128話 中央の封印を探して
「中央への道を探す」
村を出たキラたちは、山道へ向かっていた。
先頭を歩くのはエリス。
手には古い地図。
何度も周囲を見ながら、慎重に進んでいく。
「……この先」
エリスが立ち止まった。
「道が三つに分かれてる」
「どれが中央へ続いてる?」
レティシアが尋ねる。
「それが分からない」
エリスは地図を広げた。
「古い地図だから、今の地形と少し違うみたい」
キラが周囲を見渡す。
「じゃあ、手掛かりを探そう」
「うん」
エリスはしゃがみ込んだ。
「……あった」
地面に残された足跡。
「人間のもの。しかも新しい」
「黒い紋章の連中?」
「たぶん」
エリスは足跡を追っていく。
「こっち」
四人は慎重に進んだ。
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しばらく歩いた先。
崖の下に、小さな洞窟があった。
入口には古代文字が刻まれている。
リリーが近づく。
「これは……中央の封印へ向かうための古代道ね」
「じゃあ、この中を進めば?」
「ええ。ただし――」
リリーが洞窟の奥を見る。
「罠がある」
エリスがすぐに反応した。
「任せて」
弓を手に取り、慎重に歩く。
一歩。
二歩。
そして――
ヒュッ!
一本の矢が壁から飛び出した。
エリスが身体を反らしてかわす。
「やっぱり」
「危なかった……」
レティシアが呟く。
エリスは周囲を調べる。
「ここから先も仕掛けがある」
「分かるの?」
「音が違う」
「音?」
「床を踏んだ時の響き」
エリスが笑う。
「こういう古い遺跡は、けっこう分かりやすいよ」
一本の矢を放つ。
カチッ。
床の奥で仕掛けが作動する。
だが、何も起こらない。
「解除した」
キラが感心する。
「助かるよ」
「どういたしまして」
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洞窟の奥へ進む。
すると――
「……誰かいる」
キラが剣に手をかけた。
前方に人影が見える。
「待って」
エリスが目を細める。
「敵じゃない」
近づいてみると、そこには若い冒険者が倒れていた。
「大丈夫か!」
キラが駆け寄る。
男はゆっくり目を開けた。
「……冒険者……?」
「そうだ。何があった?」
男は苦しそうに息を吐く。
「黒い紋章の奴らが……この洞窟を通っていった……」
「中央へ?」
「……そうだ」
キラの表情が険しくなる。
「どれくらい前?」
「まだ……そんなに経っていない」
「急ごう」
レティシアが頷く。
「うん」
だが、男がキラの腕を掴んだ。
「待て……」
「?」
「奴らは……一人じゃない」
「何人?」
「……かなり多い」
男は震えながら続けた。
「それと……」
「それと?」
「黒い紋章の男が……言っていた」
男の顔が青ざめる。
「『中央の封印を開けば、南も東も西も、全部つながる』と……」
キラが息を呑む。
「全部……?」
リリーが静かに答えた。
「やっぱり」
「何が?」
「古代の封印は、最初から一つの巨大な仕組みだったのよ」
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その頃。
中央の封印。
巨大な石門の前で、黒い紋章の男が立っていた。
手には、村から奪った青白い欠片。
「……ようやくここまで来た」
石門に欠片を近づける。
ズズズズ……。
黒い亀裂が広がる。
「あと少しだ」
だが――
石門の中央から青白い光が放たれた。
「ぐっ!」
男が吹き飛ばされる。
「……まだ拒むか」
その時。
背後から声がした。
「当然だ」
「……!」
男が振り返る。
そこに立っていたのは――
剣聖アシュレイン。
金髪を揺らし、剣を抜いている。
「アシュレイン……!」
「ここまで来るとはな」
アシュレインは男を睨む。
「だが、ここから先は行かせない」
男が笑う。
「一人で私を止めるつもりか?」
「一人じゃない」
アシュレインの後ろ。
青い髪のリリー。
そして、オレンジ色の髪を揺らすリゼッタ。
「三人……」
リゼッタが弓を構える。
「久しぶりね」
リリーが杖を構えた。
「でも、あなたに会うのは久しぶりじゃなくてもよかったわ」
男は後退する。
「……なぜ、ここにいる?」
アシュレインが答えた。
「南の封印が動いた時点で、中央も危ないと分かった」
「そして――」
リリーが続ける。
「私たちはキラたちが来るまで、ここを守る」
男が笑う。
「間に合うと思うか?」
「何?」
男が手を掲げた。
「もう始まっている」
中央の石門に――
巨大な黒い亀裂が走った。
「……!」
三人の表情が変わる。
男は笑いながら闇の中へ消えていく。
「では――中央で会おう」
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「――止まれ!」
洞窟の奥。
キラたちの前に大量の魔物が現れた。
黒い紋章を刻まれた魔物たち。
「多い!」
レティシアが剣を抜く。
エリスが後ろへ下がり、弓を構える。
「私が数を減らす!」
ヒュッ!
矢が飛ぶ。
一体。
二体。
三体。
正確に魔物の足や腕を射抜いていく。
「キラ、左!」
「分かった!」
キラが飛び込む。
剣で爪を受け止め、そのまま魔力を纏わせる。
「――《ウィンドエッジ》!」
ザンッ!
魔物が倒れる。
「次!」
レティシアも前へ出る。
「はぁっ!」
一体の攻撃をかわし、懐へ入り込む。
「そこ!」
斬撃が黒い紋章を捉える。
パキンッ!
紋章が砕ける。
魔物が力を失って倒れた。
「まだいる!」
エリスが叫ぶ。
「右から五体!」
「任せて!」
キラが手を伸ばす。
「――《ウィンドバレット》!」
風の弾丸が敵を吹き飛ばす。
だが――
最後の一体がルナへ迫る。
「ルナ!」
「大丈夫!」
青白い紋章が輝く。
魔物の黒い魔力が弾かれた。
「……これなら!」
ルナは手を伸ばす。
「消えて!」
青白い光が広がり、魔物の黒い紋章が消えていく。
「……終わった」
ルナが息を吐く。
キラが笑った。
「助かった」
「うん」
その瞬間。
洞窟全体が揺れた。
「なに!?」
レティシアが壁を支える。
ゴゴゴゴゴ……!
遠くから――
巨大な魔力の波が押し寄せてくる。
リリーが顔を上げた。
「……中央の封印」
「まさか……」
キラが走り出す。
「開き始めた?」
リリーは頷いた。
「ええ」
「だったら急がないと!」
四人は洞窟を駆け抜ける。
その先に――
巨大な石門が見えてきた。
門の向こうから、黒い光が漏れている。
そして石門には――
大きな亀裂が一本。
キラが剣を握る。
「……間に合わなかった?」
リリーは首を横に振った。
「まだよ」
レティシアが隣に立つ。
エリスが弓を構える。
ルナの青白い紋章が輝く。
四人は、巨大な石門を見つめた。
その奥から激しい戦闘の音が聞こえる。
「何が起こってるんだ」
第128話 終




