↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
151/277

150話 平和同盟



セリーナによる治療が続いていた。


倒れていた竜人族の青年とドワーフ族の青年。


二人とも傷は深かったが、幸い命に別状はない。


「これで大丈夫です」


セリーナがほっと息を吐く。


「しばらく安静にしていれば、動けるようになると思います」


「そうか……」


ベンガルは安堵したように息を吐いた。


そして――


ゆっくりとトライゴンの前へ歩いていく。


「トライゴン」


「……なんだ」


ベンガルは頭を下げた。


「すまなかった」


「……!」


周囲にいたドワーフたちがざわめく。


「ベンガル様……?」


ベンガルは頭を上げない。


「我々は、お前たち竜人族を疑った」


「仲間を殺したのは竜人だと思い込み、お前たちの話を聞こうともしなかった」


「その結果……」


ベンガルは拳を握る。


「お前たちまで傷つけてしまった」


トライゴンは黙っている。


ベンガルは続けた。


「そして何より――」


倒れているドワーフの青年を見る。


「我々の仲間を救ってくれたことに感謝する」


「竜人族の青年が、我々の仲間を担いでここまで連れてきてくれた」


「本当に……ありがとう」


トライゴンはしばらくベンガルを見つめていた。


そして――


静かに頷く。


「……こちらこそだ」


「何?」


「私も、お前たちを疑っていた」


トライゴンは頭を下げる。


「ドワーフが竜人族への仕返しをしているのだと思い込んでいた」


「すまなかった」


二人の族長が、互いに頭を下げる。


それを見ていたドワーフたちは、驚いたように顔を見合わせていた。


ベンガルが振り返る。


「聞け!」


その声に、全員がベンガルを見る。


「竜人族は我々の敵ではない!」


「今回の事件で、それがはっきりした!」


「こいつらは我々の仲間を救ってくれた!」


ベンガルは周囲を見渡す。


「これ以上、竜人族を敵視することは許さん!」


ドワーフたちは沈黙した。


やがて――


一人のドワーフが武器を下ろす。


それに続くように、他のドワーフたちも武器を下ろしていった。


トライゴンも竜人族へ向き直る。


「竜人族にも伝えてくれ」


「ドワーフ族を敵だと思う必要はない」


「我々も争いを望んでいない」


「……分かった」


二人の族長の間に、先ほどまでの敵意はなかった。



---


「それでは――」


キラが口を開く。


「一体、誰がこんなことをしたのか」


場の空気が再び引き締まる。


「そうだな」


ベンガルが腕を組む。


「竜人族とドワーフ族を争わせた何者かがいる」


「ならば、他の種族にも何か起きている可能性がある」


キラが言う。


「そう考えるべきだと思います」


ベンガルは少し考えた。


そして――


「ならば、人魚族へ行け」


「人魚族?」


レティシアが聞き返す。


「ああ」


「人魚の王――ハイドロに会うんだ」


ベンガルは懐から一枚の紙を取り出した。


「これを持っていけ」


キラが受け取る。


「紹介状?」


「そうだ」


ベンガルは懐から小さなナイフを取り出す。


そして――


自分の指先を少しだけ傷つけた。


「え?」


エリスが驚く。


ベンガルは指先から出た血を、一滴だけ紹介状へ垂らした。


ポタッ。


赤い血が紙に染み込む。


「これでいい」


キラが不思議そうに見る。


「血を……?」


「これは私の血だ」


ベンガルが言う。


「ハイドロなら、私の血が付いた紹介状を見れば分かる」


「もし人魚族が本物かどうか疑ったとしても、血を調べさせればすぐに会える」


「ベンガル族長本人の血だと分かるんですね」


セリーナが尋ねる。


「ああ」


「偽りではないことを証明するためだ」


ベンガルはキラを見る。


「ハイドロに会え」


「そして、今回の事件について話を聞いてくれ」


キラは紹介状を大切にしまった。


「分かりました」



---


その後。


ベンガルとトライゴンは、再び向かい合った。


「トライゴン」


「ああ」


「我々は、これ以上争わない」


「同意する」


二人は互いに手を差し出した。


ガシッ。


固い握手。


「ドワーフ族と竜人族」


「これより――」


「平和同盟を結ぶ」


周囲からざわめきが起きる。


しばらく続いていた対立。


それが今、終わろうとしていた。


キラたちはその光景を静かに見つめていた。


「一つ目の問題は……解決したな」


レティシアが言う。


「まだ終わってない」


キラが答える。


「むしろ、ここからだ」


エリスも頷く。


「うん」


マニル全体で起きている異変。


その原因を突き止めなければならない。


そして――


エリスの魔力の封印を解くためには、全族長との和解が必要だ。


トライゴンとベンガルは、そんなキラたちへ向き直った。


「我々も行く」


トライゴンが言う。


「まずはエルフ族長サーベンのところへ向かおう」


ベンガルも頷く。


「サーベンにも、今回のことを直接伝えなければならない」


「分かりました」


キラが頷く。


こうして――


キラたちは人魚族の王ハイドロを訪ねることに。


そしてトライゴンとベンガルは、エルフ族長サーベンのもとへ向かうことになった。


それぞれが動き出す。


マニルに平和を取り戻すために。


そして――


種族同士を争わせている「何者か」の正体を突き止めるために。


第150話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。