132話 レベルリセット
異世界の王女様、日本の和食に夢中です。2話公開中
連載 【5000pv突破!】いじめられっ子の貴族少年、万能テイ厶スキルでテイマーになりました。75話連載中
学校の先生、実は世界最強です 連載中
転生系の作品載せてみましたm(_ _)m
森の奥。
キラ、レティシア、エリスの三人は、巨大な魔物を前にしていた。
「……動けない」
レティシアが剣を構えながら呟く。
目の前の魔物から放たれる圧力だけで、身体が震える。
エリスも弓を握りしめていた。
「矢が……効く気がしない」
キラは剣を握る。
「それでも……やるしかない!」
三人は同時に動いた。
「はああっ!」
レティシアが正面から斬り込む。
キィン!
「……硬い!」
刃が弾かれる。
エリスが連続で矢を放つ。
ヒュンッ!
ヒュンッ!
しかし、矢は魔物の身体に当たる前に弾かれた。
「嘘……!」
キラも魔力を集中させる。
「ファイアランス!」
巨大な炎の槍が飛ぶ。
ドォン!
炎が魔物を包む。
だが――
「……効いてない」
煙の向こうから、魔物が姿を現した。
傷一つない。
「そんな……」
キラの額から汗が流れる。
アーマードボアを倒した。
オークジェネラルも倒した。
自分たちは確実に強くなったと思っていた。
だが。
目の前の魔物は、それらとは次元が違う。
「逃げるよ!」
エリスが叫んだ。
「今は戦う相手じゃない!」
「……分かった!」
三人は走り出した。
「追ってくる!」
「速い!」
背後から地面を踏み砕く音が迫ってくる。
ドン!
ドン!
ドン!
レティシアが振り返る。
「このままじゃ追いつかれる!」
「何かないのか……!」
キラは必死に考える。
魔法。
剣。
身体強化。
何を使っても時間を稼ぐだけ。
そのときだった。
胸の奥で――
何かが弾けた。
「……っ!」
キラの視界に、見慣れない文字が浮かぶ。
【レベルリセット】
「え……?」
次の瞬間。
身体の中を凄まじい魔力が駆け抜けた。
「うあああああっ!」
「キラ!?」
「どうしたの!?」
キラの身体が青白い光に包まれる。
そして――
レベル67
その数字が消えた。
代わりに表示された数字は――
レベル1
「……レベル……1?」
キラ自身も理解できなかった。
しかし、魔物は待ってくれない。
「今は確認してる場合じゃない!」
キラが叫ぶ。
「二人とも走って!」
三人は再び逃げる。
魔物が迫る。
「キラ!」
「分かってる!」
キラは振り返った。
剣を構える。
「一発だけ……!」
魔力を集中させる。
「ファイアボール!」
炎の球が飛んだ。
ドォン!
「……え?」
キラは違和感に気づいた。
魔力がほとんど減っていない。
「今の……」
だが、確認する暇はない。
魔物が迫ってくる。
「逃げる!」
三人はさらに走る。
王都まで戻るしかない。
---
しばらく走った。
しかし、森を抜けても魔物の気配は消えない。
「まだ追ってくる!」
「王都まであと少し!」
城壁が見えてきた。
だが、三人の体力は限界だった。
「もう……走れない……!」
エリスが膝をつく。
レティシアも息を切らしている。
「キラ……!」
「……俺が……」
キラは二人の前に立った。
「俺が何とかする」
しかし、どうすればいいのか分からない。
その瞬間。
頭の中に、一つの言葉が浮かんだ。
転移。
「……転移?」
無意識にキラが手を伸ばす。
「転移――」
空間が歪んだ。
「えっ!?」
三人の身体が青白い光に包まれる。
次の瞬間――
ドンッ!
