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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
青年期

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143話 禍々しい



「グオオオオオオオオオッ!!」


ブラッティフェンリルの咆哮が、谷全体を震わせる。


その瞬間――


「来るぞ!」


ガルディオが叫んだ。


ブラッティフェンリルが地面を蹴る。


ドンッ!!




「速い!」


騎士たちが盾を構える。



「キラ!」


レティシアの声。


ブラッティフェンリルは一直線にキラへ突っ込んでくる。


「……!」


キラは剣を抜き、正面から迎え撃つ。


「はあっ!」


ガキィィィン!!


剣と爪が激突する。


凄まじい衝撃。


キラの身体が後方へ吹き飛ばされた。


「キラ!」


「大丈夫!」


空中で身体を捻り、着地。


だが――


「……重いな」


剣を握る手が少し痺れている。


Sランク。


その名に恥じない圧倒的な力だ。


「私が行く!」


レティシアが一気に距離を詰める。


「双牙連閃!」


左右の剣が連続して閃く。


ザシュッ!


ザシュッ!


ブラッティフェンリルの前脚と胴に傷が走る。


「グルァッ!」


ブラッティフェンリルが前脚を振る。


「遅い!」


レティシアは身体を低く沈めて回避。


そのまま懐へ入り込む。


「幻影双閃!」


二本の剣が交差する。


ザンッ!!


深い傷が入った。


「効いてる!」


だが――


ブラッティフェンリルの傷口から黒い魔力が噴き出す。


そして傷が、再び塞がっていく。


「また再生……!」


レティシアが距離を取る。


「厄介ね」


「なら、再生する暇を与えなければいい!」


キラが駆け出す。


剣を右手に。


左手には魔力。


「レティシア、右から!」


「分かった!」


二人が同時に動く。


ブラッティフェンリルがレティシアへ噛みつこうとする。


「させない!」


キラが横から斬り込む。


「せいっ!」


ザンッ!


その一撃で顔を逸らす。


その隙に――


「天狼双牙!」


レティシアの双剣が左右から走った。


ザシュッ!!


ブラッティフェンリルが大きく後退する。


「今!」


エリスが矢を放つ。


「アルテミス・レイン――ゼロ!」


一本の矢に、全ての威力を集中。


シュッ!!


矢は一直線に飛び――


ブラッティフェンリルの胸へ突き刺さった。


ドォン!!


「グオオオオオオッ!!」


巨体が揺れる。


「やった!」


騎士の一人が叫ぶ。


しかし――


キラの表情は険しい。


「まだだ」


胸に刺さった矢。


その周囲から黒い魔力が集まっている。


「……あの黒い魔力」


セリーナが気づく。


「傷を治しているだけじゃありません」


「何?」


「魔物の身体そのものを……強化しています!」


直後。


ブラッティフェンリルの身体が膨れ上がった。


「グオオオオオオオッ!!」


黒い魔力が爆発する。


ドンッ!!


「うわっ!」


騎士たちが吹き飛ばされる。


「全員、離れろ!」


ガルディオが叫ぶ。


キラも後方へ跳ぶ。


着地した瞬間――


ブラッティフェンリルが再び襲いかかる。


「くっ!」


キラは剣で受ける。


ガキィン!


二撃。


三撃。


四撃。


巨大な爪が次々と振り下ろされる。


「速い……!」


キラは斬撃を受け流しながら、隙を探す。


一撃を避ける。


二撃目を剣で逸らす。


三撃目を身体を捻って回避。


そして――


「そこだ!」


キラが踏み込む。


「はあああっ!」


斬撃が首元へ迫る。


しかしブラッティフェンリルは頭を逸らした。


「!」


剣が毛を切り裂くだけに終わる。


「グルァァァッ!」


牙が迫る。


「キラ!」


レティシアが飛び込んだ。


ガキィン!!


双剣で牙を受け止める。


「ぐっ……!」


足が地面にめり込む。


「レティシア!」


「早く!」


キラは一瞬で判断した。


「分かった!」


キラが後方へ跳ぶ。


そして左手を掲げる。


炎と風。


二つの属性が渦を巻く。


「インフェルノ・テンペスト!」


轟音。


巨大な炎の竜巻がブラッティフェンリルを包み込む。


「グオオオオオオオッ!!」


炎と風が黒い毛を焼き、巨体を吹き飛ばす。


「今度は――」


キラはさらに魔力を重ねる。


地面が震える。


「マグマ・カタストロフ!」


大地が割れる。


灼熱の魔力が地面から噴き上がり、ブラッティフェンリルを飲み込んだ。


「グルァァァァァッ!!」


その巨体が大きく跳ねる。


「まだ動くの!?」


エリスが驚く。


キラは追撃の準備をする。


しかし――


「待ってください!」


セリーナが叫んだ。


「キラさん!」


「どうした?」


「今です!」


セリーナが谷の奥を指差す。


「魔力の流れが変わりました!」


キラが振り向く。


ブラッティフェンリルが受けたダメージ。


その黒い魔力が――


谷の奥へ流れ込んでいる。


「……!」


キラの目が見開かれる。


「やっぱりだ」


「何が?」


レティシアが聞く。


「こいつは黒い魔力を生み出してるんじゃない」


キラは谷の奥を見つめる。


「どこかから供給されている」


「つまり……」


エリスが言葉を続ける。


「本当の根源は、別にある?」


「ああ」


そのとき。


ブラッティフェンリルが立ち上がった。


身体は傷だらけ。


それでも倒れない。


「グオオオオオオオオオオッ!!」


咆哮とともに、谷の奥から大量の黒い魔力が流れ込む。


キラは剣を構え直した。


「だったら、先にこいつを倒す」


「ええ!」


レティシアも双剣を構える。


エリスが矢をつがえる。


騎士たちも立ち上がる。


セリーナは全員を見渡した。


「私が回復します!」


キラは全員を見る。


「次の一撃で決めるぞ!」


「了解!」


レティシアが走る。


「無影連斬!」


ブラッティフェンリルの死角へ入り込み、無数の斬撃を叩き込む。


エリスが続く。


「アルテミス・レイン!」


無数の矢が降り注ぐ。


騎士たちも一斉に攻撃を開始する。


「行けぇぇぇっ!!」


そして――


キラは剣を構えながら、七属性の魔力を集め始めた。


炎。


水。


風。


大地。


雷。


光。


闇。


それぞれの力が一点へ集約されていく。


「これで……終わらせる!」


七属性の魔力が、巨大な一つの力へ変わっていく。


だが、その瞬間――


ブラッティフェンリルの背後。


谷の最奥で。


何かが――


ゆっくりと目を開いた。


「……!」


キラが感じ取る。


「なんだ……?」


ブラッティフェンリルとは別の魔力。


遥かに深く、禍々しい――


巨大な何かの気配。


そして。


ブラッティフェンリルが最後の咆哮を上げた。


「グオオオオオオオオオオッ!!」


キラは剣を握り直す。


「……来い!」


Sランク魔物との決戦。


その最終局面が始まった。


第143話 終

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