ!!」


黒い魔力が噴き出す。


だが――


まだ倒れない。


「……しぶとい!」


サイクロプスの一つ目が赤く光る。


「グ……オ……」


次の瞬間。


「――――ッ!!」


ドン!!


キラの身体が吹き飛ばされた。


「ぐあっ!」


建物の壁に叩きつけられる。


「キラさん!!」


遠くからエリスの声。


「大丈夫だ!」


キラはすぐに立ち上がる。


「こっちは俺に任せろ!」


「分かりました!」


エリスは周囲を見る。


まだ聖騎士団と魔法星団が大量に残っている。


「……では」


エリスは弓を背中へ戻した。


「こちらも終わらせます」


「なっ……!」


騎士が剣を振る。


エリスは一歩踏み込む。


「遅いです」


身体を低く沈める。


剣が頭上を通過する。


そのまま懐へ。


「はっ!」


掌底。


ドンッ!!


騎士の身体が浮く。


「ぐっ!」


別の騎士が横から斬り込む。


エリスは振り向かない。


身体を捻るだけで回避。


「――そこ」


肘を叩き込む。


ドゴッ!!


「ぐあっ!」


さらに後ろから槍。


エリスは前へ踏み込む。


槍が背中をかすめる。


そのまま槍の柄を掴む。


「失礼します」


グイッ!!


騎士の身体を引き寄せる。


「えいっ!」


ドン!!


別の騎士へ叩きつける。


「二人まとめてです」


「な、なんだこいつ……!」


「弓使いじゃないのか!?」


「……弓だけだと思っていました?」


エリスが微笑む。


「私、近接戦闘も習っていますよ」


三人の騎士が同時に襲いかかる。


右。


左。


正面。


エリスは一人目の剣を腕で受け流す。


二人目の攻撃をしゃがんで回避。


三人目の足を払う。


「せいっ!」


ドサッ!


倒れた騎士を飛び越える。


そのまま一人目の懐へ入り――


「――失礼します」


肩から体当たり。


ドンッ!!


さらに二人目の腹へ回し蹴り。


「ぐっ!」


最後の一人には――


「眠ってください」


首元へ手刀。


ドサッ。


三人がほぼ同時に倒れる。


「……ふぅ」


エリスは息を整える。


周囲にはまだ敵がいる。


「一人ずつ来る必要はありません」


「まとめてどうぞ」


エリスの目が鋭くなる。


一斉に騎士たちが襲いかかる。


「うおおおおおっ!!」


「囲め!!」


エリスは笑った。


「それなら――」


「私も本気で動きます」


――――!!


エリスの身体が一気に加速する。


一人目。


回避。


二人目。


受け流し。


三人目。


足払い。


四人目。


肘打ち。


五人目。


回転蹴り。


六人目。


弓を使わず、拳で武器を弾き飛ばす。


「ぐっ!」


「そこです!」


ドン!!


「がはっ!」


次々と敵が倒れていく。


しかしエリスは、一人も殺していない。


「……全員、動けなくしただけです」


倒れた騎士たちを見下ろす。


「あなたたちも……操られているだけかもしれませんから」


そして再び弓を構える。


「それでも――」


「セリーナさんを返してもらいます」


――――――――――


一方。


キラ。


サイクロプス。


「グオオオオオオオッ!!」


サイクロプスが拳を連続で振り回す。


「くっ!」


右。


左。


上。


キラは紙一重でかわしていく。


「速い……!」


巨大な身体からは想像できないほど、攻撃が速い。


「なら――」


キラは剣を振る。


「水よ!」


ドンッ!!


大量の水がサイクロプスの足元を覆う。


「凍れ!」


「アブソリュート・ゼロ!」


パキィィィン!!


地面ごと凍結。


サイクロプスの足が止まる。


「今だ!」


キラが走る。


「マグマ・カタストロフ!」


炎と大地の魔力が融合する。


ゴォォォォォッ!!


巨大な溶岩の塊がサイクロプスへ直撃する。


「グオオオオオッ!!」


巨体が吹き飛ぶ。


だが――


黒い魔力が再び身体を包む。


「……まだか!」


キラは歯を食いしばる。


「だったら!」


剣を構える。


「光と闇――」


左右に二つの魔力が生まれる。


「そしてルミナ!」


光と闇がぶつかり合い――


「ルミナ・エクリプス!!」


ズドォォォォォォン!!


巨大な魔力がサイクロプスを飲み込む。


「グオオオオオオオオオオオオオッ!!」


黒い魔力が激しく散る。


サイクロプスの身体がよろめく。


「効いてる……!」


キラは剣を構える。


「これで――」


しかし。


サイクロプスの一つ目が――


キラを睨みつけた。


「…………」


黒い魔力が一点に集中する。


「……何だ?」


次の瞬間。


サイクロプスの身体が――


さらに巨大化した。


「なっ……!」


「グオオオオオオオオオオオッ!!」


大地が揺れる。


キラは剣を握り直した。


「まだ……奥があるのかよ」


巨大なサイクロプスが拳を構える。


キラも剣を構える。


「なら……」


「こっちも全部出すしかないな」


――戦いは、さらに激しさを増していく。


第172話 終

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