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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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171話 ボギー教



――聖教都市シルオット。


大聖堂。


「…………」


キラとエリスは、大規模な祈りが終わるのを待っていた。


やがて――


「皆様、本日はありがとうございました」


司祭がゆっくりと立ち上がる。


信者たちが次々と大聖堂から出ていく。


キラとエリスは顔を見合わせる。


「……行くか」


「はい」


二人は司祭のもとへ歩いていった。


「初めまして」


キラが声をかける。


「私たちは――」


「初めまして」


司祭は笑顔で答えた。


「ようこそ、聖教都市シルオットへ」


「…………」


「あなた方も――」


司祭は笑顔のまま言った。


「ボギー教に入りたいのですね?」


「……え?」


キラが固まる。


「いや、ちょっとその話ではないのですが……」


その瞬間。


司祭の笑顔が消えた。


「…………」


ギロッ。


キラを睨みつける。


「我らが神――ボギー様の教えを断るのですか?」


「いや、だから――」


「キラさん」


エリスが横から口を挟む。


「今は、何をしていたんですか?」


司祭の表情が変わった。


「…………」


そして――


ニコッ。


「ご興味がお有りなんですね」


「え?」


「それでは、説明いたしましょう」


司祭は嬉しそうに両手を広げる。


「我らが神、ボギー様の教えを」


「…………」


キラとエリスは黙って聞く。


「この世界は、強者が支配すべきなのです」


「…………」


「権力を持つ者が、持たざる者を従わせる」


「…………」


「武力を持つ者が、持たざる者を制圧する」


司祭の目が狂気に満ちていく。


「そして最終的には――」


「この世界すべてを、ボギー様の支配下に置く」


「…………は?」


キラが呆然とする。


「それが……教え?」


「はい」


司祭は笑顔で頷いた。


「支配」


「権力」


「武力」


「それこそが世界を統一するために必要なものなのです」


エリスの表情が険しくなる。


「……聖教都市シルオットの教えとは思えません」


「…………」


司祭が笑う。


「なるほど」


そして――


「あなたたちは、嘘をつきましたね」


「……!」


「顔に出ていますよ」


司祭は二人を見ながら、笑顔で言う。


「クソみたいな教えだと思っているでしょう?」


「…………」


キラとエリスは固まった。


「…………」


「…………」


司祭は笑う。


「そうですか」


「それならば――」


司祭の身体が突然、大きく震え始めた。


「……!」


「キラさん!」


バキッ。


ゴキッ。


身体の骨格が異様な音を立てる。


「な、なんだ……!?」


皮膚が膨れ上がる。


腕が太くなり、身体が巨大化していく。


顔が歪む。


そして――


ズズズズズ……!!


「グオオオオオオオオオオオッ!!」


大聖堂の天井を突き破るほど巨大な魔物が現れた。


巨大な一つ目。


筋肉で覆われた身体。


人型ではあるが、その姿は完全な魔獣。


「サイクロプス……!」


エリスが叫ぶ。


さらに――


「…………」


その身体から漏れ出しているのは――


黒い魔力。


「やっぱり……!」


キラが剣を抜く。


「黒い魔力だ!」


サイクロプスが腕を振り上げる。


「グオオオオオッ!!」


ドゴォォォォン!!


大聖堂の壁が吹き飛ぶ。


「うわっ!!」


「外へ!」


キラとエリスは瓦礫を避けながら外へ飛び出す。


ドォォォォン!!


大聖堂そのものが崩れていく。


二人は距離を取った。


そして――


「…………」


キラが大聖堂を見る。


そこには――


巨大なサイクロプス。


そしてその周囲に並ぶ――


聖騎士団。


さらに――


「……魔法星団まで……」


エリスが呟く。


聖騎士団と魔法星団。


シルオットを守るはずの二つの軍団が、二人に武器を向けている。


「これは……」


キラが剣を構える。


「完全に敵ってことだな」


「はい」


エリスも弓を構えた。


「来ます!」


「行くぞ!」


――戦闘開始。


「うおおおおおっ!!」


聖騎士たちが一斉に突撃してくる。


キラは一歩踏み込む。


キィン!!


