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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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146話 マニル



オギデストラ王国。


激しい戦いから戻ったキラたちは、街の一角にある部屋で、先ほど現れたエルフの男と向かい合っていた。


エルフの男は、エリスを真っ直ぐに見つめている。


「改めて名乗ろう」


男は胸に手を当てた。


「私の名は――ホーメル」


「ホーメル……」


キラが名前を確認する。


ホーメルは頷いた。


「私はマニルの国より参った使者だ」


「マニル……」


その言葉を聞いた瞬間、エリスの表情が僅かに変わった。


「……マニル」


ホーメルは続ける。


「エリス。お前の故郷だ」


「……」


エリスは何も言わなかった。


キラたちは静かに彼女を見つめる。


ホーメルが説明を始めた。


「マニルは、この世界でも珍しい国だ」


「一つの種族だけで成り立っている国ではない」


「エルフ」


「ドワーフ」


「獣人」


「竜人」


「人魚」


「その他にも様々な種族が暮らしている」


レティシアが驚く。


「そんなにたくさんの種族が一つの国に?」


「ああ」


ホーメルは頷いた。


「それぞれ異なる文化や価値観を持ちながらも、互いを認め合い、長い間共に暮らしてきた」


「それが――マニルという国だ」


エリスは静かに聞いていた。


しかし、ホーメルの次の言葉で、その表情が一変する。


「だが今、そのマニルが――存亡の危機にある」


「……!」


キラが目を見開く。


「存亡の危機?」


「ああ」


ホーメルの表情は険しい。


「現在、マニルでは各種族の間で争いが起きている」


「争い……?」


セリーナが聞き返す。


「何が原因なんですか?」


「それが分からない」


ホーメルは首を横に振った。


「突然だった」


「今まで普通に暮らしていた種族同士が、互いを敵視し始めた」


「エルフと獣人」


「ドワーフと竜人」


「人魚と他種族」


「次々と対立が起こっている」


キラは眉を寄せる。


「まさか……」


「ああ」


ホーメルが答える。


「国の内部で、分裂が始まっている」


「このままではマニルという国家そのものが崩壊しかねない」


エリスの顔が青ざめる。


「……そんな」


ホーメルは続けた。


「我々は調査を続けている」


「だが、どう考えても自然な争いには思えない」


「まるで――」


一度言葉を止める。


「何者かが、意図的に種族同士を争わせているようなのだ」


「……!」


キラの脳裏に、これまでの事件が蘇る。


黒い魔力。


エリオス。


魔境。


「誰かが裏で……」


キラが呟く。


「その可能性が高い」


ホーメルは頷いた。


「だが、敵の正体はまだ掴めていない」


その話を聞いていたエリスは、俯いた。


「……私の国が」


小さな声。


「みんなが……争ってる……」


「エリス……」


セリーナが心配そうに声をかける。


エリスは拳を握りしめた。


「私……何も知らなかった」


「国を離れてから……ずっと……」


「みんなが普通に暮らしているって……そう思ってた」


声が震える。


「なのに……」


「私の故郷が……」


エリスの目から、一筋の涙が落ちた。


「……こんなことになってるなんて」


レティシアがそっとエリスの肩に手を置く。


「大丈夫」


エリスが顔を上げる。


そこへキラが言った。


「エリス」


「……キラ」


「俺たちも行く」


「え……?」


「マニルへ」


キラは迷いなく答えた。


「お前の故郷なんだろ」


「だったら、助けに行こう」


レティシアも頷く。


「もちろん私も行く」


セリーナも微笑む。


「私も一緒です」


エリスは三人を見つめる。


「みんな……」


キラが笑った。


「仲間だろ」


「……うん」


エリスは涙を拭いた。


「ありがとう……」



---


その日の午後。


キラたちはマニルへ向かう準備を始めた。


オギデストラ王国を離れることを、ガルディオたちにも伝える。


「そうか。もう出発するのか」


ガルディオが言う。


「はい」


キラが頷く。


「エリスの故郷で、大変なことが起きています」


「そうか……」


ガルディオはエリスを見る。


「無事に戻ってこい」


「はい」


エリスが答える。


オギデストラのSランク冒険者たちも見送りに来ていた。


アニーは軽く手を上げる。


「……また会おう」


フォンは豪快に笑った。


「オラオラ! 今度会った時には、俺ももっと強くなってるからな!」


コニスも笑顔で手を振る。


「エリス! マニルでも頑張って!」


「うん!」


エリスも手を振り返す。


そして――


キラたちは馬車へ乗り込んだ。


ホーメルも同行する。


「では、マニルへ向かおう」


馬車がゆっくりと動き始める。


オギデストラ王国の街並みが、少しずつ遠ざかっていく。


エリスは窓の外を見つめていた。


「……マニル」


久しぶりに口にする故郷の名。


その表情には不安が残っている。


キラが言った。


「大丈夫だ」


「……うん」


「俺たちがいる」


レティシアも頷く。


「一緒に原因を探そう」


セリーナも微笑む。


「きっと、何か方法があります」


エリスは三人を見て――


小さく笑った。


「……ありがとう」


馬車は進んでいく。


目指すは――


エリスの故郷。


異民族国家マニル。


しかし、その国では今。


何者かの手によって、種族同士が争わされている。


そしてその内部分裂は――


やがて世界全体を揺るがす事件へと繋がっていくことになる。


第146話 終

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