↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『レベルリセットから始まる最強魔法剣士の英雄譚 ~五つの紋章と仲間たちと共に、滅びゆく世界を救います~』30000pv突破  作者: きらっち
少年期

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
112/278

111話 死闘



石碑の亀裂から、巨大な腕が伸びてくる。


その腕は黒い霧に包まれていた。


「……これが、昔の……」


ルナの身体が震える。


キラはすぐにルナの前へ立った。


「ルナ、下がって!」


「はい……!」


レティシアとエリスもキラの左右へ移動する。


その一方で、黒い外套の男は後ろへ下がっていた。


「ふふ……」


「何がおかしい!」


キラが睨む。


「ようやく目覚め始めた」


男は石碑を見上げる。


「これほど長かった……」


「お前、あいつを出すつもりなのか?」


「当然だ」


男が答える。


「そのために、ここまで来た」


「させない!」


キラが走る。


だが――


「待って!」


ルナが叫んだ。


キラが止まる。


「どうした?」


「今、石碑の魔力が変わりました」


「変わった?」


「はい」


ルナは石碑を見る。


「黒い魔力だけじゃありません」


よく見ると、亀裂の中には青白い光も混ざっている。


「封印の力と……中の力がぶつかっています」


エリスが息を呑む。


「じゃあ、このままだと……」


「封印が壊れます」


レティシアが男を睨む。


「あなたが魔力を流しているからでしょう?」


「そうだ」


男はあっさり認めた。


「だが、もう止められない」


黒い魔力がさらに強くなる。


――ドクン。


――ドクン。


まるで巨大な心臓が動いているようだった。


キラは剣を握り直す。


「だったら、止める!」


男が笑う。


「どうやって?」


「それは……」


キラは言葉に詰まる。


普通に斬れば、封印を傷つける。


魔法を撃っても、石碑ごと壊してしまうかもしれない。


「……キラ」


レティシアが声をかける。


「私たちだけで全部止めようとしなくていい」


「え?」


「ルナが封印を支えている。守護者も戻ってきた」


レティシアは剣を構える。


「なら、私たちは敵を止めればいい」


「……そうだな」


エリスが矢をつがえる。


「黒い紋章の人たちを追い払えば、封印にかかる負担も減るはず」


キラは頷いた。


「よし」


その瞬間――


黒い外套の男が手を上げる。


「ならば、こちらも数を増やそう」


地面に黒い魔法陣が浮かぶ。


「来るぞ!」


エリスが叫ぶ。


魔法陣から、次々と魔物が現れた。


一体。


二体。


三体。


さらに増えていく。


「多すぎる……!」


レティシアが構える。


「キラ、中央は任せる!」


「分かった!」


戦闘が始まった。


レティシアが先頭へ飛び込む。


「はぁっ!」


――ズバッ!


一体を斬り倒す。


すぐに別の魔物が襲いかかる。


「遅い!」


身をかわし、反撃。


エリスの矢が次々と飛ぶ。


――ヒュン!


――ヒュン!


魔物の脚、腕、肩。


動きを止める場所へ正確に矢が突き刺さっていく。


「キラ、左!」


「ありがとう!」


キラが振り向く。


迫っていた魔物へ剣を振る。


――ガキィン!


爪を受け止める。


そのまま押し返す。


「《ウィンドバレット》!」


至近距離から風弾を撃ち込み、魔物を吹き飛ばした。


「まだだ!」


次の魔物へ走る。


剣を振り抜く。


「はぁっ!」


――ズバッ!


倒れる。


しかし、魔物の数は減らない。


「くそ……!」


キラが息を整える。


そのとき。


「キラ!」


ルナの声。


「石碑が!」


「何!?」


振り返る。


亀裂がさらに広がっていた。


そして――


黒い腕の先から、五本の指が現れる。


「……もう少し」


黒い外套の男が笑った。


「あと少しで、完全に――」


「させない!」


キラが駆け出す。


男の前に立つ。


「……お前が来ると思っていた」


男が短剣を抜く。


キラも剣を構える。


「今度こそ、決着をつける!」


二人が同時に踏み込んだ。


――キィィン!!


剣と短剣がぶつかる。


男の攻撃は速い。


キラは一歩下がり、横薙ぎをかわす。


「そこ!」


反撃。


男が短剣で受ける。


――ガキン!


「以前より動きが良くなったな」


「お前に言われたくない!」


キラが連続して斬り込む。


一撃。


二撃。


三撃。


男はすべて受け流す。


「まだ甘い」


「くっ……!」


キラが距離を取る。


男の動きを見る。


剣の速さだけでは勝てない。


なら――


「……魔法を使う」


キラは剣を構えたまま、魔力を集中させる。


男が警戒する。


「魔法剣か」


「違う」


キラは小さく笑った。


「剣だけじゃない」


「何?」


キラが地面を蹴る。


「《ウィンドカッター》!」


風の刃が男の横を通り抜ける。


男が避ける。


その瞬間――


キラが懐へ入った。


「今だ!」


剣を振り抜く。


――ガキィン!


男の短剣が弾き飛ばされた。


「なっ……!」


キラの剣が男の首元で止まる。


「終わりだ」


男は動かない。


だが――


「……ふっ」


笑った。


「それで勝ったつもりか?」


「何?」


男の視線が石碑へ向く。


「もう遅い」


――バキィィン!!


石碑の亀裂が、一気に広がった。


「――!」


山全体が揺れる。


守護者が咆哮する。


ルナが必死に魔力を流す。


「ダメ……!」


そして。


石碑の向こうから、巨大な声が響いた。


『――我を封じた者の名を、まだ覚えているか』


ルナの瞳が大きく見開かれる。


「……アシュレイン……」


『そうだ』


黒い目が、亀裂の向こうからこちらを見つめる。


『ならば、問おう』


『あの三人は――』


一瞬の沈黙。


『今も生きているのか?』


キラたちは息を呑んだ。


そしてルナは――


答えることができなかった。


第111話 終

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。