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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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165話 レティシアの修行



――ドーラ。


レティシアは、ついにその地へとやって来ていた。


「ここが……ドーラ」


辺りを見渡す。


剣を持った冒険者や、武器を背負った者たちが行き交っている。


レティシアはさっそく、目的の人物を探し始めた。


「剣神アブソリュー……どこにいるんだ?」


町の人や冒険者に聞いて回る。


だが――。


「知らないな」


「剣神? そんな人いたか?」


「さあな」


なかなか情報が集まらない。


「うーん……」


レティシアが困っていると――。


「ねえ」


後ろから声がした。


「あなた、迷子?」


「……え?」


振り返る。


そこには、一人の女性が立っていた。


女性はニコッと笑う。


「私はチャルマって言うんだけど、あなた迷子?」


「いや、迷子じゃない」


レティシアは少し苦笑しながら答える。


「私はレティシア」


そして、目的を告げた。


「剣神を探しているの」


「剣神?」


チャルマは首を傾げる。


「なんのために?」


レティシアは少し間を置いて――。


「強くなるために」


そう答えた。


するとチャルマは――。


ニコッ。


満面の笑みを浮かべた。


「じゃあ、着いてきて!」


「え?」


「剣神のところ、連れてってあげる!」


レティシアは目を丸くした。


「本当に?」


「うん!」


「じゃあ……」


レティシアも笑う。


「着いていく!」


チャルマはレティシアの腕を掴んだ。


「こっち!」


「ちょ、ちょっと! 引っ張るなって!」


二人は町の中を進んでいった。


---


しばらく歩くと――。


一軒の大きな道場が見えてきた。


看板には、大きくこう書かれている。


『剣神流道場』


レティシアは看板を見上げる。


「…………」


そして、ぽつり。


「安直な名前ね……」


「いいから早くこっち!」


「わっ!」


チャルマに腕を引っ張られ、レティシアは道場の中へ入っていく。


「失礼しまーす!」


道場の中では――。


七人の門下生が木剣を手に稽古をしていた。


「せいっ!」


「はっ!」


「そこだ!」


激しい打ち合い。


レティシアは思わず足を止める。


「……結構、強そうだな」


そして、その奥。


静かに座り、門下生たちを見ている男がいた。


圧倒的な存在感。


ただそこにいるだけなのに、空気が違う。


チャルマが声をかける。


「アブソリュー!」


男がゆっくり顔を上げる。


「……チャルマか」


そして、その隣にいるレティシアを見る。


「その娘は?」


レティシアは真っ直ぐ男を見つめた。


――この人だ。


直感で分かった。


「剣神アブソリュー……?」


男は立ち上がる。


「そうだ」


これが――。


かつて剣聖アシュレインが修行した場所で道場を開く男。


剣神アブソリュー。


「なぜここへ来た?」


アブソリューが尋ねる。


レティシアは一歩前に出る。


そして、睨みつけるように答えた。


「強くなるために」


一切迷いのない言葉だった。


アブソリューは――。


「……ははっ」


そして笑った。


「良い顔だ!」


レティシアを見る目が変わる。


「気に入った」


「え?」


「お前を修行してやろう」


レティシアの目が輝く。


「本当か!?」


「ああ」


しかし――。


アブソリューは続ける。


「その前に、お前の今の実力を見せてもらおう」


「私の?」


「そうだ」


アブソリューは門下生たちを見る。


「アルミン」


「はい!」


一人の少女が前へ出てきた。


年齢は16歳。


レティシアと同じく剣を扱う少女だった。


「彼女と戦え」


「え?」


「アルミンは私の門下生だ」


そして、ルールを告げる。


「木剣を使う」


「スキルは禁止」


「魔法も禁止だ」


「急所への攻撃は禁止。殺しも当然なしだ」


「純粋な剣術だけで戦え」


レティシアは木剣を手に取る。


「……わかった」


アルミンも木剣を構える。


「よろしくお願いします」


「こっちこそ!」


二人が向かい合う。


「始め!」


――瞬間。


レティシアが踏み込んだ。


「はあっ!」


鋭い一撃。


アルミンは――。


スッ。


紙一重で避ける。


「なっ!」


レティシアが続けて斬り込む。


右。


左。


下段。


連続攻撃。


しかし――。


「遅い」


アルミンの木剣が、レティシアの腕を叩く。


「っ!」


レティシアが距離を取る。


「まだ!」


再び踏み込む。


今度はフェイント。


右から斬り――左へ切り返す。


だが。


アルミンは完全に読んでいた。


一歩下がる。


そして――。


「そこ」


木剣がレティシアの胴へ入った。


「ぐっ!」


レティシアの体が吹き飛ぶ。


「そこまで!」


試合終了。


――あまりにも、あっさりした敗北だった。


レティシアは木剣を握ったまま、呆然とする。


「……私が」


アルミンは静かに頭を下げる。


「ありがとうございました」


「……ありがとう」


レティシアは悔しそうに唇を噛む。


アブソリューは、その様子を見ながら口を開いた。


「なるほど」


「……?」


「お前の戦い方」


アブソリューはレティシアを見る。


「アシュレインとそっくりではないか」


「……!」


レティシアが顔を上げる。


「剣聖と……?」


「ああ」


アブソリューは続ける。


「剣の構え」


「間合いの取り方」


「相手の攻撃を避け、隙を突く戦い方」


「その全てが、アシュレインの影響を強く受けている」


レティシアは黙り込む。


「……でも、それが強さじゃないのか?」


「違う」


アブソリューは即答した。


「コピーでは強くなれん」


「……!」


「お前は、お前自身の剣を持っていない」


レティシアは自分の木剣を見る。


「お前には才能がある」


「だが――」


アブソリューは鋭い目で言う。


「その才能を、誰かの真似で終わらせるな」


そして――。


「お前の本質を究めろ」


レティシアは拳を握った。


「……私の本質」


その言葉が、胸に突き刺さる。


アブソリューは背を向けた。


「明日から修行だ」


「……わかった」


レティシアは木剣を強く握る。


負けた。


悔しい。


けれど――。


ここからだ。


「絶対に……強くなる」


こうして。


レティシアの――


剣神アブソリューとの修行の日々が始まった。


第165話 終

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