↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
126/282

125話 南の守護者



「――全部、切る!」


キラが剣を握り直した。


目の前には巨大な魔物。


その身体から伸びる黒い糸は、南の封印へと続いている。


一本はすでに切った。


残りは二本。


「グオオオオオッ!!」


魔物が咆哮し、地面を蹴った。


「来る!」


レティシアが前へ出る。


「私が止める!」


巨大な爪が振り下ろされる。


ガキィィン!!


「ぐっ……!」


レティシアの剣が爪を受け止めた。


「重い……!」


魔物がさらに力を込める。


「レティシア!」


「まだ大丈夫!」


レティシアは正面から受け続けるのではなく、身体を横へ滑らせた。


爪が地面をえぐる。


その隙に――


「はぁっ!」


レティシアの剣が魔物の腕を斬り上げた。


「キラ!」


「分かってる!」


キラが駆ける。


だが、黒い糸が突然動いた。


「っ!」


糸が鞭のようにキラへ襲いかかる。


「危ない!」


ヒュッ!


エリスの矢が飛んだ。


黒い糸の軌道が逸れる。


「今!」


「助かった!」


キラはそのまま踏み込んだ。


剣に風の魔力を纏わせる。


「――《ウィンドエッジ》!」


ザンッ!!


二本目の黒い糸が切れた。


「グオオオオオッ!!」


魔物が大きくよろめく。


だが、最後の一本が残っている。


しかも――


「まずい!」


エリスが叫んだ。


「最後の糸、動いてる!」


黒い糸が魔物の身体から離れ、南の封印へ向かって伸び始めた。


「逃がすな!」


キラが走る。


しかし、魔物が立ちはだかった。


「くっ……!」


キラが剣を構える。


「ここは私が!」


レティシアが魔物へ斬りかかった。


「はぁぁっ!」


一閃。


二閃。


三閃。


レティシアは魔物の爪をかわしながら、連続して斬撃を叩き込む。


「今なら!」


エリスも弓を引き絞る。


「――そこ!」


矢が魔物の足元へ突き刺さった。


足を止めた一瞬。


「キラ!」


「行く!」


キラは魔物の横をすり抜けた。


最後の黒い糸へ向かって剣を振り抜く。


「――断ち切れぇっ!」


ザンッ!!


最後の糸が――


切れた。



---


その瞬間。


南の封印から、凄まじい青白い光が放たれた。


「うわっ!」


エリスが腕で目を覆う。


レティシアも目を細める。


そして――


魔物を覆っていた黒い魔力が、一気に消えていった。


「……グル……」


巨大な魔物はゆっくりと膝をつく。


そして、その身体が普通の色へ戻っていく。


「……助かったの?」


レティシアが呟く。


キラは剣を下ろした。


「たぶん」


ルナが魔物へ近づく。


「もう……苦しくない?」


魔物は小さく鳴いた。


「……」


ルナは微笑む。


「よかった」


その瞬間だった。


南の封印から――


「……声がする」


ルナが顔を上げる。


「また?」


キラが聞く。


「うん」


ルナは封印を見つめる。


「今度は……はっきり聞こえる」


そして。


「『守護者は、ここにいる』って」


全員が沈黙した。


「守護者?」


エリスが周囲を見回す。


「でも、ここには……」


その時。


ドン――。


地面が震えた。


南の封印の前に、巨大な光の柱が現れる。


その中から――


一人の女性が姿を現した。


長い銀色の髪。


白い装束。


そして、青白い瞳。


「……人間?」


レティシアが剣を構える。


女性はゆっくりと目を開いた。


「私は――南の封印を守る者」


キラが驚く。


「守護者が……いた?」


女性は首を横に振った。


「違う」


「え?」


「私は守護者ではない」


女性はルナを見る。


「私は――守護者を失った封印、そのものに残された意思」


「封印……そのもの?」


リリーが険しい顔をする。


「なるほど……」


女性が頷く。


「東と西には守護者がいた。しかし、南にはいなかった」


「じゃあ、どうして?」


ルナが尋ねる。


女性は静かに答えた。


「かつて、この地で戦いがあった」


「黒い紋章を持つ者たちが、封印を破ろうとした」


キラの表情が変わる。


「……あいつらか」


「そして――」


女性の視線がルナへ向く。


「一人の少女が、ここで封印を守った」


ルナが息を呑む。


「私……?」


女性は答えない。


代わりに、ルナの胸の青白い紋章が輝いた。


そしてルナの脳裏に――


古い記憶が流れ込んだ。


幼い自分。


その前に立つ三人。


剣聖アシュレイン。


大賢者リリー。


弓王リゼッタ。


そして――


南の封印。


「……また、昔の記憶……」


ルナが頭を押さえる。


「無理に思い出さなくていい!」


キラが支える。


しかしルナは首を振った。


「違う……」


「え?」


「今回は……怖くない」


ルナは顔を上げる。


「この記憶は……私が守ったんじゃない」


青白い光がさらに強くなる。


「三人が……私を守ってくれてた」


その瞬間。


封印の奥から――


ズズズズズ……!


巨大な黒い亀裂が走った。


女性の顔が険しくなる。


「……時間がない」


「何が起きてる?」


キラが剣を握る。


女性は南の奥を見つめた。


「封印が開いているのではない」


「え?」


「内側から――」


女性は静かに告げた。


「何かが、出ようとしている」


全員の表情が凍った。


そして封印の奥から――


巨大な瞳が、ゆっくりと開いた。


「……見つけた」


低い声が響く。


「――器が、ここにいる」


ルナの身体が震えた。


キラはルナの前へ立つ。


レティシアが剣を構える。


エリスも弓を引き絞った。


「……絶対に渡さない」


キラの言葉と同時に――


南の封印が、大きく揺れ始めた。


第125話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。