王都の門前。
三人が転がり出た。
「……え?」
門番が驚く。
「な、なんだ!?」
キラはその場に膝をついた。
レティシアも倒れ込む。
エリスも息を切らしながら地面に座り込んだ。
「……助かった……」
キラが呟いた。
そして――
意識が途切れた。
---
「……キラ!」
「起きて!」
遠くから声が聞こえる。
ゆっくり目を開ける。
「……ここは?」
「ギルドの医務室よ」
レティシアの声。
キラは身体を起こそうとする。
「痛っ……」
「無理しないで!」
エリスもベッドの横にいた。
「私たちも、さっきまで寝てたんだよ」
そこへギルドマスターが入ってくる。
「目を覚ましたか」
「ギルドマスター……」
「一体何があった?」
三人は顔を見合わせる。
そして、森で出会った魔物について話した。
「……そんな魔物が?」
ギルドマスターの表情が険しくなる。
「ああ」
キラが頷く。
「俺たちは……戦っても勝てなかった」
「逃げることで精一杯でした」
レティシアが続ける。
エリスも頷く。
「それに……」
キラが自分の手を見る。
「途中で、俺のレベルが……」
「レベル?」
「67から……1になりました」
ギルドマスターが絶句する。
「……何だと?」
キラは自分のステータスを確認する。
レベル:1
しかし――
能力値は、以前とほとんど変わっていない。
さらに魔法を見る。
「……ファイアボール」
小さな炎が手のひらに生まれる。
キラは魔力消費を確認する。
消費魔力:1
「……やっぱり」
さらに――
「アイスランス」
氷の槍が現れる。
「これも……1」
「キラ?」
「俺……」
キラは困惑した。
「全部の属性魔法が使える」
「全部?」
レティシアが驚く。
キラは次々と魔法を確認する。
火。
水。
風。
土。
雷。
光。
闇。
これまで扱えなかった属性まで、すべて使える。
しかも――
どれも消費魔力は1。
「……何が起きたんだ」
ギルドマスターも答えを出せなかった。
「今は身体を休めろ」
「……はい」
三人はしばらく療養することになった。
---
数日後。
三人はギルドが用意した部屋で過ごしていた。
「暇だ……」
キラがベッドに横になる。
「仕方ないでしょ」
レティシアが笑う。
「まだ傷が治ってないんだから」
エリスも窓の外を見る。
「でも……あの魔物」
三人とも黙る。
忘れられない。
自分たちが、何もできなかった相手。
そのとき――
コンコン。
扉が叩かれた。
「どうぞ」
扉が開く。
「久しぶりですね」
「……リリー!」
そこにいたのは――
大賢者リリーだった。
「三人とも、元気そうで安心しました」
「リリーさん、どうしてここに?」
キラが尋ねる。
リリーは三人を見つめた。
「話は聞きました」
「……あの魔物のこと?」
「はい」
リリーは頷く。
そして少し間を置いて言った。
「一つ、聞きたいことがあります」
「何ですか?」
「あなたたちは――」
リリーは真っ直ぐ三人を見る。
「もっと強くなりたいですか?」
三人は顔を見合わせた。
キラは拳を握る。
「……はい」
レティシアも頷いた。
「私も」
エリスも弓に手を添える。
「もちろん」
リリーは静かに微笑んだ。
「そうですか」
そして――
「では、私たちが修行をつけましょう」
キラの目が大きくなる。
「……本当に?」
「ええ」
リリーは頷いた。
「今までの修行とは違います」
「あなたたちがBランクになり、そして自分たちの限界を知った今だからこそ――」
リリーは三人に告げる。
「本当の修行を始める時です」
キラは立ち上がった。
「お願いします!」
レティシアとエリスも立ち上がる。
「お願いします!」
「私も!」
リリーは三人を見て頷いた。
「では――」
新たな修行が始まる。
レベル1になったキラ。
しかし、その身体にはレベル67まで積み上げた力が残っている。
そして、これから――
剣聖アシュレイン。
大賢者リリー。
弓王リゼッタ。
伝説の三人による、本格的な修行が始まる。
第132話 終
少年編はここでおしまいです。
次回からは青年編が始まります。
伝説のパーティに鍛えられた三人はどのように進化したのか!!!
ででん!!!




