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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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166話 剣聖アシュレイン



一方――。


キラたちは、聖教都市シルオットへ向かっていた。


……はずだった。


「キラさん! こっちです!」


セリーナが先頭を走る。


「セリーナ! こっちの道じゃなかったのか!!」


キラも全力で走っている。


「こっちだったはずです〜!」


「だったはずってなんだよ!」


その後ろでは、エリスが必死に笑いをこらえていた。


「ふふっ……」


「エリス! 笑ってる場合じゃないぞ!」


「す、すみません……でも……」


エリスの肩が震えている。


三人が走っている理由。


それは――。


「グルルルルッ!」


「ギャギャッ!」


「ギャアアア!」


大量のゴブリンたちだった。


少し前。


セリーナが道を間違えた。


さらに――。


「……あ」


セリーナが持っていたお弁当を落とした。


コロコロ……。


ゴブリンの巣へ。


「…………」


「…………」


「セリーナ?」


「はい……」


「何をした?」


「……お弁当を落としました」


「なんでよりによってそこなんだよ!!」


お弁当の匂いに反応したゴブリンたちが、一斉に飛び出してきた。


そして現在。


三人は全力疾走中だった。


「キラさん! まだ追ってきます!」


「キリがない!」


キラが急停止する。


「ここで終わらせる!」


キラは剣を抜く。


そして同時に魔力を集中させる。


「――吹き飛べ!」


巨大な風圧が巻き起こる。


さらに地面が隆起し、ゴブリンたちをまとめて弾き飛ばす。


「うわああああ!」


「ギャアアア!」


次々と吹き飛んでいき――。


辺りが静かになった。


キラは剣を収める。


「……ふぅ」


そして振り返る。


そこには――。


今にも泣きそうなセリーナ。


「ご、ごめんなさい〜……」


「……」


キラはため息をつく。


「もう……」


するとエリスがセリーナの頭を優しく撫でる。


「大丈夫ですよ」


「エリスさぁん……」


エリスはキラを見る。


そしてニコッと笑った。


「キラさん、怖いですねっ」


「え?」


「よしよし」


セリーナの頭を撫で続ける。


「ちょ、エリス!」


「怖かったですね〜」


「俺は何もしてないだろ!」


「ふふっ」


セリーナも少し笑う。


キラは呆れたように頭を掻いた。


「もぉ……」


三人は再び歩き始める。


今度こそ、正しい道を――。


「セリーナ」


「はい?」


「……道、合ってるよな?」


「も、もちろんです!」


「本当に?」


「……たぶん!」


「たぶん!?」


エリスがまた笑い始める。


「ふふふっ……」


「エリスまで!」


そんな三人の賑やかな旅は続いていた。


目指すは――。


聖教都市シルオット。


黒い魔力の正体を知るために。



---


一方――。


どこか暗い部屋。


そこには、一人の男がいた。


金色の髪。


剣聖――アシュレイン。


しかし今の姿は、かつての威厳とは程遠かった。


身体は傷だらけ。


衣服はボロボロ。


手足は拘束され、身動きすら取れない。


その前には、黒い衣をまとった者たちが立っていた。


「器はどこだ」


「…………」


「答えろ」


アシュレインは顔を上げる。


そして静かに答えた。


「そんなもの……僕は知らない」


「本当に知らないのか?」


「知らないものは、答えようがないだろう」


拷問を受けても――。


アシュレインは口を割らない。


しばらく沈黙が続く。


そして。


アシュレインは――。


ニヤッと笑った。


「……この罪は重いぞ」


「……何?」


アシュレインの目には、恐怖などなかった。


むしろ――。


何かを確信したような、不敵な光が宿っていた。


「お前たちは……」


「自分たちが何を敵に回しているのか、まだ分かっていない」


その言葉だけが、暗い部屋に響いた。





王都アーク


一方、その頃。


王都アークの王城では、三国による緊急会議が開かれていた。


中央に座るのは――アーク王国国王。

アーク3世


その隣にはキラの父親。グラン・フォン・レイゼン


向かい側にはオギデストラ国王。


そしてマニルからは、王サーベンに代わり使者としてホーメルが出席している。


サーベンは、マニル国内の復興と五種族間の関係修復を優先していた。


「では、始めよう」


アーク王国国王が口を開く。


「今回、我々が話し合うべきことは三つある」


オギデストラ国王が頷く。


「まずは、黒い魔力の一団についてでしょう」


「ああ」


ホーメルも続ける。


「オギデストラではブラッティフェンリルが黒い魔力によって強化され、さらに魔境の者まで現れました」


「マニルでも同様です」


キラの父親が言う。


「ガミオンやスベルが黒い魔力の一団に利用され、国内で種族間の争いまで起きた」


「つまり――」


アーク王国国王がまとめる。


「黒い魔力の一団は、複数の国で暗躍している」


「その通りです」


ホーメルが頷いた。


「そして、もう一つ重要なのが――エリオスです」


オギデストラ国王が険しい顔をする。


「エリオス……魔境の男か」


「はい」


キラの父親が答える。


「これまでの事件を考えれば、エリオスと黒い魔力の一団には深い関係があると考えるべきでしょう」


「目的もまだ完全には分かっていない」


アーク王国国王が腕を組む。


「エリオスが何を企んでいるのか。それを探る必要があるな」


そして――。


部屋の空気がさらに重くなる。


「三つ目は……」


アーク王国国王がゆっくり口を開いた。


「剣聖アシュレインの拉致だ」


全員が沈黙する。


ホーメルが拳を握る。


「剣聖まで捕らえられたとなれば、事態は想像以上に深刻です」


「アシュレインは我々にとっても重要な戦力だ」


オギデストラ国王が言う。


「何としても救出しなければならない」


「ならば――」


キラの父親が口を開く。


「三つの問題を別々に考えるのではなく、すべて繋がっていると考えるべきでは?」


「黒い魔力の一団」


「エリオス」


「そしてアシュレインの拉致」


三人の国の代表が顔を見合わせる。


アーク王国国王が立ち上がった。


「よし」


「まず三国の協力関係を改めて確認する」


「黒い魔力の一団とエリオスについて情報を共有する」


そして最後に――。


「剣聖アシュレインの救出作戦を立てる」


「異論はない」


オギデストラ国王が答える。


「マニルも同意します」


ホーメルも力強く頷いた。


三国は――。


黒い魔力の一団とエリオスに対抗するため、そして捕らわれた剣聖アシュレインを救出するため、正式に協力していくことを決めた。


その頃、当のアシュレインは――。


暗い牢獄の中で、黒い魔力の一団による拷問を受け続けていた。



第166話 終

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