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『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

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117話 狙われたルナ



西の封印を再封印してから、キラたちは山を下りていた。


「……静かだな」


キラが周囲を見回す。


さっきまで響いていた地鳴りも、黒い魔力も消えている。


「守護者もいなくなったね」


エリスが空を見上げる。


「最後は青い光になって消えたからな」


レティシアが答える。


ルナは黙ったまま歩いていた。


「ルナ?」


キラが声をかける。


「……さっきの声が気になります」


「助けを求めてたっていう?」


「はい」


ルナは胸元に手を当てた。


「でも、どこから聞こえたのか分からないんです」


「東か西かも?」


「……分かりません」


その時だった。


「――っ!」


ルナが突然立ち止まった。


「どうした!?」


「近くに……黒い魔力があります!」


キラが剣を抜く。


「全員、警戒!」


レティシアも剣を構え、エリスは弓に矢を番える。


森の奥。


黒い霧がゆっくりと漂ってきた。


「また黒き紋章か!」


キラが踏み込む。


だが――


霧の中から現れたのは、黒き紋章の男ではなかった。


「……人?」


倒れている一人の青年だった。


「怪我してる!」


エリスが駆け寄る。


青年の腕には、黒い紋章が刻まれていた。


「触らないで!」


ルナが叫ぶ。


「その紋章……まだ動いてます!」


キラが青年を見る。


黒い紋章が、脈打つように光っていた。


「どうする?」


レティシアが尋ねる。


「まず町へ運ぼう」


キラが青年を抱えようとした、その瞬間。


――ザワッ。


森の木々が一斉に揺れた。


「……来る!」


エリスが叫ぶ。


木々の間から、黒い獣が飛び出してきた。


「数が多い!」


レティシアが前へ出る。


「キラ、ここは私が――」


「いや、一緒にやろう!」


キラは剣を構える。


「エリスは後ろから援護!」


「分かった!」


一体目が迫る。


キラが斬り払う。


「はっ!」


二体目をレティシアが受け止める。


「――遅い!」


ガキィン!


剣と爪がぶつかる。


レティシアは相手の力を流し、そのまま懐へ入り込んだ。


「そこ!」


一閃。


黒い紋章が切り裂かれる。


「次!」


エリスの矢が飛ぶ。


ヒュンッ!


獣の足を正確に射抜き、動きを止める。


「キラ!」


「任せろ!」


キラが走る。


剣に炎をまとわせる。


「――《フレイムスパイラル》!」


炎の螺旋が剣へ絡みつき、キラの斬撃と共に獣を吹き飛ばす。


「残りは……!」


キラが周囲を見る。


だが、黒い獣たちは一斉に青年へ向かっていた。


「こいつらの狙いは……あの人か!」


「違う!」


ルナが叫ぶ。


「狙っているのは……私です!」


「ルナ!?」


黒い獣たちの目が、一斉にルナへ向いた。


そして。


森の奥から声が響く。


「――ようやく見つけた」


「……!」


キラが振り返る。


木々の向こう。


黒き紋章の男が立っていた。


「お前……!」


男は笑う。


「二つの封印を守ったところで、何も変わらない」


「ルナをどうするつもりだ!」


キラが剣を向ける。


男は答える。


「簡単なことだ」


手にしていた白い欠片を掲げる。


「この欠片を使えば、彼女の中にある力を引き出せる」


ルナの顔が青ざめる。


「……嫌」


「そして、器として完成させる」


「やめて……!」


ルナが後ずさる。


キラはルナの前に立った。


「……絶対に渡さない」


男が笑う。


「ならば、守ってみろ」


白い欠片が光る。


次の瞬間。


青年の身体に刻まれた黒い紋章が――


ドクンッ!!


強く脈打った。


「なっ……!」


青年の身体から黒い魔力が噴き出す。


そして、その魔力がルナへ向かって伸びていく。


「ルナ!!」


キラが剣を振り抜く。


ザンッ!!


黒い魔力を斬り払う。


だが――


「……まだだ」


男が呟く。


白い欠片がさらに強く輝く。


ルナの胸元にも、青白い光が浮かび上がった。


「……何、これ……」


ルナが胸を押さえる。


キラが叫ぶ。


「ルナから離れろ!」


男は笑った。


「もう遅い」


青白い光と黒い魔力が、同時に輝く。


そしてルナの脳裏に――


見覚えのない場所が映った。


巨大な白い祭壇。


その前に立つ、三人の人影。


金色の髪。


水色の髪。


オレンジ色の髪。


「……アシュレイン……リリー……リゼッタ……?」


ルナが呟く。


だが、その三人の前には――


今まで見たことのない巨大な扉があった。


扉には、黒い紋章と白い紋章。


そして中央には――


『器を選べ』


という文字が刻まれていた。


「……何、この記憶……?」


ルナの声が震える。


キラはルナを見つめる。


そして黒き紋章の男は――


初めて驚いたような表情を浮かべた。


「……その記憶を、まだ持っていたのか」


「どういうことだ!」


キラが叫ぶ。


男は答えず、黒い霧へと姿を変える。


「次に会う時――その少女は、もう選ばれている」


「待て!」


キラが追おうとする。


しかし、男の姿は完全に消えていた。


残されたのは、倒れた青年と――


震えるルナ。


「キラ……」


「大丈夫だ」


キラはルナの前に立つ。


「俺たちが守る」


ルナは小さく頷いた。


だがキラは気づいていなかった。


ルナの胸元に浮かんだ青白い光。


そこには――


これまで存在しなかった、新しい紋章が刻まれていた。


第117話 終

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