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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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149話 睨み合う両者



戦闘が終わった。


キラたちは周囲を警戒しながら、荒れた街道に立っていた。


「……一体、何だったんだ?」


レティシアが倒れた敵を見ながら呟く。


「私たちを狙ってきたのは間違いないね」


キラは剣を収める。


「でも、目的が分からない」


エリスも周囲を見回していた。


「黒い魔力……さっき、少しだけ感じた」


「やっぱりか」


キラが頷く。


その時だった。


「いたぞ!」


遠くから声が響いた。


「竜人族め!」


「また騒ぎを起こしやがって!」


ぞろぞろとドワーフたちが現れる。


その数は多い。


十人、二十人……それ以上。


誰もが険しい顔をしている。


「待って!」


エリスが声を上げる。


「私たちは竜人族じゃ――」


「黙れ!」


一人のドワーフが怒鳴る。


「竜人族と一緒にいる時点で同じだ!」


キラが一歩前に出る。


「落ち着いてくれ。俺たちは争いに来たわけじゃない」


しかし、ドワーフたちは武器を構えたままだった。


周囲には、キラたちを睨みつけるドワーフが大勢いる。


「……随分と嫌われてるな」


レティシアが小声で言う。


「そうみたいだな」


キラも警戒する。


その時――


「やめろ」


低い声が響いた。


ドワーフたちが一斉に振り返る。


「ベンガル様!」


人垣の奥から、一人のドワーフが歩いてくる。


ドワーフ族長――ベンガル。


その顔には厳しい表情が浮かんでいた。


「武器を下ろせ」


「しかし!」


「いいから下ろせ」


ベンガルの一言で、ドワーフたちは渋々武器を下ろした。


ベンガルはキラたちを見る。


「……客人の前で騒ぎを起こすな」


そして――


その視線がトライゴンへ向く。


「トライゴン」


「……ベンガル」


二人はしばらく無言で見つめ合った。


やがてトライゴンが口を開く。


「久しいな」


「ああ」


ベンガルが頷く。


「こんな形で会うとは思わなかったがな」


二人の間に緊張が走る。


キラたちは少し離れたところから見守った。



---


「なぜだ」


トライゴンが口を開く。


「なぜ我々を襲った?」


ベンガルは眉を寄せる。


「こちらこそ聞きたい」


「ドワーフの仲間が殺された」


「竜人族の仕業だと思っているのか?」


「……」


ベンガルは答えなかった。


トライゴンが続ける。


「我々も仲間を失っている」


「行方不明者も多数出ている」


「だから我々は、ドワーフが仕返しをしているのだと思っていた」


ベンガルの表情が険しくなる。


「……そうか」


「だが、私には分からない」


トライゴンが言う。


「お前が、そんなことをするような男ではないことは知っている」


ベンガルもトライゴンを見つめる。


「俺もだ」


「……」


「お前たち竜人が、理由もなく仲間を殺すような連中じゃないことは分かっている」


トライゴンが驚く。


「ならば、なぜ――」


「俺にも分からん!」


ベンガルが声を荒らげた。


拳を握りしめる。


「俺だって腑に落ちないんだ!」


「お前たちがやったという証言はある」


「だが――」


ベンガルは歯を食いしばる。


「俺が知っている竜人族は、そんな回りくどいことをする種族じゃない」


トライゴンも頷く。


「我々も、お前たちがそんなことをするとは思っていない」


二人は再び黙る。


キラが口を開いた。


「つまり……」


「どちらも相手を完全には疑っていない」


「でも、被害は実際に起きている」


「そういうことだな」


ベンガルが答える。


「だからこそ、俺には分からん」


トライゴンも険しい表情になる。


「私もだ」


二人とも互いの性格を知っている。


長い付き合いだからこそ――


今回の事件に、どうしても違和感が残っていた。


その時だった。


「族長ォォォ!」


遠くから叫び声が聞こえた。


全員が振り返る。


一人の竜人族の青年が走ってくる。


その肩には――


一人のドワーフ族の青年が担がれていた。


「なんだ……?」


キラが身構える。


竜人族の青年は息を切らしながら近づいてくる。


「トライゴン様……!」


「どうした!」


青年は倒れそうになりながらも、必死に口を開く。


「俺たちは……」


担いでいたドワーフの青年を地面へ下ろす。


「俺たちは……襲われた……」


「何?」


ベンガルが駆け寄る。


「こいつはドワーフ族だぞ!」


「分かってます!」


竜人の青年が答える。


「俺たちは一緒にいた!」


「突然、何者かに襲われたんです!」


「何者か……?」


キラが聞き返す。


竜人の青年は頷く。


「姿は……よく見えなかった……」


「でも……俺たちは……」


そこで言葉が途切れた。


ドワーフの青年も、かすかに目を開く。


「……俺たちは……」


「……襲われた……」


それだけ言うと――


二人はその場に倒れた。


「おい!」


トライゴンが叫ぶ。


「しっかりしろ!」


セリーナがすぐに駆け寄る。


「治療します!」


キラは倒れた二人を見る。


竜人族とドワーフ族。


本来なら敵対しているはずの二人が――


一緒に行動していた。


そして二人とも、同じ何者かに襲われたと言っている。


「……やっぱり」


キラの目が鋭くなる。


「この争い……」


「竜人とドワーフだけの問題じゃない」


その言葉に、ベンガルとトライゴンが顔を上げる。


キラは続けた。


「誰かが、二つの種族を争わせている」


そして――


その黒幕が何者なのか。


まだ誰にも分からなかった。


第149話 終

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