剣で槍を弾く。


「遅い!」


そのまま身体を回転させ――


「ウィンド・ブレード!」


斬撃と同時に放たれた風の刃が、複数の騎士を吹き飛ばす。


「まだ来るか!」


反対側から魔法が飛んでくる。


「――水よ!」


バシュッ!!


水の壁が魔法を受け止める。


しかし――


「数が多すぎる!」


エリスも矢を放つ。


「――精霊弓王!」


シュンッ!!


魔力の矢が一直線に飛び、魔法星団の魔法使いたちを次々と吹き飛ばす。


「殺してはいけません!」


「分かってる!」


キラはサイクロプスへ視線を向ける。


「だが……!」


サイクロプスが地面を踏み砕く。


ドゴォン!!


衝撃波が広がる。


「ぐっ!」


キラは剣を地面に突き立て、身体を支える。


エリスも吹き飛ばされながら着地する。


「キラさん!」


「大丈夫!」


だが――


周囲にはまだ大量の騎士と魔法使い。


そして正面にはサイクロプス。


「……このままじゃジリ貧だ」


キラが息を切らす。


「俺一人じゃ全部は相手できない……!」


その時。


エリスがキラの横に立った。


「キラさん」


「?」


エリスは静かに弓を構える。


「キラさんは、サイクロプスをお願いします」


「……エリス?」


「私は――」


エリスが敵軍を見る。


「その他を対応します」


「…………!」


エリスの目が鋭くなる。


「できます」


「……分かった」


キラは頷く。


「任せる」


「はい!」


エリスが駆け出す。


「精霊よ――!」


ドンッ!!


一気に加速。


「そこです!」


シュッ!!


矢が騎士の剣を弾く。


そのまま懐へ入り――


「はっ!」


身体を低くして攻撃をかわす。


次の瞬間。


「――――ッ!」


肘で相手の腕を弾き、足を払う。


ドサッ!!


倒れた騎士から剣を遠ざける。


「次!」


「囲め!」


複数の騎士が一斉に襲いかかる。


エリスは笑った。


「遅いですよ」


ヒュンッ!!


矢を放つ。


一本。


二本。


三本。


四本。


すべてが敵の武器だけを狙って弾き飛ばしていく。


「なっ!?」


「これでも――」


エリスは一気に距離を詰める。


「――手加減してるんですよ?」


ドンッ!!


強烈な蹴り。


騎士が吹き飛ぶ。


そのまま別の騎士の攻撃を身体を捻ってかわし、弓の柄で腹部を打つ。


「ぐっ……!」


「ごめんなさい」


さらに――


「眠ってください!」


ドッ!!


次々と騎士が倒れていく。


魔法星団が魔法を放つ。


「火炎魔法!」


「――風よ」


エリスが手をかざす。


「散ってください」


ゴォォォッ!!


風が炎を吹き飛ばす。


「な……!?」


「まだです」


エリスは弓を引く。


「アルテミス・レイン――」


大量の魔力の矢が空中に現れる。


「――ゼロ」


ドドドドドドドドッ!!


矢が地面へ降り注ぐ。


しかし、すべて敵の足元。


武器。


防具。


地面。


それだけを正確に撃ち抜いていく。


誰一人として致命傷を負わせない。


それでも――


戦意を完全に奪っていく。


「…………」


キラはその光景を見ながら笑う。


「エリス……」


そして振り返る。


目の前には――


「グオオオオオオオオオオッ!!」


巨大なサイクロプス。


キラは剣を構える。


「さて……」


剣に魔力を纏わせる。


「俺はお前を止める」


サイクロプスが拳を振り上げる。


キラは低く構えた。


「来い」


「この街で……」


「何をしているのか、全部吐いてもらうぞ!」


――サイクロプスとの戦いが始まった。


第171話 終

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