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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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151話 人魚王ハイドロ



ベンガルから紹介状を受け取ったキラたちは、次なる目的地へ向かっていた。


そこは――。


マニルに暮らす人魚族の居住区画。


街の中でも水路が多く、建物の間を大きな水路が流れている。


水上に建てられた家や、水中へ続く建物も多い。


「ここが……人魚族の居住区画か」


キラが辺りを見回す。


「すごい……。こんな場所があるんですね」


セリーナも眼鏡を押し上げながら周囲を見渡した。


「人魚族とはあまり話したことがないな」


レティシアも興味深そうに水路を見る。


エリスは少し緊張した様子だった。


「……ハイドロ王に会えば、何か分かるかもしれない」


「そうだな」


キラたちは人魚族の王――ハイドロのいる場所を探して歩き始めた。


その時だった。


「……あなたたち」


背後から女性の声がした。


振り返ると、そこには一人の人魚族の女性が立っていた。


長い髪に、人魚特有の尾。


穏やかな表情をしているが、その瞳はどこか鋭い。


「私はハルミナ」


女性――ハルミナが名乗った。


「あなたたちは……ベンガル様から紹介状を預かっている人たちね?」


キラが目を見開く。


「……なぜそれを?」


「ふふ」


ハルミナは少しだけ笑った。


「あなたたちがここへ来ることは、なんとなく分かっていたの」


「……?」


キラたちは顔を見合わせる。


ハルミナはそれ以上説明しなかった。


「ハイドロ様のところへ案内するわ」


「お願いします」


キラたちはハルミナについていく。


水路をいくつも渡り、居住区画の奥へ進んでいく。


やがて、大きな水の宮殿のような建物が見えてきた。


「ここが……」


「人魚王ハイドロ様のお住まいよ」


ハルミナが足を止める。


「さあ、行きましょう」


――――――――――


宮殿の中。


広い部屋の中央に、一人の男が座っていた。


人魚族の王。


ハイドロ。


キラたちが入ってくると、ハイドロは静かに彼らを見る。


「……ベンガルからの使いか」


「はい」


キラは一歩前へ出た。


そして、ベンガルから預かった紹介状を差し出す。


「こちらを」


ハイドロは受け取る。


封を確認し、手紙を開く。


そして――。


「……なるほど」


ハイドロの目が細くなる。


「確かにベンガルのものだ」


「本物だと分かりますか?」


「分かる」


ハイドロは手紙に残された血を確認する。


「この血印はベンガル本人のものだ。偽造ではない」


キラは安心したように頷いた。


「ありがとうございます」


「それで……何の用だ?」


キラはこれまでの出来事を話し始めた。


ドワーフ族と竜人族が争っていたこと。


しかし、両方の種族が互いにそんなことをするとは思えない状況だったこと。


さらに、襲われた竜人族の若者とドワーフ族の若者が一緒に現れたこと。


そして――。


「ベンガルさんとトライゴンさんは、互いに誤解していたことを認めました」


「……そうか」


「二人は和平を結びました」


ハイドロは黙って話を聞いている。


キラは最後に尋ねた。


「ハイドロ王。


この件について、何か知っていることはありませんか?」


しばしの沈黙。


そして――。


ハイドロが口を開いた。


「……怪しいと思っている種族なら、一つある」


「どこですか?」


「獣人族だ」


「獣人族……?」


エリスが反応する。


ハイドロはゆっくりと頷いた。


「最近、獣人族の王――ガミオンの様子がおかしい」


「王が……?」


「以前のガミオンは、誰に対しても優しかった」


ハイドロは続ける。


「人族にも、エルフにも、ドワーフにも、竜人にも……分け隔てなく接する男だった」


「それが……今は?」


「他種族を敵視している」


レティシアの表情が険しくなる。


「まるで……別人ですね」


「ああ」


ハイドロは静かに答えた。


「以前とは明らかに違う」


「何かきっかけがあったんですか?」


「それが分からない」


ハイドロは首を横に振る。


「そして、奇妙なのは王だけではない」


「……?」


「最近の獣人族全体が、おかしいのだ」


部屋の空気が変わった。


「獣人族の者たちは皆、どこか異様な雰囲気をまとっている」


「異様な雰囲気……」


キラが呟く。


「何かに操られているような……そんな感じですか?」


「そこまでは分からない」


ハイドロは答える。


「だが、以前の獣人族とは明らかに違う」


キラは考え込む。


ドワーフ。


竜人。


そして今度は獣人。


もしもハイドロの話が本当なら――。


「……ハイドロ王」


キラが顔を上げる。


「お願いがあります」


「何だ?」


「サーベンさんのところへ行ってもらえませんか?」


「私が?」


「はい」


キラは真剣な表情で続けた。


「今回の件は、一つの種族だけで解決できる問題じゃないと思っています」


「……」


「ドワーフ族と竜人族は、すでに協力関係になりました」


「そうか」


「なら、エルフ、人魚、ドワーフ、竜人――」


キラはハイドロを見る。


「それぞれの種族が協力して、この問題を調べるべきです」


ハイドロはしばらくキラを見つめていた。


やがて――。


「分かった」


「!」


「サーベンのところへ行こう」


ハイドロは立ち上がる。


「私も、このまま黙っているわけにはいかない」


「ありがとうございます!」


「礼は必要ない」


ハイドロは静かに笑った。


「この国を守るためだ」


――――――――――


その後。


ハイドロはサーベンのもとへ向かうことになった。


一方、キラたちは別行動を取る。


「俺たちは獣人族の街へ行こう」


キラが言う。


「ガミオン王と、獣人族の様子を直接確認する」


「賛成」


レティシアが頷く。


「何が起きているのか、この目で見た方が早い」


エリスも弓を背負い直す。


「……私も行く」


セリーナも頷いた。


「何かあったら、私が治療します」


「よし」


キラが前を向く。


「行こう」


こうして――。


ハイドロはサーベンのもとへ。


キラたちは獣人族の街へ。


それぞれが別の道を進み始めた。


だが、その先で待っているものが何なのか。


まだ誰も知らなかった。


第151話 終

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